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特集「ディーバ(大女優)」

2012年11月7日

特集 ディーバ(大女優) キャサリン・ヘプバーン 
オレゴン魂(1969年 西部劇映画)

監督 スチュアート・ミラー

出演 キャサリン・ヘプバーン/ジョン・ウェイン

68歳、同い年の主役 

気が合いそうなふたりよね。キャサリンとジョン・ウェインって。キャサリンは男の中の男というタイプが好きだったと思う。筋肉隆々という外側の問題ではなく、うーむ、気質というか、硬派というか。スペンサー・トレイシーがそうだったのでしょうね。トレイシーが障害のある子をかかえて奥さんと離婚できない状況を承知していたキャサリンは一切結婚をいわなかった。結婚しないことについてキャサリンはくどくど書いていない。つまり彼女にとってもっとも自然で望ましいパートナーシップの形が結婚しないことだったのだろう。キャサリンのキャリアに空白があるのはトレイシーの看護に専念していたときで、彼が小康をえたとき関係者に口説き落とされて出演したのが「招かれざる客」だった。トレイシーの遺作となり、キャサリンは三度目のアカデミー主演女優賞を得た▼ジェームス・ディーンがハリウッドの新しいタイプの潮流としてデビューしたとき「???」キャサリンは、ああいう感じのどこがいいのかと思っただろう。大きな声もださずうつむきがちで、すねて流し目をくれる。「ハッキリしろ、ハッキリ」といいたくなる男性がふえてとまどっていたそうだ。キャサリンとジョン・ウェインは同い年の同時代人だ。ウェインはこの映画の前作「勇気ある追跡」で念願のアカデミー主演男優賞を取り、押しもおされぬハリウッドの頂点に位置するスーパー・スターだった。ともに68歳だった。この4年後ウェインは没する。彼の全盛期の貫禄とユーモアを充分堪能させるなつかしい映画になっている。キャサリンとのセリフの掛け合いは、文字にすると味わいが薄くなるが、それでも面白い。たとえば「なぜルースター(オンドリ)というの?」「おれも若い時は見栄っ張りでね。カッコつけることもあったのだ。オンドリって、そんなところあるだろ」「あんまり変わっていないみたいだけど」「その話し方、なんとかならんのか」「わたしの北部なまりのこと?」「うむ」「下品な南部なまりを覚えて、のろのろ無精に話さないとだめってことね」「おれもアンタにはっきりパウロの言葉を言っておこう。女性は教会で沈黙を守るべし」▼こんな口喧嘩ばかりしているふたりの名前は、保安官ルースター(ジョン・ウェイン)と父を殺された牧師の娘ユーラ(キャサリン・ヘプバーン)だ。ルースターは凄腕の保安官だがすぐ犯人を射殺するので、過剰防衛だとしてバッジを取り上げられる。そのとき騎兵隊を皆殺しにし、運送中だったニトログリセリンをギャングのホーク一味が横取りしたという事件が起こる。こんな修羅場を収拾できるのはルースターしかいない。判事はルースターに指揮を任せ、ニトリを取り返し、ホークを生きて逮捕したら再び保安官に任命することを約束する▼ルースターはインディアンの居留地に一味が向かった情報を得て急ぐが、そこは惨劇のあと。インディアンの子供たちに勉強を教えていた牧師は殺され、ユーラとインディアンの少年のウルフが生き残っていた。一味を追撃すると知り、ユーラとウルフは同行させてくれとルースターに頼む。女子供をつれて荒くれ男の強盗一味をやっつけられるか。ルースターは一笑に付し置いていくが、ユーラは勝手にライフルと実弾を手に入れウルフを連れてルースターに合流する。射撃戦となったときルースターの危機を救ったのは、なんとユーラだった。彼女は射撃の名手だったのだ▼聖書にこりかたまったコチコチ頭だと思っていたユーラの、ユーモラスかつ大胆、かつ的を射た意見に、ルースターはポンポンぼろくそにいわれながらも惹きこまれていく。「馬も女も純血種のことはよく知らない。オレはそいつらがキライだった。神経質でおっかない。だけどアンタはちがう。いうことはよく理解できないが、それはどうでもいい。アンタのそばにいるのが楽しいのだ」「ルースター、私がいままで聞いたなかの最高の言葉よ、ありがとう」▼いよいよギャング一味がまちうける川下へ、ニトロを積んだイカダで激流を載り切らねばならぬ。このあたりは「アフリカの女王」西部劇版ですね。川の岩場には一味が銃を揃えて狙いをつけている。「ルースター、やるだけはやったわ、わたしたち」「おれはあきらめない、負けるかもしれないが戦うことはやめない」ジョン・ウェインはアイパッチをしていない目を剥き、ニトロの木箱を積んだ綱をほどけと指示する。ユーラとウルフはルースターの気迫に逆らってはいけないものを感じとり、ひとつ、またひとつ、ニトリの木箱は下流へ、待ち受けるギャングのそばへ流れていく。「いまよ」ユーラが叫ぶ▼判事を前にユーラが熱弁をふるっている。ニトロは全部爆発してしまった、ギャングたちは全員爆死した。ルースターは保安官に復職する条件を叶えていないとする判事に、あの状況下ではルースターの取るべき方法はあれしかなかったとユーラが徹底抗戦。ついに判事が折れルースターは保安官に復職する。別れの日「もし片目で年寄りの保安官が必要になったら言ってくれ」「ルースター。手短に言うわね。あなたの日焼けした顔とその大きなお腹、クマみたいな手に輝く瞳、あなたは素敵な男性よ。わたしは友人であることを誇りに思う」馬で走り去るユーラの後ろ姿にルースターがつぶやく「ちぇっ。あいつ、またいいところ全部持っていきやがった」これ、ひょっとしてウェインのアドリブじゃない?