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特集「女のわがまま」

2013年3月7日

特集「女のわがまま」 バッド・ティーチャー (2012年 コメディ映画)

監督 ジェイク・カスダン
出演 キャメロン・ディアス/ジャスティン・ティンバーレイク/ルーシー・パンチ

反省しない爽やかな女 

 わがままとはひとつまちがえば人格的欠損とみなされるキャラである、なんてカッコつけなくても「女のわがまま」でひどい目にあった読者は数知れず。本シリーズのヒロインでいうと「ヤング≒アダルト」のシャーリーズ・セロンが危険な「わがまま」人格を演じました。セロンが「陰」だとしたら「バッド・ティーチャー」のキャメロン・ディアスは「陽」の典型。アメリカの教育委員会がよくこの映画を許したなと思えるくらい、あっぱれなまでの不良教師を図々しくもやってのける。キャメロン扮する教師エリザベスに賛否両論はあるでしょうが、たった2000万ドルの制作費で興行収入が2億1619万ドル。われも、われもと映画館につめかけた大ヒットにはなにか胸に残るものがあったはずです。人生の目的は玉の輿しかないエリザベスに教育の理念も目的も皆無。めでたく財産家の息子と結婚がきまり、退屈で死にかけていた教師生活に別れを告げる。車から「あばよ、クソ野郎たち」品くだる言葉を吐きながら走り去る。しかし婚約者の母は甘くなかった。エリザベスが財産目当ての浪費家だと見抜き鶴の一声で結婚は中止。エリザベスは元の中学校に舞い戻った▼彼女の授業は生徒に映画を見させ自分は机に突っ伏してグウグウ寝るだけ、というのもクスリの常用者なのだ。親からのクレームは持ち前の口八丁で丸め込み、家庭訪問した家でイルカのガラス細工を盗む。校長の趣味がイルカだと知っていたからだ。校長室によばれるや「イルカとは海の人類といわれる高等動物ですね」と校長を喜ばせ、早速ガラス細工(盗品ではないか)をプレゼントする手際のよさだ。代理教師で着任したスコット(ジャスティン・ティンバーレイク)が資産家の息子、かつ元カノが巨乳だったと情報を得るや、豊胸手術を受けようと血眼に、そのための費用1万ドルを捻出するため、学校行事の週末洗車サービスでは露出度満点、男たちの車を招き寄せ収益をピンハネ。ところがスコットは同僚教師のエミリ(ルーシー・パンチ)と恋仲になる。模範教師のエミリはことあるごとにエリザベスを矯正しようと忠告助言してきたが鼻であしらわれていた。共通テストの優秀校は郡教委から表彰を受け、郡トップの成績を指導した教師には5700ドルのボーナスが学校から支給されるという情報を得たエリザベスは俄然色めき立つ▼たちどころに映画は中止、テスト、テストの連続で生徒たちは悲鳴をあげるが馬耳東風。完全勝利を求め一計を案じたエリザベスはカツラで変装し、教委の共通テスト担当者に新聞記者だといつわってインタビューを申し込む。バーで担当者を篭絡したエリザベスのクラスは郡でトップの最優秀賞。まんまと5700ドルを手にしたばかりか、エミリとスコットの仲を引き裂くのに成功する。しかしエリザベスの「優秀教師」には必ず裏があると信じるエミリは、エリザベスを刑務所へ送るべく証拠固めに奔走する。教師として弁解の余地はないのに、破廉恥というか厚顔無恥というか、あらゆる手練手管でピンチをきりぬけたエリザベス。彼女に対抗できず学校を去ったのはエミリのほうだった。エリザベスの行状にしまいに嫌気がさしてくるが、この悪の不良教師は善良な模範教師が及ばない人間通なのだ。クラスに詩を書く男の子がいた。おとなしい性格で太っている。彼は好きな女の子に詩を読んできかせるが「キモイ」の一言で振られた。嘆きのあまり物置に閉じこもる。後を追ったエリザベスはなぐさめるかと思いきや「仕方ないわ。彼女が好きなのはイアンなのにそれもわからないのだから」「キモイなんてひどい」「あの子はうわべしか見ない浅い子よ。中学1年じゃ、あなたのよさはわからないわ」「いつになったらわかる」「まあ大学ね」泣きそうな男の子に「あげるわ」黒いレースのブラジャーを外してわたし「彼女の前でほかの女の子と楽しそうにしゃべるのよ。それから男の子たちのなかに入ってこれをみせびらかしなさい」言われる通りにした彼は俄然ヒーローだ。それをみていた同僚の体育教師が「やるじゃないか。ブラジャーをしていない胸を見るのは目の毒だ」「試練を乗り越える手伝いよ」「おれも乗り越えたい。パンティをくれ」「はいてない」▼つっけんどんで即物的で、金しか関心のないエリザベスが、ちょっとしたときにみせる感情の豊かさがヒロインを「わがまま」と「エゴ」から救う。ドライな女ではあっても干からびた女ではないところがキャメロン・ディアスの持ち味なのだ。結局エリザベスは体育教師を恋人に、今のままがいいという彼の進言により豊胸手術は中止。生徒指導の先生としていまや学校の星である…というエンド。性悪女に毒吐き女、セックス女に偽善女をいっしょにしたようなエリザベスがあたりを顧みず、ホイホイ奸智を弄して生きていくところが意外とさわやかなのです。