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特集「ディーバ(大女優)」

2013年1月8日

特集「ディーバ(大女優)」 カトリーヌ・ドヌーブ 
ストーン・カウンシル(2005年 サスペンス映画)

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監督 ギョーム・ニクルー

出演 カトリーヌ・ドヌーブ/モニカ・ベルッチ

メルヘン調怪奇物語 

カトリーヌ・ドヌーブの怪奇好きはどうしようもないな。そもそも31歳のとき「赤いブーツ」40歳では「ハンガー」52歳になると「メフィストの誘い」62歳でこの「ストーン・カウンシル」でしょう。10年に一度は怪奇ふうホラーサスペンスをやらずには虫がおさまらないみたいなのだ。子供のときの愛読書は「フランケンシュタイン」か「ドラキュラ」だったのだろう。冗談でなく「ハンガー」では普通の女優ならいやがるにちがいない、気色の悪い特殊メイクをものともせず吸血鬼になりましたよ。そのせいかどうか公開当時はクソミソだったけど、デヴィッド・ボウイやらスーザン・サランドンが共演し「ハンガー」は今じゃカルト的映画になっているのです▼本作では共演がモニカ・ベルッチとくるのだなー。彼女のデビュー二作目が「ドラキュラ」だといえば奇しき因縁を感じませんか。そののち夫のヴァンサン・カッセルと「ジェヴォーダンの獣」「ダブルフェイス 秘めた女」だから、彼女の愛読書はポーかラヴクラフトか。いやいや故郷イタリアを舞台にしたゴシック小説の代表作「オトラントの城」か。この小説のキーワードを並べたらそのまま「ストーン・カウンシル」のレジュメになる。すなわち予言、怪死、洞窟、暗い森、月光、悪意のある人物、虐げられる若い女性に子供、超人的能力に魔力、僻地の寺院、無人の荒れ果てた屋敷…原作はフランスのスティーブン・キングといわれ、世界的ヒットとなった「クリムゾン・リバー」のジャン=クリスト・グランジェ。ギョーム・ニクルーは46歳。フレンチ・スリラーの旗手といわれる監督と怪奇好きな女優ふたりがガッツリ取り組んで、本来「なーんだ、これ」としかいいようのない映画を精一杯盛り上げました▼ローラ(モニカ・ベルッチ)はモンゴルから連れ帰ったリウ=サンを養子としパリで暮らす。彼女は通訳だ。息子7歳の誕生日が近づいたとき不思議なあざが体に生じる。ローラは幻覚の中で蛇やワシに襲われ、息子は聞いたこともない言語を口走る。ある夜ローラの運転する車が事故を起こし、息子は意識不明に陥った。ローラはイニット財団の代表で後見人のシビル(カトリーヌ・ドヌーブ)に励まされ、息子の出身地モンゴルに伝わる怪奇な伝説を調べる。そうするうち息子の主治医が殺され、その後も関係者がつぎつぎ殺害されていく。殺害現場に現れた謎のモンゴル人。息子リウ=サンは驚異的な生命力で突然意識を回復する。モンゴルの伝説では100年に一人、神秘の力をもつ「神の子」が生まれ、呪術の力でその子を殺した者は永遠の生命を得るというのだ。リウ=サンこそ神の子であり、イニット財団の正体は呪術を信奉する秘密結社ストーン・カウンシルだった。リウ=サンを狙っていたのはシビルだった。彼女は30年前原発事故で放射能を浴び、余命いくばくもなく「永遠の命」がほしかった▼であるから彼女は生身の人間のはずなのだけど、でも熊に憑依したり、死んだはずなのに彼女の死体は消えてしまったり、霊魂的存在でもあるのだ。このへんの因果関係を深く考えてもじゃまくさくなるだけだからやめよう。母と子は無事救出され、モンゴルから帰国の途につく。でもリウ=サンは「まだまだ終わらない。彼らはあきらめていない」とつぶやく。まさか「パート2」が作られるのではないでしょうね。制作費が32億円ですってよ。なににそんなにお金がかかったのだろう。モンゴルはロケだし、ドヌーブとベルッチだってそこまでのギャラではないだろ。動物のCGか。動物といっても熊とワシとネズミだ。ダイナソーの群れが激突する複雑壮大な映像じゃないのだ。怪奇と謎が交錯するアクション・スリラーが目玉のはずだけど、モニカ・ベルッチは恐怖のシーンで酸欠みたいにやたらあえぐだけ。死に物狂いで走るシーンは遅い。ドヌーブは「ヴァンドーム広場」でもそうだったけど、なんですぐ鼻血を出すのだ。ああ、そうか。原発事故に関係あるのか。あっちこっちで人が殺されているのに最終的に「死体がない。よって話に根拠がない、したがってローラの妄想である」と警察に判断させ、その一方でリウ=サンに「秘密結社の狙いはまだつづく」といわせ、思わせぶりなエンディングに落としこむイージーさに気が抜けてしまった。

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