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シネマ365日

2012年11月19日

唇からナイフ(1966年 スパイ映画)

監督 ジョセフ・ロージー

出演 モニカ・ヴィッティ/テレンス・スタンプ/ダーク・ボガード

やっぱりロージー

「唇からナイフ」はジョセフ・ロージー57歳、モニカ・ヴィッティ35歳、ダーク・ボガード45歳、テレンス・スタンプに至っては27歳のときの映画だ。この映画の前作は各人どんな映画に出演もしくは監督していたか。ロージー「召使」、ヴィッティ「赤い砂漠」、ボガード「召使」、スタンプ「コレクター」みなシリアスな内容ですね。本作はしんどい仕事のあとの凝りほぐしだったのでしょうか▼そうとでも考えなければ辻褄があわない駄作ぶりなのです。イカレタ映画はそれなりに面白いのだけれど、ハチャメチャのスクリューボールコメディでもないし、コメディをつくりなれないスタッフが、大真面目につまらない映画にしてしまったという感じ。アクションにしてもモニカ・ヴィッティはドンくさくて体が重い。アンジーやジョコビッチのシャープな動きを見慣れた目には、お遊戯の域をでない。日本人が聞いてもおかしな英語だし、だから彼女のセリフは少なかったのですね。ミケランジェロ・アントニオーニとの同棲を解消して、気分転換、コメディ進出もよかったのだろうけど映画としては失敗作でした。ボガードはふさふさした銀髪のカツラをつけ、ラストになってガバッとカツラを取って黒いアタマを露出させるのだけど、なんのためのカツラか意味不明▼物語はそれなりに筋書きがある。中東マサラ国の石油資源を獲得したイギリスは、マサラ元首シークの要望を入れ、その見返りとして、5000万ポンドに相当するダイヤを送ることになった。これを知った国際ギャング団がダイヤを狙って暗躍する。ダイヤの護衛に当たるのが札付きの女賊モデスティ・ブレイズ(モニカ・ヴィッティ)だ。毒を以って毒を制す。太腿に蛇とサソリの入れ墨をいれたモデスティは、交換条件に相棒のウィリー(テレンス・スタンプ)と組むことを要求し泥棒コンビが復活した▼ギャング団の頭目ガブリエル(ダーク・ボガード)はこれまで再々モデスティに仕事を邪魔され、儲けを横取りされた仇敵。またもやモデスティがでしゃばってくると知って攻略をめぐらし、彼女とウィリーを捕まえ監禁するが、ウィリーの放った人工ハトがシークの元に急を知らせる。モデスティを娘同様に愛するシークは彼女とウィリーの危機を知り一隊を率いて島に上陸、二人を救出するとともにガブリエルを捕虜とし、ダイヤは無事シークに届けられた。ウィリーは山羊のミルク風呂に入り、砂漠の地面に大の字につながれたガブリエルはシャンパンをくれとうめき、モデスティはシークとダイヤで遊ぶ。モニカ・ヴィッティとテレンス・スタンプのデュエットときたら、ロージーのサービスもここに極まった。原作はピーター・オドネルの新聞連載の人気コミック「モデスティ・ブレイズ」だ。全編マンガチックであることも無理はないが、マンガならマンガで面白い映画になったものはいくらでもある。コミックはシルベスタ・スタローンの映画化の宝庫ですよ。考えてみればどこにもドラマのてがかりのない、といってモンタージュの意味もない、どこまでも空漠とした無内容のむなしさこそ、やっぱりロージーの独壇場では。