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シネマ365日

2012年10月22日

彼女たちの時間(2001年 サスペンス映画)

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監督 カトリーヌ・コルシニ

出演 エマニュエル・ベアール/パスカル・ブシェール

ものごと収まるところへ収まるのだ 

カトリーヌ・コルシニ監督は56歳。2010年のフランス映画祭に来日し近作「旅立ち」についてインタビューを受けていた。それを読んでふと思ったが、結婚していったん仕事から離れ再び職業にもどる、ということは女の再出発を期すもの、それもかなり大きな影響をその後の人生に与えるものにちがいない。「旅立ち」のヒロインと同じように。というのも「彼女たちの時間」においても、ヒロインの一人は仕事に戻るのではないが、昔の親友にもどる、過去に自分がいた場所にもどるという点では同じ再出発を期すのだ▼ナタリー(エマニュエル・ベアール)とルイーズ(パスカル・ブシェール)は幼馴染。姉妹のように成長し仲がよく、二人して演劇の道を志していた。ある日のパーティーでナタリーがボーイフレンドと踊るのに嫉妬したルイーズは「あなたは男とならだれとでも寝るの」と責め、一方的にナタリーと絶交。手首を切って自殺未遂までする。やがて10年。ナタリーは演劇で身を立て、ルイーズは地方都市で結婚、歯科技工士となって夫と子供に囲まれ穏やかに暮らしていた。そこへ巡業にきた劇団の芝居にナタリーが出演していた。夫にそれをいうと楽屋に尋ねていけばとすすめてくれた▼再会した親友同士はいっぺんに昔の仲良しにもどる。ナタリーは演劇上の行き詰まりをルイーズに打ち明け、ルイーズはそんなナタリーを励まし、夫の許可を得てナタリーの芝居を見にいった。ナタリーが同棲しているのは同じ劇団の演出家。演劇論を交換して多少意見を異にするときはあるものの、ナタリーは彼を愛している。ナタリーの演技に目をつけた大劇団のプロデューサーが、チャンスを与えようとするが男から去りたくないナタリーはその話を断る▼ここでお節介をやくのがルイーズだ。ナタリーにことわりもなくプロデューサーに電話しナタリーと会う手はずを整える。ホテルのロビーでわけを知ったナタリーは会わないと断る。ルイーズは家に帰る飛行機に乗るためその場を去る間際まで、ナタリーに二度とこないかもしれないチャンスをものにするよう尻を叩いて激励する。思い切ってプロデューサーに会ったナタリーに、考えもしなかった道が開けた。しかしそれは男との破局でもあった。罵りあって別れた恋人との別離のさびしさに、ナタリーはルイーズを求め、ルイーズは妻の情熱に不吉なものを感じる夫を説得し、ナタリーのもとに駆けつける▼感情の爆風にあおられ二人はなるようになっちゃうのですね。いっしょに暮らし始めたナタリーとルイーズだが、ルイーズの過剰な愛情がナタリーにはだんだん重荷になってきた。ルイーズはルイーズで都合のいいときだけ人をよびつけ助けを求め、いまさら出ていけなんて勝手な言い草はなんだとナタリーを攻撃する。どっちもどっちだなー。痴話喧嘩のやりとり以外のなにものでもない膠着状態に、コルシニ監督はどう決着をつけるつもりなのだろう。もうここはどっちかを殺すしか解決はない。そう思っているとナタリーが急性腹膜炎になった。やっぱりなあ。ナタリーのために救急車が来て、救援隊が患者を運び出そうと激しくノックし「開けてください、だれもいないのですか、救急の要請があったのです、だれかいませんか、開けてください」と連呼するのだが、室内にいるルイーズは応えない。痛みにもうろうとしながらナタリーはベッドを降りてドアに行こうとするが失神する。ルイーズはナタリーを見殺しにするのだ。そう思っていたらスクリーンが暗転する直前「なんだ、いたのか」というセリフが聞こえる▼やれやれ。ナタリーは回復し舞台の初演は大成功。ルイーズは夫と別れ新しいボーイフレンドと車で、ナタリーの芝居が上演されている劇場の前を通る。舞台がはねナタリーが現れる。ルイーズと男(これナタリーの元カレの演出家じゃない?)が通りかかったことを気づいていたのかいないのか、夜の通りを歩み去る。彼女たちの時間であろうとヘチマの時間であろうと、物事どうにかなるものなのね。おさまるところへおさまり、けっこうでございました。

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