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シネマ365日

2012年11月21日

ハッカビーズ(2004年 コメディ映画)

監督 デヴィッド・O・ラッセル

出演 ダスティン・ホフマン/リリー・トムソン/ジュード・ロウ/ジェイソン・シュワルツマン/マーク・ウォルバーグ/ナオミ・ワッツ/イザベル・ユペール

ハッピーもアンハッピーも、それが人生

映画はふたつの軸に添って進行します。ひとつはダスティン・ホフマンとリリー・トムリンが夫婦を演じる哲学探偵で、彼らは人生の悩みを助け、その結果人は幸福になることができるという軸足に立つ。あとひとつはイザベル・ユペール扮するカテリンがいう「世界は残酷で悲しく無意味な場所」だというニヒリストの軸足。カテリンは哲学探偵夫婦と対話し、ふたつの異なった考え方が明らかになっていきます。もちろん監督の意図はいうまでもなく、人はそのどちらも含む現実世界で生きているのだということ。カテリンは哲学探偵の愛弟子だったが思想を異にして仲違いした、しかしラストシーンは哲学探偵夫婦とカテリンが集まって、自分たちが道筋をつけてやった登場人物たちのこれからを見守るという形でおさまりました▼そういう次第であるから、主人公たちのキャラはいくぶん類型的です。環境総合団体で働くオタク青年アルバート(ジェイソン・シュワルツマン)、大手スーパーのやり手管理職ブラッド(ジュード・ロウ)、石油の使用は人類の悪であると信じる消防士トミー(マーク・ウォルバーグ)、美しくあれば人生に成功できると信じて全力疾走し、ブラッドとの恋愛にも疲れてきたハッカビーズのモデル、ドーン(ナオミ・キャンベル)。カテリンは謎の女として登場し、前向きに取り組もうとする主人公に「人生甘くない」と冷水をぶっかける。でも最後は環境団体をクビになったアルバートと愛しあい、アルバートは立派に自信を取り戻す。トミーもひどい状態にいる。石油の使用を拒否する彼は自転車で移動する。従ってガソリンで走る消防車には乗らないのだ。ところが火事の通報で出動した消防車が渋滞にはまり身動きできないピンチのとき、自転車の彼だけスイスイ車の列を縫って現場に到着。煙で死にかけていたドーンを救出する。ブラッドとの間に充実感のなかったドーンは、命がけで助けてくれた実のあるトミーと結ばれ、自分を取り戻す▼要はそれぞれの愛にめぐりあうのです。功利的に立ちまわっても一時の成功は得られるかもしれないが結局はみな自分から去っていく、さびしい人生もちゃんと哲学探偵によって描かれていますしね。監督は、コメディはコメディでも「哲学的コメディ」と位置づけていますが、そうややこしく考えなくても、役者たちの役柄に対する解釈がしっかりしているのでしょうね、けっこうリードしていってくれます。イザベル・ユペールは上手な英語で全然違和感ない。哲学探偵が依頼人のいうことをまるまる信じないで、彼らの日常生活を徹底的に尾行し、付け回して絶対に騙されない存在、という設定には笑いましたけど▼ジェイソン・シュワルツマンのコテっとした面貌にどこか心当たり、ありませんか。彼の母親はタリア・シャイア。本作にも出演しています。彼女は「ゴッド・ファーザー」ではマイケルの妹、「ロッキー」ではシルが絶叫する「エイドリアーン」。つまりシュワルツマンはコッポラ一族なのです。フランシス・コッポラは叔父、ソフィア・コッポラ(「ロスト・イン・トランスレーション」の監督)とニコラス・ケイジ(「リービング・ラスベガス」)はいとこ同志という関係。つぎの公開予定映画はブルース・ウイリスやティルダ・スウィントンら大物との共演「ムーンライズ・キングダム」があります▼もうひとり、この人にお気づきだったでしょうか。ティッピ・ヘドレンです。73歳でした。ヒッチコックの「」と「マーニー」から40年以上たちましたがきれいでしたね。現在81歳でかくしゃくとしています。ナオミ・ワッツは15歳のとき、オーディションでいっしょになったのがニコール・キッドマン。遅咲きだったナオミ・ワッツが鳴かず飛ばずのとき、キッドマンはトム・クルーズと結婚離婚のあとサクセスにまっしぐら。でもこのふたり15歳のときからとても仲がいいのです。生き馬の目をぬくハリウッドでは珍しいですね。