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シネマ365日

2012年11月10日

特集 「ブラックな笑い」ベリー・バッド・ウェディング(1998年 コメディ映画)

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監督 ピーター・バーグ

出演 キャメロン・ディアス/クリスチャン・スレーター/ジョン・ファブロー

悪夢のワンダーランド

さてそろそろ木枯らしが訪れる季節は「ブラックな笑い」をつまみに、おでんと熱燗でいっぱいやろう。トップは「ベリー・バッド・ウェディング」。この映画にギュウギュウ詰めになっているブラックのセンスが破滅的な物語を不気味に笑わせる。いうなれば「ベリー・バッド・ウェディング」は祝福されるべき人生でもっとも幸福なシーンが、悪夢のワンダーランドに変わってしまった映画だ。異常者というに近い悪魔的な新婦のキャメロン・ディアスがこの映画をおもしろくしている。最初彼女は脇役でチョイチョイと登場し、ワルの男たちがもっぱら映画を盛り上げるのだが、その男たちがひとり消え、ふたり去り、してくるころ俄然キャメロン・ディアスが正体を現す▼結婚式直前の婚約者同志カイル(ジョン・ファブロー)とローラ(キャメロン・ディアス)は結婚式の打ち合わせに余念がない。とくに新婦のローラは一生の夢だった花嫁姿の実現に、わきめもふらず打ち込んでいる。カイルは悪友ボイド(クリスチャン・スレーター)やアダム(ダニエル・スターン)とマイケル(ジェレミー・ピヴェン)といっしょに独身最後の〈バチュラー・パーティー〉のため、男たちだけでベガスに出発する。ローラは嫌な予感がしたがしぶしぶカイルを見送る▼ベガス入りした男たちはすっかり興奮し、ホテルでどんちゃん騒ぎ。酒、タバコ、マリファナ、コカイン、さらにはストリッパアを部屋に呼び、部屋は乱痴気騒ぎだ。マイケルが追加料金を払い、ストリッパアとバスルームに姿を消した。男たちはヤンヤとはやしたてていたが、やがてマイケルが血まみれのバスローブで出てくる。セックスに夢中になったあまり、女の背中を壁のフックにつきさし、女は死んでしまったのだ。全員声なし。我に返り「警察だ」「救急車だ」とあわてふためくがボイドは「砂漠に埋めたらわからない」なんて言い出す。そこへ警備員がやってきて女の死体に気づき、口封じのために殺されてしまう。彼らはスーパーにでかけチェーンソーやらおおきなトランクやらビニールシートやらを用意する▼結婚式までもうわずか。でも男たちにベガスの悪夢は消えてくれない。仲間割れはする、責任のなすりあいはする、神経はおかしくなる、罪悪感にかられたアダムは自首するといい、なにかにつけ興奮して騒ぎ立てるようになったマイケルをボイドは殺してしまう。マイケルの妻ロイスはボイドが嫌いだった。ボイドもロイスを生かしておくとやばいと思い、殺してしまう。映画の前半は意味もなく、はしゃぎながら人を殺していくボイドの殺人鬼ぶりで気色悪くなる▼結婚式の進行中、カイルとボイドは争い、形勢不利なカイルを助けたのはローラだった。助けたというのは少しちがう。ローラは「27年間わたしは結婚式にすべてをかけてきたのよ、あなたなんかにぶちこわされてたまるものですか。邪魔するやつは許さないわ」と叫びながらボイドの後頭部をスタンドで滅多打ち、あわれ血まみれのボイドを「始末して。アダムもいっしょに」とカイルに命じる。キュートなキャメロンが唇をゆがめ、目をひきつらせ、悪鬼のごとくなりかわる。そしてなにくわぬふうを装い式場にもどる▼かれらのなれのはてはどうなるのか。ボイドを埋めにきたもののカイルはアダムを殺せない。ふたりして帰途につくが対向車線を走ってきた車と正面衝突。カイルは両足切断の重傷で、アダムは植物人間となる。ローラはマイケルの遺言により夫婦の保険金受取人となったが、保険金とともに息子ふたりの養育もしょいこんだ。子供たちは意地悪くローラを掃除婦扱い。やさしいカイルが車椅子でいっしょに遊ぼうとするのに、転倒させて喜ぶ性悪のガキに育っている…どっちを向いても夢のかけらもない。よれよれのキャメロンはうつろな目で庭をよこぎり広い往来へ。クラクションにおいはらわれながら道の真中にたおれこみ、空にむけて号泣する▼ジョン・ファブローはこのあと監督に進出した。「アイアンマン」(2008年)「アイアンマン2」(2010年)と大ヒット飛ばし、「カウボーイ&エイリアン」と監督作品は波に乗っている。

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