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シネマ365日

2012年12月17日

悪魔の性キャサリン(1976年 ホラー映画)

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監督 ピーター・サイクス

出演 ナスターシャ・キンスキー/クリストファー・リー/リチャード・ウィドマーク

美少女の二代目襲名 

「悪魔の性 キャサリン」は「フランケンシュタイン」とか「吸血鬼ドラキュラ」とか「狼男」とか、ホラー映画の名門であるイギリスの制作会社ハマー・フィルム・プロダクションの最後の作品だ。同社は1948年の設立以来、ピーター・カッシングにクリストファー・リーという二大スターを擁し、怪奇映画ブームのさきがけをつくった。彼らの役柄はただおぞましいだけの怪物ではなく、狂気の科学者であり、正義の吸血鬼である知的でクールな一面をそなえていた。それにあの時代に「恐竜100万年」(名作だと思う)という特撮にチャレンジした「活動屋根性」は立派だ。しかし1970年代に入ると、撮影やメーキャップ、ひいては映画技術そのものの発達とともに、刺激的で露悪的なゾンビ、複雑怪奇なグロテスクとナンセンスなホラー映画が続出した。ハマー・フィルムのクラシック・ホラーは低迷を余儀なくされ「悪魔の性キャサリン」を最後に映画製作をほぼ中止した。だから本作は、クラシック・ホラー映画史の最後を飾る記念碑的映画だ。ホラーというより、昔ながらの「怪奇映画」といったほうがB級大好きファンの気持ちにピッタリする▼あらすじは劇画的だ。宗門を破門されたレイナー神父(クリストファー・リー)が独立し一派をたちあげた。宗旨は悪魔崇拝だから破門されても仕方ない。彼は悪魔教による世界制覇を進めていて、その切り札は修道院で成長した美しい14歳の娘キャサリン(ナスターシャ・キンスキー)だ。キャサリンの生みの母はサタン崇拝者だった。彼女はキャサリンを産む時、両足をしっかり縛られ脚を閉じた状態で「いきみなさい」とか「頭が見えた」とか産婆が励ますのだが、脚を縛られてどうすることもできない、とうとうキャサリンは母親のお腹を破って生まれるのだ。エイリアンものけぞるではないか▼ディテールに富んだ「手作り感」がクラシック・ホラーの良さだ。キャサリンは18歳の誕生日にアスタロスという悪魔に生まれ変わるよう洗礼を受けているのだが、オカルト作家のジョン(リチャード・ウィドマーク)は、ふとした行きがかりでキャサリンの父親に代わり彼女をロンドンの空港に迎えに行き、自宅に連れてくる。ジョンはキャサリンをネタにオカルト小説が書けると目論んでいたのだが、たちまちキャサリンは不可思議な行動を取り、彼女を取り戻そうとする悪魔教一派とのあいだに壮絶な争奪戦が繰り広げられる。彼らの攻撃の武器は銃や弾薬ではない、過去の呪いや呪文や、キャサリンの記憶に刷り込んだ悪魔性の呼び戻しやらだ▼レイナー神父は自分の味方である悪魔教幹部の女性にも秘技を施す。悪魔教・教典によれば彼女は生き血を提供し、キャサリンが悪魔に生まれ変わる聖なる場所の、魔法陣の周囲を真っ赤に染めねばならぬ。彼女は嬉々としてキャサリンの「悪魔教二代目襲名」のため、血液を抜かれるのだ。ジョンはまともですからキャサリンにそんなバカなことさせてはいけないと、自分もひどい目にあい友人も殺される犠牲をはらいながら、聖なる場所を探し当て駆けつけます。そこでは神父がキャサリンをオール・ヌードにし、祭壇に横たわれと命じる。ナスターシャは屈託なく脱いじゃうのです。このとき17歳か18歳か、とにかく初々しい裸身を悪魔にささげるというのだから、ジョンでなくても「やめろ、狂っている」と駆けつけるのはわからんでもない。神父という職業はふだんどこも鍛えていないのですね。魔法陣の中に陣取って勝利を告げるレイナー神父に立ち向かうジョンは、手に持った石ころを投げる。これがゴツンと当たっただけで悪魔教の神父は魔力を失うのですよ。大きめとはいえ、たかが石ころのひとつやふたつで大の男が卒倒するのかよ▼でもこの映画はやっぱりクリストファー・リーです。彼は現在90歳をこえバリバリの現役をこなす映画の生き字引。出演作250本は「世界で最も多くの映画に出演した」とギネスブックに記載されています。イタリア貴族一門の出身という恵まれた環境で、語学、馬術、剣術、文学の素養を積み、軍歴は大尉。「007」の原作者、イアン・フレミングは従兄弟に当たります。193センチの威容は「ロード・オブ・ザ・リング」「スター・ウォーズエピソード2/クローンの出撃」でも際立っていました。

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