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シネマ365日

2012年10月24日

ロボコップ(1987年 SFアクション映画)

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監督 ポール・バーホーベン

出演 ピーター・ウィラー/ナンシー・アレン

映画の「肝」 

ポール・バーホーベン監督のハリウッドデビュー作だ。49歳だった。バーホーベンっていう人、面白いと思う。「ロボコップ」とは「ロボットの警官(コップ)」だから「ロボコップ」だ。どこかマンガチックだけど、それがバーホーベンの身上なのだ。「ターミネーター」がだんだん理屈っぽく陰気くさくなっていったのとは逆だ。この映画のあとバーホーベンはシュワルツネガーと「トータル・リコール」を撮った。これがまた大ヒット。だいたい「ロボコップ」は1300万ドルの低予算で5300万ドルを稼いだ映画だ。バーホーヘンとは映画の「肝」をつかむ人なのだ。続く「氷の微笑」「ショーガール」「インビジブル」とくれば、彼のはらわた掻っ捌くあざやかな技がわかるだろう。ラジー賞最低監督賞を受け取りに会場に姿を現し「蝶が芋虫になった気分」なんて言って笑わせたものだ▼殉職した警官の遺体をサイボーグとし最強の警官をつくる。舞台は2010年の犯罪都市デトロイト。巨大企業オムニ社は警察から街の保安を請負っていた。同時進行で同社が開発する都市計画はいかがわしい犯罪者のいないことが売り物だった。生身の警官は死んでしまうが、24時間働いて死なない警官に犯罪者を一掃させる、がオムニ社の至上命題だった。取締役会が召集され目下新製品のプレゼンが副社長ジョーンズの指揮で行われようとしていた。新製品ロボットEDー209が登場する…ううむ。でもこれがなんというかモッサリしたおじさんふうロボットなのだ。動きが騒々しくて荒っぽく、頭がやたら大きくて動作が鈍い。扁平の足が大きいぶんドスンドスン歩くたび地鳴りがする。「これじゃなあ」と観客は思うだろう。そういうふうにバーホーベンは作っているのだ。案の定EDー209は制御不能となり社員を誤射して殺してしまう。副社長は更迭だ。そこへ立身出世を狙う役員モートンが社長にスリスリ。別のアイデアがあると耳打ちする▼南署に配属になったマーフィー(ピーター・ウィラー)は妻と息子の三人暮らし。息子は警官の父が自慢で、息子に恥じる警官であってはならないと、マーフィーは心に念じる真面目な警官だ。相棒となったのは格闘技に強い美人のルイス(ナンシー・アレン)。二人は市内を巡回し強盗グループに出会い追跡する。鉄工所の工場跡に巣食う一味を一網打尽にしようと、マーフィーとルイスは二手に別れて近づくが逆にやられてしまう。ルイスが身を潜めていた隙に、マーフィーは腕を撃ち落とされ胸に銃弾を受け、頭蓋骨の一部はふっ飛び血まみれになって横たわっていた。この遺体がオムニ社に緊急移送された▼バンホーヘンって、中学や小学校の理科実験室にある、人体解剖模型や骸骨の全身骨格とかに、異様な興味を示す子が学年に一人か二人いつもいるじゃないですか。あのクチだったと思うのよね。「インビジブル」でもCGのみごとな人体再現の過程が映画の「肝」なのよ。役者の名前はどうでも(ごめんね。ケビン・ベーコン)あのシーンだけは一度みた限り絶対に忘れないでしょうよ。極微とか精緻にある美しさに感応するバーホーベンの感性って、やっぱりレンブラントの国の人です。おっとそこでなにをいいたかったかというと、一大プロジェクトとしてのサイボーグ再生手術が行われ、マーフィーは無敵のロボコップとして南署にデビューする▼プログラム通り仕事をこなすロボコップは、どんどん犯罪者を逮捕し街の守護神となった。ルイスだけがちょっとした癖からロボコップが実はマーフィーであることを知った。EDー209とちがいスマートで人間に近いロボコップは街の人気者となったものの、人間であり人間でなく、メカでありメカでないマーフィーをルイスは痛ましく見ずにはおれない。このへんの情感移入がただただ銃と爆弾をぶっ放す、騒々しいアクションものとちょっと違うのだよ▼後半はマーフィーの復讐譚だ。マフィアと手を組んで警察機能はもとより、開発される新都市のガバメントとにぎろうというオムニ社のジョージは、ロボコップの成功に酔う同社出世頭・モートンをマフィアの頭目クラレンスに殺させ副社長に返り咲く。クラレンスこそマーフィーをなぶり殺しにした張本人だ。マフィアと組んだ巨大軍需・サイバー企業のトップはなにをしようとしているのか。ロボコップに危機が迫る。オムニ社の指示を受けた狙隊がロボコップを銃撃するのだ。「やめろ、彼は警官だぞ」南署の警官たちの阻止を無視し、雨あられとマーフィーに浴びせられる銃弾…さらにひとやま盛り上がり、スカッとさせるケツの締め方。うまい監督はだれがどう言ったってうまいのだと観客だけが知っている。

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