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シネマ365日

2013年3月28日

赤ずきん (2011年 ホラー映画)

監督 キャサリン・ハードウィック
出演 アマンダ・サイフリッド/ゲーリー・オールドマン/ジュリー・クリスティ

映画的興奮のこと 

 なにか書くために気力をふりしぼらねばならぬという映画がたまにあるものですが、これがそうですね。まいった、まいった。なんとなく予感めいたものがあったのですけどね。ハリウッド期待の女性監督キャサリン・ハードウィックの大ヒットは「トワイライト~初恋~」でした。内気な高校生ベラがハンサムなヴァンパイア、エドワードに恋するが、彼はどこか謎めいている(そらそうだろ、ヴァンパイアなのだから)。それと、この映画の制作がアッピアン・ウェイ・プロダクションですね。レオナルド・デカプリオがひきいる製作会社です。ヴァンパイア・ホラー・ややこしくて陰気くさい(つまり「ザ・ビーチ」みたいな)映画が大好きなレオ様とくれば三題噺だなもう。制作費4200万ドルですってよこの映画に。ほとんどCGだからコスト高についたのだろうけどそれにしてもまだ「スノー・ホワイト」のほうがよかったな。シャーリーズ・セロンの女の怨念に哀感があって。いくら映像がものをいうのが映画だといっても、映像をつくるモトになるスピリッツってものがあるじゃないの。ゲーリー・オールドマンも気が抜けた田舎のオッサン顔でいいとこなしだわ。人狼退治にきた神父さんって役なのだけど、家来をぞろぞろ従えものものしく雪深い山奥の僻村にやってくるのよ。綱つけてゴロゴロひっぱってきたハリボテみたいな大きな象。実はこれローマ時代につくられた鉄でできた拷問道具ですって。象のお腹ががらんどうになっていてそこに人をとじこめ、下から火であぶると熱くなって死んじゃう。こんなひどい道具を自慢するような神父ってホントに神父か。それに彼は妻が満月の夜に狼にかまれて人狼になり、人狼に咬まれた人間は自分も人狼になるから、それをふせぐために妻を殺したそうだ。いやな神父。オールドマンは豚をけしかけてハンニバルを殺そうとする復讐鬼とか、ろくな役しかまわってこなくなっちゃったのか。おばあちゃん役がジュリー・クリスティだ。うっかりすると孫よりきれいにみえちゃうのだけど、そこはそれ「赤ずきん」原作への敬意というか、アマンダが夢のなかでおばあちゃんに話しかけるのが有名なあのセリフ。「おばあちゃんの耳はどうしてそんなに大きいの」「お前のいうことをよくきくためだよ」「おばあちゃんの目はどうしてそんなに大きいの」プーッ。顔の半分くらいが目のカエル顔のアマンダに「大きい目」と言われてたら世話ないぞなモシ▼それにさんざんじらしてやっと出現した狼くん。おかしいよ。狼がこんなクネクネした柔らかい前脚・後ろ脚をしてるかよ。それネコ科の手癖・足癖だろバーカ。シーンによって個体の大きさが違うし、やたら狼が大きくなったり小さくなったりする。いくら魔物でも勝手に伸縮自在にするってわけにはいかないと思うのだけど、監督も製作者もぜんぜん気にならないようなのだ。雪についた足あともひとつもハッキリしない。人狼ってみたことがないからどんな足あとにするかわからなかったってことなの? だいいち極寒の村の住人でしょうみんな。男たちは毛皮をまとい女たちはしっかり着ぶくれているのに、なんでアマンダは薄いTシャツ一枚で大まじめに雪の中うろうろしているのだ。おまけに四囲すべてぶあつく雪の積もった見晴らしのよい、従って吹きすさびそうな風通しのいい銀世界で、地面に赤いマント一枚敷いたきり素っ裸になってセックスだって。霜ヤケになるわ。写真としてキレイに撮れさえすればどんな状況設定も許されるってものじゃないでしょう。やることがおかしいのじゃないの?▼「この中に人狼がいる」と絶叫した神父さんもあっさり人狼に咬み殺され、いよいよ人狼の正体は混迷してくる…はずなのだけど(だれでもいいや、そのうちわかるだろ)なんて妙な気になるのだ。映画がトーンダウンする原因? いくつかあるけど最大の原因はクローズアップしたときの人狼の顔だと思う。コミカルなのよ。どっか愛嬌があってこれじゃほっといても悪いことはせんだろうって顔なのよ。なんとかしてよ、人狼の残忍な所業と顔のギャップ。人狼の正体がわかったときは、人狼になった理由というのが、映画的興奮とあまりにかけはなれた平明な「マトモ」な理由だった。観客はシートに体を埋めたまま、文句を言う抵抗力すら残っていなかったのではないか。