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特集「アニマルフェスティバル」

2012年12月27日

特集 「それ行け アニマル・フェスティバル」グース(1996年 家族映画)

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監督 キャロル・バラード

出演 アンナ・パキン/ジェフ・ダニエルズ/ダナ・デラニー

茜色の空を翔ぶグース 

暗いのよね、この映画の出だし。ヒロインも可愛くないしね。主人公のエイミーは誰あろう「ピアノ・レッスン」で失語症の母親によりそう11歳の娘を演じて、アカデミー助演女優賞を持っていっちゃったアンナ・パキンです。エイミーは14歳、ニュージーランドで母親が自動車事故で死亡し、10年間別れていたカナダの父親トマスに引き取られる。一度も訪ねてこなかった父は恋人のスーザン(ダナ・デラニー)といっしょに暮らし、グライダーに夢中。いい加減な親父だ、許せない。エイミーはすっかり否定的になり、学校にもいかず家に引きこもる▼エイミーは森林の開発で親を亡くした16個のグースの卵をみつける。全部持ち帰り孵したエイミーをグースたちは母親だと信じる。どこにいくにもグワッグワッと鳴きながら16羽揃ってエイミーのあとについていく。エイミーに笑顔が戻る。しかし野生動物保護官は家で飼うなら羽を切らねばならない、病虫害をまきちらす恐れもある、然るべき処置をほどこさずに飼って、飛んでいるのをみたら撃ち殺すと言う。それにグースは渡り鳥だ。冬が来る前に南の越冬地に飛び立たねばならない。親を亡くしたグースたちは「渡り」の技術どころか、地上からの飛び立ち方も知らない。そこでエイミーは無謀にも一人軽量機にのって離陸を試みた。グースたちも「ママ・グース」の真似をしてみごと「離陸」したのだ▼このあたりから映画は積極的になる。パワー全開である。ウジウジ、メソメソしていたエイミーが率先してパパやスーザンに打ち解け、グース越冬飛行の可能性に知恵を絞る。パパは飛行機仲間やトリ学者に「エイミーが飛べばグースも飛ぶ。エイミーが先に、自分が後を飛んでグースたちを南へ誘導する」生まれて初めて越冬する「子供グース」に、カナダからノース・カロライナまで900キロをいっしょに飛んで「渡りの旅」をやろうというのだ。みな呆れるが飛行機仲間たちは「できない話じゃない」。飛ぶのは「パパ・グース」(トマス)に「ママ・グース」(エイミー)だ。スーザンら三人はトラックにキャンプ道具をつんで飛行機を追う「地上組」だ。休憩地で「空組」と合流する。「グース越冬隊」が一丸となり稼働した。その勢いと感情の広がりを、監督は空から俯瞰したカナダの大自然の雄大な景観に語らせる。チームは綿密な計画を立てる。野生のグースは1日1000キロを飛ぶが、初体験のグースたちには余裕のある中継地の設定が必要だ。そこで燃料の補給。寒さが本格的になる11月までにカナダを出発しなければならない▼野生動物保護官は黙っていない。暗闇に乗じグースをまるごとさらい、管理局のオリに閉じ込めたのだ。ぐずぐずしていると雪になってしまう。パパ・ママグースの「空組」と「地上組」三人はグース奪取計画を敢行した。「空組」がオリの上空に達したことを確認すると「地上組」は保護官の隙をみてオリというオリを開放、「パパ・ママ」を認めてわれさきに羽ばたくグースたちは、そのまま上昇気流に乗って南を目指した。茜色の大空をとぶグースの群れが美しい。パパとママの飛行機の間を、カギになりサオになり、一本の線のように編隊を組み、眼下には広大な森がはてしなく続く▼空軍のレーダーに「未確認物体」としてとらえられ大騒ぎになったものの、理由を知った司令官が感激、グースと父娘を囲んで兵士たちと記念撮影だ。司令官は「感動実話」をテレビに紹介した。ハンターに狙われながら湖に着水、地元の野生動物を保護する夫人の家で一宿一飯の恩義に預かる。中継地を経るにつれグースの「渡りの旅」は人間社会の感動を巻き起こした。終着地ではしかし自然保護団体と開発業者が正面からぶつかっていた。トラクターのキャタピラの前に座り込む住民たち。11月1日までに一羽の渡り鳥も飛来してこなかったら、政府の保護区は業者に譲渡され森はつぶされるのだ。その1日の日、夕暮れの茜色が空を染める。もう待てないという業者に、ケガのため地上コースから先にゴールに着いたパパが叫ぶ。「娘がたったひとり、グースといっしょに飛んでいるんだ。必ず来る。トラクターのエンジンを切れ」。群衆は空を仰ぐ。入り日に輝く金色の雲はるか、なにかがみえる。エイミーを中央に、力の限り飛ぶグースたちだった▼見終わればもう気分は晴れやか。グースとともに900キロを飛んだ気になること請け合いです。ノース・カロライナで越冬した16羽のグースは、冬を越すとふたたびカナダのエイミーたちの家の玄関に着地するのです。すっかり「渡り」をマスターした一人前の野生グースになったのです。

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