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シネマ365日

2013年3月25日

オートマチック (2011年 アクション映画)

監督 ジャン=クリスチャン・タッシー
出演 ロラン・コロンベール/ナタリー・オーヴェル/フィリップ・ビュレル

センスのいいフランス・アクション

 日本未公開のフランス製アクション映画。筋書きも発想も無茶苦茶のマンガチックな映画なのだけど、これがけっこう面白くてセンスいいのだ。監督も俳優も聞いたことなかった人ばっかりだけどすっかり見直した。主演の坊主頭のロラン・コロンベールはジェイソン・ステイサム(「トランス・ポーター」シリーズ)も顔負けのバイオレンス・アクションを披露してくれる。目下人気急上昇中なのだって。でも主演はこれ、オートマチックの拳銃なのだ▼娼婦サラ(ナタリー・オーヴェル)が安宿でヒモに殺された。捜査に当たった老刑事がサラの腹部に埋め込まれた拳銃を取り出す。この拳銃の魂がサラに乗り移った。ヤン(ロラン・コロンベール)は市役所に勤務するしがない役人だ。悪徳市長に仕え自分も役得の甘い汁を吸っている。でもこれでいいのかと思い始めた。ヤンは何者かの罠にはめられ、財閥ポンタムッソーに脅迫文書を渡したということで殺されそうになったところ、どこからか「銃を取るのよ、わたしはここよ」という声がきこえた。いつのまにか自分のアタッシュケースに拳銃があり、それが以心伝心で話しかけているのだ。わけがわからないままヤンは拳銃をつかむと、拳銃は勝手にガンガン発砲しヤンをとり囲んでいた殺し屋たちを皆殺しにする。かなり過激だ。拳銃はヤンの意思とは関係なく彼を殺人事件の解決に導く。拳銃の発見者である老刑事リシャール(フィリップ・ビュレル)と組んでヤンは悪徳市長一味を襲撃、バイオレンス銃撃戦の真っ向勝負でリシャールは殉職、ヤンは一味を壊滅させる▼粗筋といえばその程度なのだけど、低予算のB級映画大好きファンとしては、決してあなどれない映像のセンスのよさをいいたい。血しぶき「ドバー」も、ハリウッドの悪趣味より一歩手前でおさえた節度がある。サラを殺害するのはクズ丸出しの悪党男だ。毒々しく暴行する。女はボロ布みたいにやられたあげく最後の力をふりしぼり銃をぶっぱなして死ぬ。死体の腹からズズッと血まみれの銃を引っ張りだすシーンは「ヨヨヨ」こんなことってあるのか、と後すざりしそうなかなりの迫力だ。ヤンは銃のいいなりにーつまり「私を手に取って」という銃の言うなりに手に取ると、銃は自分から的にむかって撃ちまくり一発もはずさない。いつまで撃っても弾がきれない。銃弾はどうするのだろう。これはふつうの銃ではなく霊魂の銃であるから心配無用、いつのまにか装填されているらしいのだ。ヤンは銃にひきずりまわされふらつきながらも連射速射で暴れまわる。市長いうやつが悪徳もいいところで銃撃戦に市民を巻き添えにするばかりか、無差別発砲で平気で殺す。バイオレンスも極まった。こんな男に負けておれるかとばかり、ヤンと老刑事はとどまるところを知らぬつるべ撃ち。そりゃね、観客は腹のどこかでアホらしいと思うに決まっていますよ。でもえりがみつかんでグイグイひきずっていく監督の腕力は認めるにちがいない▼ヤンが市長に拳銃をつきつけるクライマックスでは彼のガンさばきもサマになり、ヤンの一人前の成長を認めた銃が、いやサラが「ここからさきはあなたが自分の判断でやるのよ」とヤンのカッコよさを際立ててやる。銃を片手にビシッと市長の額に照準をあてたヤンは、頭を坊主にしたゴルゴ13みたいである。フランスアクション映画の新星になるかな。