女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「ディーバ(大女優)」

2012年12月5日

特集 ディーバ(大女優) ソフィア・ローレン 
ガンモール おかしなギャングと可愛い女(1975年 コメディ映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ジョルジュ・カピターニ

出演 マルチェロ・マストロヤンニ/ソフィア・ローレン

緩急自在 

ソフィア・ローレンは「ひまわり」や「ふたりの女」や「ラ・マンチャの男」でシリアスな役をこなしている。その一方でイタリアのナポリ生まれ特有のオレンジ色の花のような、地中海の青空のような陽気な雰囲気がついてまわる。同時にこの明るさがそそっかしいというか、お人好しというか、どうにもこうにも深刻になっておれない役柄にぴったりはまってしまう、と言ったらいいすぎだろうか。たとえばこの「ガンモール」。本来ローレンやマルチェロ・マストロヤンニでなくてもいい映画なのだ。全編ズッコケのおバカ映画で、ふたりの名優が火花を散らす内容ではない。それなのに最後までアホらしい、バカくさい、と思いながらつぎのシーンへ、はたまたつぎのシーンへ、どんどん深入りしてしまう。なんの映画賞もとらないどころか、ソフィア・ローレンの出演映画ではいちばんに省略されるような映画だけど、じつに面白かった▼マルチェロ・マストロヤンニ扮するギャングのボス、チャーリーは少年時代にみた映画「ギルダ」でリタ・ヘイワースに心を奪われ、寝ても覚めてもこの世の理想の女は「リタ」しかいないと思い定める。暗黒街のボスとなった今は八方手を尽くして「リタ」に似た女を探させている。きょうも日課のヘリによる縄張り視察をしていたところ、俄然目に止まった女がいた。屈託なくヘリに手をふっている。「あの女はだれだ」とチャーリー「へい、娼婦のプパで」と手下のショパン「すぐ連れてこい」というわけでプパ(ソフィア・ローレン)はチャーリーのナイトクラブで「リタ」に扮装してお披露目をするが、そそっかしい彼女は「ギルダ」のハイライトシーン、リタ・ヘイワースが黒い長い手袋を脱ぎ捨てる魅惑「手袋のストリップ」をやるのはいいが、手袋を放り投げたら客のグラスにジャボン、ダンスをすればステージで転倒、バンドメンバーを蹴るわ、テーブルはひっくりかえすわ。であるのにチャーリーは「あれこそリタだ」と自分の情婦にする▼ところがこのボスはプパが一言なにか尋ねようものなら「おれに質問するな」と平手打ちを食らわし返事が遅いとゲンコツが飛び、プパの目の周りは黒いあざが絶えない。チャーリーのシマ拡大の盛大な祝賀パーティーが催され、届いたプレゼントが、なんとこれまたリタそっくりな女アンナだった。たちまちチャーリーはプパを「街頭に帰れ」と残酷に追い出す。その夜の午前4時、戻ってきたチャーリーは様子がおかしい。話がこじれてアンナを殺してしまった、現場にライターを置き忘れた、ショパンに取ってこいと命じ、プパには午前3時には帰宅したと警察に証言しろと因果を含める。プパはさんざんひどい目にあってきた復讐戦に打って出ることを決心する▼刑事ランベリはプパが現場に残したヒントから犯人はチャーリーだと見当をつける。チャーリーの別名はハイカラー。高い真っ白なカラーをいつも首につけているからだ。証拠を隠滅し犯人をでっちあげたはずなのになぜ警察は捜査しにくるのか、だれかが犯人はオレだとサディッションしているにちがいない。疑い始めたチャーリーはとうとうプパの不審な行動をつきとめ、裏切り者は湖に沈めてやると、高飛びの準備をして身の回りのものをトランクにつめ、プパを押し込んで車をスタートさせた▼この37年前の映画のカーアクションがなかなかのものなのだ。チャーリー「おい、なぜ街路の連中はおれたちのほうばかりみているのだ」ショパン「さあ。車の上のトランクをみているようですが」「トランク?」言い終わらないうちにトランクがバンバン路上に投げ落とされてくる。刑事のランベリが車の屋根につかまり邪魔なトランクを放りなげているのを通行人が見物しているのだ。ここからラストまでざっと15分、ランベリを振り落とすためにコミカルでスピーディなカーアクションが展開されキビキビして、まったく古さを感じさせない。とどのつまり振り落とされたのはチャーリーでお縄になって刑務所行き。そこへプパが面会にくる。チャーリーの縄張りを後継しビシッとスーツにタイ、一分の隙もなくサッソー。一の子分にあのランベリを従えているではないか。ソフィア・ローレンの見栄えのいい顔貌がいやが上にも決まっています。かたや縞の囚人服とセットの帽子で「トホホ」のチャーリー。緩急自在のこの二人だからでできた映画だな、これは。

Pocket
LINEで送る