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シネマ365日

2012年12月10日

インセプション(2010年 SFアクション映画)

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監督 クリストファ・ノーラン

出演 レオナルド・ディカプリオ/マリオン・コティシャール/マイケル・ケイン/渡辺謙

結論「インセプション完了」 

コブ(レオナルド・ディカプリオ)はエクストラクション(アイデアを相手の脳から抜き取ること)のプロ。凄腕の産業スパイで国際手配されている。ライバル社の進出を防ぎたい巨大企業の社長サイトー(渡辺謙)は、抜き取りができるなら植え込み(インセプション)もできるだろうともちかけるが、かつて妻マル(マリオン・コティシャール)に対するインセプションの失敗で、妻を自殺させたコブは断る。この映画は「インセプション」(植え込み)が成功するか否かにいたるコブ・チームの夢盗人たちのアクションがひとつ、もうひとつは、妻を死なせたトラウマから解放されないコブの愛情物語がひとつです▼そんなばかなことあるか、と一刀両断してしまうとこの映画はなりたちませんから、まずクリストファ・ノーランが横付けしてくれた船に乗船しましょう。劇中ずいぶん馬鹿馬鹿しいこともありましたよ。日本の新幹線がコンパートメントになっていましてね。これ「トワイライトエキスプレス」の間違いじゃないかと思いましたけど。まあ渡辺謙さんも黙って乗っていることだし、新・新幹線だとしましょう▼コブはサイトーのいう条件「ロバート(ライバル社の社長)の潜在意識に会社の業績衰退のタネを植えつけてくれたら国際犯罪歴を帳消しにしてやる」これにコブは乗った。故郷には子供3人が待っている。犯罪人であることを帳消しにし、親子3人平和に暮らしたいと渇望する。それが亡き妻の願いだったはずだ。ところでこの「亡き妻」ですけどね、なんで自殺しなければならなかったか。夫婦は愛しあいすぎていつも一緒にいたかった、だから夢の中に自分たちだけの町と家を設計してそこで暮らした。夢の中に入るのだから当然眠らなくてはいけない。えーと。夢と物語の総体的な関係は、夢の深さにもよるらしいけど、コブ夫婦のようにそこで何年も居住(?)しようという設計では10時間以上眠らないといけないはず。逆算してみて。働き盛りの男性と幼い子どもが2人いる主婦が10時間も眠っておれるか。だから短い時間に圧縮した濃い夢の内容をデザインしなくちゃいけない。コブは超一流の夢の設計士なのだけど、あまりに重層的な夢を構築しすぎたのよね▼コブ・チームはロバートの最も奥深い潜在意識に入ろうとするが、ロバートもさるもの、産業スパイの侵入を予知して「アイデア盗難」のセイフティ・ロック(侵入してきたやつは殺せ、という)を装置していた。だから植え込みにきたコブ・チームと防衛陣との激戦が夢のなかで展開される。コブたちが侵入する夢は3層に別れていて、それぞれの夢を仕切るドリーマーと呼ばれる班長がいる。ドリーマーのいちばん大事な役割は「キック」だ。ひきあげろ、つまり作戦終了「目を覚ませ」の合図です。たいていは音楽か、振動を与えて夢から覚醒させる。妻とのシーンで使われる覚醒の音楽がなんと「愛の讃歌」ですよ。マリオン・コティシャールのアカデミー賞受賞作品ではないですか▼チーム全員はコブとサイトーを残して全員退却できた。覚醒がうまくいかず夢の中に残ったまま目が覚めないでいることは、植物人間になることを意味する「虚無」の世界に生きるのですって。結局どうなったかって。シーンは一転、ロバートを深い睡眠に落とし込んだ飛行機の中で全員無事に目をさまし、空港からコブは義父(マイケル・ケイン)の迎えをうけ、家にもどる。子供たちが待っている。帰ってきた父に走り寄る。コブはコマをとりだし回す。劇中の約束事として、本人も自分のいる場所が夢か現実かわからなくなることがあるので(コブの妻が陥ったように)おまじないのようなアイテムをこしらえておいて、わからなくなったらそれで確かめる、ということになっている。コブの場合はコマで、コマが回り続けているときは夢のなか、回転をやめれば現実。どうもコマは停止するみたいだから、コブは「父帰る」を果たしたのでしょう。でもね、気がつかなかった? 子供たちの体格が同じなのよ。少なくともコブの国際手配は半年や1年じゃないはずでしょう。育ち盛りの子供たちが同じ身丈の同じ服でいると思う。コマはまだ回っていたりして▼さてここからが結論だ。コブ・チームの目的は成功したのか。サイトーのライバル社の社長ロバートは滅亡の道を歩み始めるのか。ここをハッキリさせておこう。成功したのだ。ロバートは亡き先代社長から「オレの真似をせず自分のやり方でやれ」と夢の中でいわれ勇気百倍。自信を取り戻す。しかしこれこそコブが植えつけたインセプションなのだ。父のお告げの通りロバートは「自分なりのやり方」で突き進んで、会社を衰退させ、サイトーは呵々大笑し、インセプションは完了するのだ。

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