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シネマ365日

2013年2月26日

ミッドナイト・ラン (1988年 ヒューマン映画)

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監督 マーティン・ブレスト
出演 ロバート・デ・ニーロ/チャールズ・グローディン

来世で会おう 

 統計によればアメリカの刑務所の収監者数は約240万人。中国が165万人、日本が8万人だからケタ違いに多い。アメリカの成人の100人にひとりが収監されている計算で、その費用はなんと年間約700億ドルにのぼる。おまけにアメリカの凶悪犯罪は1990年代をピークに、現在は半分に減っているのに、収監者数は当時の倍以上というから、刑務所はいくつあっても足りない。犯罪大国であるがゆえに容疑者の数もとてつもなく多い。すべての容疑者を拘束するだけで留置所はいっぱいになるため、裁判所は大半を保釈する方針をとっている。保釈のためには保釈金を積まねばならない。その需要に応じるため各裁判所の前には、ベイルショップと呼ばれる保釈専門の金融会社(保釈保証業者)がある。容疑者はそこでお金を借り、裁判所に収めて保釈されるのだが、容疑者が逃亡して期日までに裁判所に出頭しないと、保釈金は裁判所に没収される。金融会社は大損になるので、バウンティ・ハンターと呼ばれる賞金稼ぎを雇って容疑者を連れ戻させる。「ミッドナイト・ラン」の主人公ジャック(ロバート・デ・ニーロ)がこの賞金稼ぎなのだ▼シカゴ警察の刑事だったジャックは悪事に加担することをこばんだため、上司にも仲間にも裏切られ職を失い、妻は去り、だれも信用しない男になった。彼の元にシカゴの麻薬王セラノの会計士だったジョナサン(チャールズ・グローディン)を探してくれという依頼が、金融会社の社長から入る。ジョナサンはセラノの金を横領したばかりか、福祉団体に寄付してしまい、セラノが彼を警察につきだしたところ保釈金を借りて留置所を出て、裁判まであと5日というのに行方をくらましたままなのだ。ジャックは懸賞金に大金を要求し、これを最後に足を洗うことを決め、引き受ける▼ジョナサンをつかまえたのはニューヨークだった。ロスの裁判所まで彼を移送する。これで万事完了のはずだったのに、ジョナサンが空港でショック状態に陥る。飛行機恐怖症だというのだ。3時間ですむところを3日かかる鉄道とバスと車の乗り継ぎで、彼らはアメリカ大陸を横断する羽目になる。そこへFBIとギャングと、ジャックが連れ戻しに失敗したと勘違いした金融会社の社長が再び放った賞金稼ぎが、ジョナサンを奪い返そうと、みつどもえ、よつどもえの混戦を呈する。ジャックは手錠をかけたジョナサンを連れ、バスにトラックにコンテナに、ありとあらゆる追跡の手をかいくぐってロスをめざした▼路銀が尽きてきた。ジャックは元女房の家に立ち寄り、金を貸してくれと頼むがケンもほろろに断られる。小学生くらいの娘がジャックを追いかけてきて「パパ。子守して貯めたの」と120ドルを渡す。「そんなお金、使えないよ」ジャックは娘をだきしめ礼を言う。それを見た母親がなけなしの20ドルをジャックに与える。離れて立っていたジョナサンが「金はおれに任せろ」なんと力強いお言葉。ちょっとの間手錠をはずさせ、ずかずかと入っていった居酒屋で税務署の監査だという詐欺をやって当座のキャッシュを稼ぐ。追いつ追われつの逃避行を続けながら、ジャックはジョナサンが心やさしく、身寄りのない子供たちのために、ギャングの金を横流ししたことを知る。ジョナサンはジャックのすべてを失った心の深手を知る。ロスについた。ジャックは金融会社の社長に電話し、ジョナサンを連れ戻す仕事はまちがいなく果たしたことを証明したあと、ジョナサンを自由の身に解放する。ジョナサンはいくらほどの賞金を見込んでいたのだと聞く。「10万ドル」「…」「じゃあな」とジャックが背を向けた。「ちょっと待て」よびとめたジョナサンが、胴巻きのようなものを腹のあたりからずるずると引き出す。長い胴巻きを縫い目で小分けしたひとつ、ひとつに札束がぎっしり。ジョナサンが金融会社に返すはずの保釈金だ。「持っていけよ。おれにはもう用がなくなった。30万ドルある」このやろう、これだけ金をもっていておれを最後までたばかったな。そんなジャックの顔を(ククク)。「じゃあな」あらためてジャックがいう「来世で会おう」(See You next  life)はこの映画の決め台詞ですね。ジョナサンのチャールズ・グローディン、覚えておられませんか。「ベートーベン」で大型犬セントバーナードに振り回され、頭がおかしくなったのかと奥さんから言われ、悪徳ペット業者に騙されて実験用にベートーベンを譲り渡す。間違いだったと気づいたパパは、秘密の倉庫の屋根を破って乱入し、大立ち回りでベートーベンを救出する、あのお父さんです。本作でもとぼけながら、去りゆくデ・ニーロを呼び止めるときの、目の端に浮かべたイタズラっぽい表情が絶妙でした。

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