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シネマ365日

2013年3月30日

ホット・ロック (1971年 アクション映画)

監督 ピーター・イェーツ
出演 ロバート・レッドフォード/ジョージ・シーガル

犯罪者レッドフォード

 1970年代のアクションは面白い。映画の出来・不出来はともかくアクションでなければ夜も日もあけぬ男たちが腕によりをかけてつくっていた、という気がする。アクションスターがこれまた光っていた。スティーブ・マックイーン、クリント・イーストウッド、チャールズ・ブロンソン、バート・レイノルズ、エリオット・グールド、リー・マーヴィン。ポール・ニューマンもリチャード・ハリスもいた。監督ではドン・シーゲルにロバート・アルドリッチ。男ばかりじゃないかと思うなかれ。アルドリッチの遺作にして名作「カリフォルニア・ドールズ」の、健気で可愛く勇敢な女たちの奮戦はどうだ▼わかった、わかった、でもそれがロバート・レッドフォードとどう関係あるのかって? ふふ。70年代のレッドフォードはアクション俳優だったのですよ。だった、というのは今のレッドフォードからは想像もできなくなってしまっただろうと思えるからだ。サンダンス映画祭を率い映画界に新風を送り込んだ主催者にして改革者、門下から多数の俳優を送り出し伝説と神話の域にいるレッドフォード、というプロフィルは70年代以後のことだ。彼の俳優人生で刑事を演じたことは一度もない。彼は犯罪者を得意としていたアクション俳優だった。思い出してみよう「明日に向かって撃て」では列車強盗。「スティング」では詐欺師。「スニーカーズ」(これは90年代だけど)では指名手配のハッカー。犯罪者はレッドフォーフォドのもうひとつの顔である。そしてこの「ホット・ロック」では刑期を終えて出所したとたん、元の世界にまいもどる泥棒なのだ▼アクション映画としたけど、正確にいうとアクション・コメディだな。アフリカの某国の大使アムーザ博士がもちかけた話とは、ブルックリン博物館に展示中のダイヤの名品「サハリ・ストーン」は本来わが国のものであるから取り返していただきたい、つまり盗みだしてほしいという依頼だ。ギャラは一人2万5000ドル、必要経費は別途支給。ドートマンダー(ロバート・レッドフォード)はプロフェッショナル4人を揃える。どんな鍵でもあける義弟のケルプ(ジョージ・シーガル)、運転のプロ、マーチ、爆弾の専門家アラン。ダイヤは手に入れるが警察が踏み込み、逃げ遅れたアランはダイヤを飲み込んでしまう▼刑務所に収容されたアランを取り戻そうと彼らは刑務所を襲撃、連れ帰るが、えーッ。アランは翌日排便とともにダイヤを出し、拘置されていた警察署に隠してきたというのだ。ドートマンダーは激怒「どうしてもう一度飲み込まなかったのだ!」仕方なく今度は警察署を襲うことにする。アムーザ博士は制服を揃えろ、ヘリを用意しろという要求に渋い顔。それでなくても経費オーバーであるが乗りかかった船だ。苦難の計画遂行は実を結び、ついに隠し場所にたどりつくがダイヤは影も形も消え失せていた。さあどういうことだ、と仲間につめよられたアランは「弁護士である親父に隠し場所を打ち明けた」と思い出す。なんで親父なんかに言うのだ、とまたまたドートマンダーは頭にくるが「弁護してもらうのだから、なんでもいっちゃうよ」とマア息子の言い分ももっともである。今度は親父が相手だ。曲者弁護士は「わたしはひと目で人を見抜く。お主らにわたしを欺くことはできぬ」とうそぶく。この親父の口をわらせるプロセスがあっといわせる▼銀行の貸し金庫にダイヤはしまわれていた。そこまで聞き出したドートマンダーらはいよいよ最後の仕上げだと銀行に行くが、本人のサインでないと貸し金庫は開けられないとわかる。万事休す。弁護士は(お前らごときがダイヤを狙うのは10年早い)とせせら笑う。さすがのアムーザ博士も匙をなげるがドートマンダーはあきらめない。彼女だ、となにやら叫ぶのだ。彼女とは…催眠術師だった。ここからあとが最高なのだ。アランの親父は、あの金庫はわたししか開けられないからあいつらチンピラを相手にせず自分と組もう、かくかくしかじかでさっそくいっしょに金庫を開けにいこう、もちろん謝礼はいただくとアムーザ博士に近づき、博士はあっさり弁護士に乗り換える。泥棒もまっさおな連中である。スピーディな場面の切り替えが虚々実々。秘密兵器・催眠術とは何だったのか。いかに、だれに発揮されたのか。貸し金庫は開くのか。これはもう見てのお楽しみです。最後にネタバレをひとつ。「アフガニスタン・バナナスタン」は本作で用いられたキーワードです。「ホット・ロック」は若き日の、犯罪者レッドフォードを記念する佳品でした。