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シネマ365日

2012年11月29日

ギフト(2001年 サスペンス映画)

監督 サム・ライミ

出演 ケイト・ブランシェット/ヒラリー・スワンク/キアヌ・リーブス/ケイティ・ホームズ

後味の悪くないホラー 

ギフトとは超能力のこと。透視の力があるアニー(ケイト・ブランシェット)は、夫の事故死のあと小さな町で占い師として、細々と息子3人と暮らしていた。町の人々はアニーの占いに頼り、そのたびアニーは人生経験もまじえ、親身になって自分にみえたことを伝えてきた。アニーはやさしい性格で信頼もされ、頼りにもされている。ヴァレリー(ヒラリー・スワンク)がやってきた。大きなサングラスをかけていてアニーは「さては」と思い当たる。やっぱり夫のドニー(キアヌ・リーブス)に暴力をふるわれたのだ。別れたらどうかとアニーはすすめるが、そんなことしたら殺しにくる、とヴァレリーは恐怖で震えあがる。小心者のドニーにそんな度胸はなく、弱いものいじめをしているだけだとアニーには見える。ドニーはなにかあればヴァレリーがアニーのところにいくのが面白くない、きっと自分のことを悪くいっているにちがいないと思い込んでいる▼演技派のスワンクや、これでなかなか芸達者なキアヌが、なんでこんな役をやりたがったのかよくわからない。サム・ライミが監督するというのでキアヌなんか買って出たそうだ。キアヌはなんでも猛烈に一生懸命やるので、どことなく頑張っている学芸会みたいな雰囲気になってしまうが、きっちり「ギフト」もそうなってしまった。悪くなったという意味ではなく、芝居をみるのが楽しくなったという意味なのだけれど▼田舎町で殺人が起こる。最初はアニーの息子の教師ウェインの婚約者ジェシカ(ケイティ・ホームズ)の失踪事件だった。保安官にくどかれ、しぶしぶジェシカの所在をギフトすることをアニーは引き受けるが、最初からあまりいい予感はしなかった。それというのもジェシカは他にも男付き合いが多く、不倫の現場をアニーは目撃したことがあるのだ。どうせろくなことにはならない、と思っていた矢先の事件である▼イメージに浮かんだ湖のような大きな池はドニーの所有地だった。捜索しているとドニーはわめきちらし「お前の入れ知恵だろう」とアニーを罵倒する。かわりはてたジェシカの遺体が引き上げられ、殺人容疑はドニーにかかる。裁判の結果ドニーは有罪となったが、アニーは府に落ちない。ドニーに人を殺すような思い切ったことはできない。彼にできるのは力のない女をなぐることくらいが関の山だ。ではなんだろう、この目の前に浮かんでもやもやしている黒い、とらえどころのないない闇のようなものは…アニーはちょっとしたことで弱みを握った検事を脅し、裁判をやり直しさせる▼アニーがふだんからなにくれとなく、励ましてきた青年がバディ(ジョバンニ・リビシー)だ。彼は心を病み、対人関係の距離がとりにくくいつも一人で、でもまじめに自動車修理工として働いている。手元不如意のアニーに気持ちよく車のドアを修理してやり、アニーが礼をいうと「とんでもない、おれのほうこそ、いつもよくしてくれて」と心から感謝している。このバディは儲け役だ。演じるジョバンニ・リビシーはここ数年「パーフェクト・ストレンジャー」「パブリック・エネミー」「アバター」と立て続けに話題作に出演。ブルース・ウイリス、ジョニー・デップらの大物との共演、あるいはジェームズ・キャメロン監督のもとで役作りを磨いた。大事なところで脇を締める役者さんである。「ギフト」でも最後に「あっ」といわせるのは彼なのだ。ケイティ・ホームズはいわずとしれたトム・クルーズの奥さんですね。これまた「なんでかなと」いう「キアヌ・スワンク」につぐ「ギフト・第三の謎」なんですが、殺害される役とはいえ、かなり根性のいるメーキャップでしたよ。トムはやめろといわなかったのかな▼殺害や裁判やら偽証やら、ドメスティック・バイオレンスやら、暗い話のオンパレードなのだが不思議と後味は悪くない。アニーの損得のない人助けや、ドニーのように気の小さな悪者や、弱みをさらけだしてカッコ悪く生きるヴァレリーやらの人物設定が、ひとつも浮ついていないからだろう。