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特集「われらのダイナソー」

2013年1月20日

特集 「われらのダイナソー」 「ピロラプトルの漂流記」 (2003年 ドキュメンタリー映画)

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トップになった恐竜 

 ピロラプトルは頑丈な後ろ足と鋭いカギ爪をもった恐竜だ。本編の主人公はピロラプドルのオスのポッド。体は小さいが頭脳派である彼は、今日も大型肉食恐竜タラスコサウルスを兄弟たちと追いつめていた。そこへ不気味な大地の振動が。地面が盛り上がり海は立ち上がった。壁になって押し寄せる波が島を飲み込んだ。大津波だ。恐竜たちはほとんどが溺れ死んだ。気がつけば流木につかまって漂流するポッドと兄弟。その兄弟も海の大型恐竜、体長15メートルのプレシオサウルスに食べられてしまった。ひとりぼっちになったポッドは飢えと渇きで息たえだえ。4日目に死肉をあさる鳥が、ポッドが死ぬのをまって頭上を旋回しはじめた。賢いポッドは、鳥がいるからには近くに陸地があるのだろうと考えつつ意識は遠のいた▼本編の舞台はテチス海と呼ばれる海に、火山島が点在する8000万年前の南ヨーロッパ。現代のヨーロッパはまだ海の中だ。ポッドが見知らぬ小島に流れついた。動く体力がなく砂浜に横たわっている。体中で動かせるものといえば、閉じたり開けたりするまぶただけ。ポッドが死んだら食べようと狙っている鳥。そのそばにはポッドそっくりな小さな恐竜がいたし、鳥からポッドを横取りしようと待ち構えている古代ワニもいた。こうしてはいられない。ポッドは濡れネズミのような格好でよろよろと立ち上がり川にたどりついて水を飲む。でもなぜ彼らが死にかけている自分に襲いかかってこなかったのか、それを考えるゆとりも気力もまだポッドにはない。とりあえずは安全な場所、大きな木の根元で休むとしよう▼似通った特徴のある恐竜の化石が別々の離れた大陸から発見されることがある。これは大陸が移動し、海底でプレート同士がぶつかって大地震や大津波を引き起こし、植物につかまった恐竜たちが島と島を漂流し、遠く離れた場所にゆきついたからだ。別々の場所で発見された親戚関係にある恐竜の化石を比べると、大陸にすむほうは大型、島に渡ったほうは小型になっている。土地の面積の広いほど動物は大きくなっている。哺乳類や体の大きな恐竜が島に移ると小型化する傾向がある。体重6トンのマンモスが2トンにまで縮小した例もあるそうだ。食べ物の量が限られているせいだろうと言われる。生き物は時代と環境に最も適した形に進化していくからだ▼島に漂着し、落ち着いてあたりをみわたしたポッドは、まわりにいる恐竜たちに、故郷で見覚えがあるにもかかわらずみな小さいことに気づいた。ポッドはまるで小人の国にきたガリバーみたいだ。だからヨレヨレの自分でもおそろしがって襲撃をためらったのだ。ポッドは本能的に高地をめざして登った。自分と同じ種類の恐竜はいないのだろうか。ポッドは声を張り上げ怪鳥のように叫ぶ。もし自分の合図に聞き覚えがあるなら、だれか反応してくれるはずだ。ポッドは何度も呼びかけるが返事はない。何度目かにポッドはこだまではない反応を聞いた。どこからか知らないが自分の声を確かめにだれかがくるはずだ▼姿を現したのはおそろしく小さいトロードンの群れだった。賢くて結束力のある肉食恐竜だ。彼らは離れた場所からポッドをみているが敵意はなかった。ポッドは群れに近づき仲間として受け入れてもらった。名実ともに仲間と認められるには手柄をたて貢献しなければならない。頭のいい、そして体もいちばんでかいポッドはたちまち頭角を現す。狩りの先頭に立ち、鋭い爪で敵を仕留め獲物はまっさきに食い、残りは気前よく仲間たちに分け与えた。これでポッドは島の生き物の頂点にたった。流れ着いてから10日、浜辺でみかけた自分にそっくりな小さな恐竜はどこにいるのだろう。ポッドはその小型ラプトルを探すつもりだ▼裸一貫で創業し、地縁血縁なにもない土地で、最初こそ状況把握に苦労したものの、もちまえの頭のよさと気力と体力で、つぎつぎ人脈を広げビジネスチャンスをものにし、ポッド株式会社を設立、社員をふやし、成功した起業家恐竜版みたいでしたよ、ポッドは。

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