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シネマ365日

2013年1月1日

007 スカイフォール (2012年 アクション映画)

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高槻市城北町
ぽこあぽこ

ジェームズ・ボンド凱旋 

 新年あけましておめでとうございます。旧年中に引き続き「シネマ365日」のご愛読ありがとうございます。今年はまずこの映画からスタートすることにしました。祝50周年。いわずとしれた007「スカイフォール」です。007がダニエル・クレイグになってからMとの関係性が変わったと思いませんか。ダニエル=ボンドはMに対して愛憎相半ばするのだ。スカイフォールとはボンドの生地であり、最強のサイバー・テロ、シルヴァ(バビエル・バルデム)との決戦のためボンドはM(ジュディ・デンチ)をつれてスカイフォールに行く。スコットランドの荒涼とした原野。ワザリング・ハイツ(嵐が丘)ですよ。Mは殺伐とした荒地を見て「あなたはここで生まれたのね」「知っているでしょう、僕のことはなにもかも」「そうだけど」ボンドが配下に入ったときからMは手を焼かされた。命令はすぐ無視する。女と深酒の欠点はひとつも改まらない。「カジノ・ロワイヤル」では惚れた女と高飛び同様、休暇先のベニスから退職願をパソコンで送ってきた。好きな女を殺され復讐に燃える「慰めの報酬」では、Mの指示をもっときかなくなり暴走、他国の諜報機関からも本国からも「ボンドをなんとかしろ」Mははさみうちに合うがボンドをかばいきる。前作で辞表をだしたボンドに「復職しなさい」と命じるとぬけぬけと「あなたからいつ離れました」Mの指示は非情であるだけに「死んじまえ、このクソババア」という葛藤があるのだ。早い話「スカイフォール」は過去のMの指示を根に持ち、Mに裏切られたと思った元諜報部員シルヴァのMに対する報復戦なのだ。シルヴァは優秀なスパイだった自分とボンドを「Mの二人の息子」と位置づけ、どっちが生き残るかを仕掛けてきた。ずば抜けた男ふたりが全知全能をふりしぼる悽愴なサバイバルが始まる▼トルコの作戦に女性エージェント・イヴとともに参加していたボンドは、MI6(エム・アイ・シックス=Mをトップとする諜報部)工作員が銃撃された現場に踏み込む。工作員の救命を優先しようとするボンドにMは犯人を追走せよと指示する。仕方ない。走る列車の上での格闘でイヴは敵を狙撃しようとするが狙いが定まらない。列車がトンネルにきた。Mは「撃ちなさい」イヴは「ボンドに当たります」「撃つのよ」撃っちゃうのですが弾はボンドに、彼は91メートル下の川に。Mのパソコンに「007落下」と入る。敵が奪ったのは各国のテロ組織に潜入しているMI6工作員のリストだ。これが敵側にわたったら潜入者の正体はバレバレ。Mのパソコンには「つぎはこいつらを殺す」という暗殺予告が入り、その通りMの部下たちは命を落としていく。Mは国防委員会のマロリー委員長(レイフ・ファインズ)から退職勧告を受けるが蹴る。折も折り、MI6の本拠地が爆破された▼一命をとりとめたボンドは僻地で賭博と女と酒の毎日。自分をも「撃て」といったMが業腹で仕方ない。二度と戻ってやらん、そう思っていたがMI6テロ事件を知った。ある夜Mが事務所にもどると暗がりにだれかいる。すぐわかった「電話ぐらいできるでしょ」安否もきかずこうである。復帰テストはボロボロの成績だったがMは一存でボンドを業務に戻す。シルヴァとの攻防・MI6のシンクタンク、Qが若返って久しぶりに登場。ワルサーPPK。アストン・マーティンDB5。オメガのシーマスター。マッカラン&マティーニ。どれもこれもお馴染みの007グッズだ。しかし「スカイフォール」を単なる007式エンタメアクションだけに終わらせなかったのは、基調にあるしみじみとした世代交代の現実感である。ボンドは体力の衰えを感じている。Qが与える秘密兵器は最先端メカで完全装備され、ボンドが使っていたのは「万年筆型の爆弾ですか?」とQに笑われる。射撃の腕も落ちた。罠をかけるため自ら捕虜になったシルヴァはボンドのテストの成績が最低で、とても現場に復帰できる状態ではなかったことをばらし「Mはひどいなあ。そんな君に業務を与えるなんて」死ねというのと同じだといわんばかりに嘲笑する。しかしボンドは、自分に業務を遂行させようとするMの信頼をみてとる。MはMで責任追及の国会審問会で大臣から「あなたの古いやり方で何人もの部下の命を失った責任をとるべきだ。人手を使って現場に送り込むような諜報は時代にあわない」と詰問を受ける。そこへ「大臣、Mの意見もお聞きになればどうですか」と手をさしのべたのは意外、カチカチの官僚と思われていたマロリーだ。ボンドから「現場の経験はおありか」と反問され「なくてもできる」とうそぶいた彼は、じつは元イギリス陸軍中佐、戦闘経験豊かなバリバリの現場出身だったのだ。Mは反撃にでる。「われわれが相手にしているのは国境も国旗も国籍もない影の人間だ、だれも彼らのデータを知らない。どこから襲ってくるかもわからない敵に、意志を強くもちどんな困難にも打ち勝たねばならない。大臣、あなたは今ここにいる自分の安全に自信がおありですか」いい終わらないうちにシルヴァの武装軍がドアを破って乱入、あっという間に国会議事堂は銃撃戦の舞台に。このへんのスピーディーな転換、切れのよさ、Mが引用するテニスンの詩の格調の高さ。マロリーは襲撃の目標であるMを椅子の下に押し込み銃をとって応戦する。ボンドがウィンクする。こういうキザが決まる映画なのよね▼荒涼たるスカイフォールにシルヴァをおびきよせたボンドは、生家を爆破、炎上させて空爆するヘリを墜落させ地上戦にもちこむ。MをつかまえたシルヴァはMに拳銃を持たせ「さあ撃つのだ。こうやって撃てばぼくとあなたといっしょに頭を撃ち抜ける」なんていって顔をくっつけるのである。気色わる~。こうなるともうマザコンどころの騒ぎじゃないわ。バビエル・バルデムっていくら似合うからって、なんでこんな役ばっかりなの? ナタリー・ポートマンをズタズタに強姦する神父やターミネータもはだしでにげる殺人マシーンやら、今度はちょっと風体を変え金髪にしたところがますます怪人度アップ。さすが50周年記念だわ。流れ弾を被弾して重傷のMを抱き、あられもなく涙を落としながらボンドが言う「僕がついています」こういうときでもMは可愛げがない。ありがとうの一言でもなく「ひとつだけわたしは正しかったわ」とだけ言いボンドの腕の中で息を引き取る。Mの遺言で犬の置物みたいなものを受け取ったボンドにイヴがたずねる。「事務職になれって意味?」「その反対さ」シルヴァ事件の解決によってボンドは現場の第一線をMの後任マロリーによって命じられます。007再び。これはボンド凱旋の映画です。

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