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特集「ディーバ(大女優)」

2013年2月8日

特集「ディーバ(大女優)」 マリリン・モンロー 
結婚協奏曲(1952年 コメディ映画)

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監督 エドマンド・グールディング
出演 ジンジャー・ロジャース/フレッド・アレン/マリリン・モンロー

非現実的なマリリン

「ノックは無用」で初の主役を得たマリリンは女優としての新境地を開き俄然注目を集めた。彼女の仇敵ザナックさえ賞賛したというのに、ザナックはその舌の根も乾かぬうちにまたもやアタマの弱い金髪の役をマリリンに与える。どうして断らないのかと不思議に思われるだろうが、この時代のハリウッドは映画会社が契約によって俳優をしばりつけ、給料制で働くシステムだった。仕事があってもなくても給料を払うかわり、いったん契約したらその契約にしばられた。この時期フォックスと交わした七年契約のマリリンの給料は一年目週給500ドル、2年目750ドル、3年目1200ドル、4年目1500ドル、5年目2000ドル、6年目2500ドル、7年目3500ドルだった。つまりフォックスが要求する役で7年間働かなければならなかった。奴隷みたいなものである▼「結婚協奏曲」の直前にマリリンはもう1本撮っている。それが「モンキー・ビジネス」だ。監督はハワード・ホークス。アカデミー監督賞にノミネートされたのは「ヨーク軍曹」のたった一度、それでも彼を名監督と呼ぶのにためらいはない。B級映画が好きだった。西部劇、コメディ、犯罪映画、サスペンス、アクション、SF、史劇。幅広いジャンルをこなした。自分のことを職人だと割り切っていた。彼は長身で物静かで博学の大人だった。マリリンのタイプである。この監督は手記とか手紙とかいっさい残さない主義でましてじゃらじゃらした自伝などない。しかしマリリンについてインタビューで語った「マリリン像」は、さきのジョセフ・L・マンキーウィッツとともに卓越した人物批評を思わせる「マリリン・モンローは自分の能力に自信をもてない、おどおどした少女だった。スクリーンに登場するのを怖がった。奇妙な女だった。誰も彼女とデートしないし誰も彼女を連れ出さない。誰も彼女に注意など払わなかった。彼女はセットにすわっていた。だが彼女がキャメラの前に立つとキャメラは彼女を好きになる。突如セックス・シンボルになる。のちに彼女が重要人物になるとなおびくびくし演じるのを拒み始めた。彼女はやるべきことができないと思い込んでいたからだ。彼女は現実的なところがなにもなかった。すべてが完全に非現実的なのだ。彼女に現実的な役を演じさせようとした映画も少しはあったがひどい結果に終わった。〈紳士は金髪はがお好き〉は彼女がよかった初めての作品で、その方向でやらせようとしなかったのだ」(「監督ハワード・ホークス映画を語る」ジョゼフ・マクブライド 梅本洋一訳 青土社)▼「モンキー・ビジネス」は若返り薬を発明するケーリー・グラントの化学者の秘書役。容姿は美しいが軽いという相変わらずの役どころだった。続くこの「結婚協奏曲」は、オムニバス・コメディでマリリンは第二作目の美人コンテストに優勝するミセス・ミシシッピである。本作は新米判事の手違いで結婚したはずの6組の夫婦の結婚手続きが無効であり、彼らは法律上独身である、という設定にある。ミセスコンテストに優勝したマリリンはミセスの資格がない、よって優勝は取り消し、となるのだが今度はミス・コンテストに出場しまたもや優勝する。出番は10分にも満たずマリリンが二度水着を着るというだけの映画だった。エドマンド・グールディング監督は「アンナ・カレーニナ」「グランド・ホテル」でグレタ・ガルボを、「或る女」「愛の勝利」「偉大な嘘」でベティ・デイビスという、大女優というべきか、うるさい女優を使いこなした監督である。脚本はナナリー・ジョンソン。脚本としては「怒りの葡萄」もありますが、なんといっても代表作は自ら監督・脚本をかねジョアン・ウッドワードがアカデミー主演女優賞に輝いた「イヴの三つの顔」でしょうね▼なにをごちゃごちゃさっきから書き付けているかというと、女を扱うのが非常にうまい監督と脚本のもとで「結婚協奏曲」は作られ軽い映画にもかかわらず見応えのある作品になっています。夫が浮気して離婚寸前にある夫婦のこんなセリフ(夫がしんみりと)「思い出さないかい。クラブで飲み明かした夜のことを」(妻冷たく)「いいえ。覚えていないわ。なぜだかわかる? わたしはそこにいなかったからよ。バーバラのことじゃない?」(夫小さな声で)「おれの勘違いだ」(妻追い打ちをかけるように)「それともあの歯茎丸見えの子?」(夫さらに小さく)「べつに丸見えじゃないよ。蒸し返すなよ」(妻さらに強く)「フランキーかもね」「そんな女性は知らん」「あなたがバス停でひっかけたデブ女よ」「フランチェスカはデブじゃないよ」(妻きっぱりと)「まるでスイカだわ」。マリリンも出演して損はなかったと思います。

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