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シネマ365日

2013年1月27日

特集「サイコ変奏曲」 サイコ2 (1983年 スリラー映画)

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監督 リチャード・フランクリン
出演 アンソニー・パーキンス/ヴェラ・マイルズ/クラウディア・ボライア

再びの狂気 

 ヒッチコックの「サイコ」から23年。ノーマン・ベイツ、もとい、アンソニー・パーキンスは51歳になっています。彼は母親殺し・多重人格による精神分裂症などにより23年間精神病院に収容され病状は治療できた、ということで裁判所が病院からの釈放を許可する、そこから本作は始まります。「サイコ2」にかけるファンの期待は大きく、500万ドルの制作費で3472万ドルの興行収入をあげたのですよ。ドドドっとなだれをうつように映画館におしかけたのですね▼ノーマンが強圧的な母親の独占欲から逃れるため母を殺し、その罪の意識を消すために、あたかも母親が生きているかのように振る舞う、つまり母親とノーマン本人の一人二役を演じていました。ノーマンは本当に治ったのか。保安官や精神科医や町の人々もみな温かくノーマンの社会復帰を助けるのですが、強硬に釈放に反対したのが、ノーマンに姉を殺された妹ライラ(ヴェラ・マイルズ)だ。病院から出たノーマンは自宅のモーテルに帰ってくる。サイコハウスもそのままだ。モーテルは病院が派遣した管理人トーミイがいて、留守中モーテルをラブホテルにしてしまい、怒ったノーマンはトーミイをクビにする▼ノーマンは精神科医の紹介で近くのレストランで働くことになる。長年そこに勤めている初老のウェイトレス、スプール夫人(クラウディア・ボライア)が、同僚のウェイトレスを紹介してくれ、店主も真面目に働くノーマンに好意的だ。ノーマンはドジばかりふむウェイトレスのメアリーをかばい、男に棄てられた彼女にモーテルの部屋を貸してやったりする。しかしある日、料理の注文伝票に「アバズレを家にいれないで。母」と書かれたメモが回ってきた。ノーマンは驚愕する。そればかりか自宅の電話の下にも「女を放り出せ。母」のメモがはさんであった。ノーマンの神経は不安定になり、失敗続きでレストランは解雇される。ノーマンはモーテルの経営に専念することにした▼しかし母親の影はつきまとってきた。神経の弱ったノーマンは再び幻想のなかで母親と会話をかわし始めるようになる。トーミイが殺され、ノーマンの家の地下室を逢引の場所にしていた若いカップルの男が殺され、女の通報によって保安官が捜査にきて家中を調べた。異常はなく保安官は安心して引き上げたが、母親の部屋は母親の生きていたときと同じ状態になり、ノーマンは自分が徐々に狂気に追い込まれていこうとしているのを感じる▼ここでメアリーの正体がわかる。彼女はライラの娘であり、母親と組んでノーマンを再び発狂させ、精神病院に収容させることが目的だった。しかしメアリーは懸命に正気を保とうとしているノーマンが痛々しく、陰謀はもうやめようと母親に告げる。母親は承知せず、ますますノーマンを追い込もうと行動する途中、地下室で惨殺される。いったいだれが動いているのか、母親が生き返るなんて有り得ない。ノーマンのたっての願いで保安官は母親の墓を掘り返し、まちがいなく母の亡骸があることをノーマンに確認させる。しかしノーマンは1本の電話を受け取った。その電話の主は自分が母親だと名乗り、お前は養子に出されたのだ、お前が殺したのは自分の姉つまりお前にとって叔母であり、本当の母親は自分だと話した。母は生きていたのだ。ノーマンの瞳に強い光が宿った。母親は再び彼の精神と肉体を占領したのだ…母親との確執がぶり返します。実の母親は意外な人物でした。彼女は絶えずノーマンのそばにいて彼を見張り、彼を精神病院に送り返そうとしている母娘の仕掛けから息子を守っていたのですが、その守り方というのが片っ端、邪魔者は消すことですからすでに正気ではない。母親の出現によってノーマンの狂気は振り出しにもどります▼一作目の「サイコ」はあざやかなエンドでした。人間は狂うことがある。狂気に陥ることがある。狂気を発症することがある、こんなふうに。その事実を映画的状況としてつきつけただけで、裁くことにヒッチコックは介入しませんでした。しかし「サイコ2」はちがってきます。ノーマンは過去に犯した犯罪を繰り返します。とめどなく犯罪の領域に入っていく、組み込まれていく、そういうふうに描かざるをえなくなっていく、ノーマンをそのままにしておけない、当然罪と罰が生じる。現実としてはそれがもっともなのだけど、ヒッチコックが精錬抽出した映画の品質がだんだん普通の解釈のレベルになっていく、それがみていてちょっとつらいですね。

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