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シネマ365日

2013年3月16日

特集「男の顔 チャールズ・ブロンソン」 軍用列車 (1975年 サスペンス・アクション映画)

監督 トム・グライス
出演 チャールズ・ブロンソン/リチャード・クレンナ/エド・ローター/ジル・アイアランド

黄金の1975年

 「ストリート・ファイター」につづく本作。ブロンソンはトム・グライス監督と組んで、無実の男を難攻不落の要塞刑務所から救い出す「ブレイクアウト」を撮っています。この年(1975)のブロンソンは3本のヒット作にめぐまれた充実の年でした。原作はアリステア・マクリーン。「ナバロンの要塞」の著者です。「ナバロン」ではエーゲ海の絶壁400メートルの断崖が、本作では白銀の大自然ロッキー山脈を、薪を燃やして走る蒸気機関の軍用列車が舞台です。共演のエド・ローターはこれもブロンソン映画ではお馴染みですね。「スーパー・マグナム」でブロンソンと男の友情が通いあう、コワモテの警察署長を演じました。仕事のやりかたも気心も知れた監督と俳優(唯一登場する女優はもちろんブロンソン夫人、ジル・アイアランド)がつくった佳品、といっていいと思います。大作ではないが映画の面白さをつくるコツ、それがひとつも、心憎いほど外れていません▼フンボルト峠をめざす軍用列車に乗り込む登場人物。列車の目的は山岳の砦にジフテリアが発生し兵士たちが倒れ、死者も出た。大至急医薬品を届けねばならない。知事(リチャード・クレンナ)、医師、牧師、砦の将軍の娘マリカ(ジル・アイアランド)や補充兵を指揮する少佐(エド・ローター)らが乗り込む。発車直前ポーカーでいかさまをしたディーキン(チャールズ・ブロンソン)という殺人犯が正体を見破られ袋叩きにあい、保安官といっしょに護送されることになった。列車は煙を吐きながら山岳地帯を登っていく。ディーキンはしばりあげられ床に転がされている。マリカだけが裁判で有罪となるまでは罪人ではない、こんなひどい扱いはやめなさいといい、ブロンソンは実にうれしそうな顔をする。それはともかく走る列車という密室の中でつぎつぎ殺人事件が起きる。まず少佐の部下二人が行方不明になった。つぎに医師が脳卒中で倒れた。意外なことに医師免許のあるディーキンが殺人だと見破る。機関士の助手が運行中墜落死して牧師が行方不明になった。砦に向かう兵士たちをのせた寝台車が切り離され脱線、兵士たちは全滅した。むごたらしい話だ▼いったい殺人の動機はなにか。ブロンソンはひそかに車内を捜索する。牧師の死体、少佐の部下の死体が隠されていた。コックまでが殺人犯の仲間であやうくブロンソンは殺されかける。シロは少佐とマリカだけだと目星をつけたブロンソンは二人を味方に探索し、とうとう医薬品の梱包がすべて銃やダイナマイト、武器弾薬であることをつきとめた。砦のジフテリアもパンデミックも嘘っぱちだった。砦の先住民に金銀とひきかえに武器を売りつけひともうけするのが知事一派の計画だった。軍用列車は謀略列車だったのだ▼ダイナマイトを仕掛け、線路を爆破してブロンソンは列車を止めた。襲撃してきた先住民たちは銃や爆弾や取るものを奪って退却した。ブロンソンはじつは政府が派遣した極秘調査員であり、牧師は仲間だったことがわかる。悪漢たちとの対決は、走る列車の屋根でのアクションや銃撃戦やらがある。ブロンソンももちろん銃をもって対抗する。その撃ち方が決まっている。本当の射撃戦とはたぶんこんなふうにさりげないものなのだろうと思わせる。どういえばいいのか、いちいち構えもせず腕をあげもせず最小限度の労力で的に当てるのだ。危機一髪というときに少佐ひきいる騎兵隊がかけつけるところは「駅馬車」の縮小版みたいだが決定的にちがうのは場所が砂漠とロッキー山脈の峠だということ。雪が舞う寒い現場でないとブロンソンには似合わない気がする。仕事のカタをつけたブロンソンがマリカと別れの抱擁を交わす。マリカがなにかいいたそうにブロンソンの背中を見送る。いつもの「男をみせる」シーンですけど、ブロンソンに限って、不思議とマンネリにならないですね。