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シネマ365日

2013年3月20日

特集「男の顔 チャールズ・ブロンソン」 狼よさらば 地獄のリベンジャー (1994年 アクション映画)

監督 アラン・A・ゴールドスタイン
出演 チャールズ・ブロンソン

さらばポール・カージー 

 「復讐の天使」ポール・カージーのシリーズはこれでおしまいか、さびしいなあ、と思っていた。でもラスト・シーンはちょっと違う感じだったわ。「用があればいつでも呼んでくれ」なんて言ってチャールズ・ブロンソンは手をふる後ろ姿で出ていく。いくつになろうと主役を張る俳優はこうでなくちゃねーと思わせるのに充分。さすがに太ったし、腰回りもメタボふうでアンパンマンみたいな丸顔になっていたけど、「いつでも呼んでくれ」なんてセリフが73歳になってサマになるのはブロンソンだからよ▼ブロンソンはこの年最愛の妻ジル・アイアランドを亡くした。26年の結婚生活だった。ジルは乳がんでまだ54歳だった。ブロンソンは引退を表明したがポール・カージーの最終作品とあって復帰した。義理堅いというか律儀というか。そのかわり、やっぱり無茶なアクションは避けて、年齢相応の工夫が凝らされていますね。まず銃撃戦ではない。リボルバーを手にするのだけどガンガン撃ちまくるとか、一発でしとめるとかの従来の方法とちがう。狼の処刑法としては意外やお菓子に青酸カリをふりかける毒殺。サッカーボールをリモコンで爆発させる。お風呂が硫酸みたいな薬殺風呂。殺しも多様化した▼カージーは再びニューヨークにいる。建築学の教授としてつつがない市民生活を送っている。そしてやっぱりきれいな恋人がいる。恋人と家族は「狼」シリーズの基本設定だ。今回の恋人はファッションデザイナー、オリビア。彼女は服飾会社を経営している。元夫トミーはマフィアのボスで、しつこくオリビアにつきまとい、彼女の会社の経理をだきこんでマネー・ロンダリングをやらせている。経理がこれ以上は騙せないと拒否すると殺されてしまった。カージーはある夜ディナーのテーブルでオリビアにプロポーズ、指輪を差し出すがオリビアの不安な表情に「?」なんでも僕にいってごらん。理由を聞いたカージーはすぐ検察の友人に連絡する。検察はオリビアが証言してくれたらトミーを逮捕できるとさっそく手筈を整える。しかし警察には内通者がいた。オリビアは女装した殺し屋に襲われ顔を切り刻まれ「つぎは命がないぞ」と脅される。カージーは警察に保護を求めるが、情報がつつぬけ、家にやってきた警官と刑事はマフィアの殺し屋だった。カージーは襲われオリビアは殺害される。オリビアの一人娘は法の執行により、泣き泣き元夫トミーのもとに引き取られる。なにが法律だ…狼は拳銃をふところに、ふたたび夜のニューヨークに姿を現した▼相手はイタリアのマフィアという犯罪組織です。これまでのシリーズのような、チンピラや愚連隊ではない。一大組織なのだ。女装したフケ症の殺し屋とか警察からネタをながす裏切り者とか、イタリア料理とお菓子の大好きなトミーの手下とか、カージーのターゲットもこれまた多様化だ。彼らを相手に黙々と処刑していくのだけど、ただ「男度」をいえば弱い。いくら教授になっても年をとっても、狼は孤独で銃だけが味方のはずだ。いままでマグナムやバズーカ砲や銃器の扱いだけで絵になったポール・カージーが影をひそめて青酸カリをふりかけ、リモコンをいじっているのはちょっと、なー▼ついでにいうと本作の興行収入は170万ドルだった。前作の「バトルガンM-16」が680万ドルだった。制作費はいくらかしれないけど、ブロンソンは100万ドルスターですよ。ギャラだけでせいいっぱいだな。この結果がでて毒殺もラジコンも薬品風呂もだめだった、やっぱり本来の狼式処刑にもどろうとだれでも思ったでしょうね。1994年とは「スピード」「クリフハンガー」「トゥルーライズ」「今そこにある危機」などが公開された。シルベスタ・スタローン、アーノルド・シュワルツネガー、ハリソン・フォードらに加え、キアヌ・リーブスが台頭していた。アクションの舞台はロッキー山脈の山岳武装隊、国際テロリスト、乗合バスにしかけた時限爆弾、CIA副長官と麻薬王の攻防戦など刺激的で大掛かりで、資本と特撮を投入したエンタテイメントだった。それはいい。ハリソン君は70歳になりスタローンもシュワちゃんも60代の半ばを過ぎた。キアヌも50歳になろうとしている。73歳で彼らはなにをしているだろう。ブロンソン、よく頑張ったよな。