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シネマ365日

2013年3月24日

セットアップ (2011年 アクション映画)

監督 マイク・ガンサー
出演 カーティス・50セント・ジャクソン/ブルース・ウイリス/ライアン・フィリップ

いったいだれが「罠」にはまったのだ 

 だまされたわ。日本未公開も当然だわ。ブルース・ウイリスがオープニングクレジットのトップにでてくるしDVDのケースには真ん中にデンとつるつるアタマで写っているし、だれだって彼が主演と思うでしょう。でも映画が始まっていくらたっても出てこない。忘れているのか。20分以上して現れるマフィアのボス・ビグズがブルースだ。引っ立てられてきたサニー(カーティス・50セント・ジャクソン)に「お前、アタマに問題があるのか。オレのシマで強盗やって無事にすむと思ってンのか」と落ち着きはらって言う。500万ドルのダイヤモンド強盗をくわだてた若い男が三人。兄弟同様に育った。場所は犯罪都市デトロイトだ。ダイヤを盗み出し売人に渡そうという時、三人のうちビンス(ライアン・フィリップ)があとの二人に発砲する。デイブは死亡。一命をとりとめたサニーは、ビンスの裏切りの理由をつきとめるため調べまわっているうちに「このチンピラがシマを荒らした強盗の一人です」とつかまり親分のビグズにつきだされたわけだ▼ビグズは冷酷非情で知られるボス。拷問を見て笑いながら死なせる。ブルースが血の一滴もないっていう薄気味悪いボスを、気取りながらうまく演じている。どこがっていうと、例えば朝食のいり卵をフォークですくいパンを一口かじり「朝食といっしょに読む新聞が大好きだ。最近はケータイで新聞を読むという流れになっているらしい。朝食を食べながらケータイをみる気になるか。少なくともそんな文化ってごめんだな」なんていいながらうまそうに炒り卵を口にいれる。でもつぎのシーンがおかしい。子分が報告にくる。ビグズはあっさりフォークを置く。こういうところが無神経だ。泣く子も黙るビグズの立場なら、楽しい「文化」の時間を優先し、手下を立たせたまま待たせるのが「らしい」行動だろ。うまそうな炒り卵、スクリーンから香りがただよってきそうなコーヒーを無頓着に扱うなんて彼の「文化」に矛盾する。食事に人間の本質が現れることをおろそかにするからこういう撮り方をするのだ▼ビグズが大嫌いなマフィアのジョンRがビンスと手を組んでいることを知ったビグズはサニーを仲間に引き入れ、手下のピーティとサニーを組ませて200万ドルを奪う指示を出す。彼らはうまく200万ドルを手にするが、帰途立ち寄った麻薬の売人のところでピーティは銃をいじくっているうちに暴発し死亡。こんな事情を説明してもビグズが信じないと判断したサニーは、死体を食肉解体場にもっていきさばいてもらう。ここの迫力くらいのものだ、この映画の見ものは。死体を処分し200万ドル持ち逃げしたサニーは、ビンスの居所をつきとめる。サニーが自分に復讐するためつけ狙っていると知ったビンスは、親分のジョンRに助けを求めるが、サニーがビグズの仲間に入ったことでジョンRはビグズを恐れていた。サニーはビグズに、ピーティを殺して200万ドルを奪ったのはビンスであり、ビンスにはビグズの大嫌いなジョンRが後ろ盾でいると告げる。これによってビグズとジョンRは全面対決。このへん黒澤の「用心棒」の焼き直しですね。銃撃戦でどっちもがやられる。ビグズも撃たれるが、腕かそのへんで、とても死ぬほどではない傷みたいなのに、死んだのか死んでいないのか、それさえわからないいい加減な終わり方だ。ビンスとサニーは対決し、サニーは縷々と「兄弟だと思っていたのになんで裏切った」ビンスは「おれが一人前にしてやった恩を忘れたか」と訴えあう。ビンスが金を必要としたのは刑務所にいる父親をリンチから守るために、看守を収賄する賄賂だったとわかるが、銃をかまえながらペチャクチャ身の上話や思い出話をさせるのはどうみても不自然だ。そんなおかしなところばかり目立つ。セットアップとは「罠」とか「仕掛け」だろうがどこに映画的「罠」があり、だれがはまったというのか、いたら教えてくれ。