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シネマ365日

2013年3月31日

ルーキー (1990年 アクション映画)

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監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド/チャーリー・シーン

クリント最後のアクション映画 

 なんでいきなりイーストウッドがでてきたのかと思われようが、バート・レイノルズやチャールズ・ブロンソンや、1970年代のアクション映画をみていたら、やっぱり「ダーティー・ハリー」シリーズとか、一連のイーストウッドのアクション映画もまた一時代を画していた。それから十数年90年代のトバ口に公開された「ルーキー」は、イーストウッドのアクション時代にピリオドを打つ映画なのよね。この映画でクリントは60歳になった。アクションはだんだんしんどくなり、しかし映画会社はヒット作踏襲路線を改めず、「ルーキー」に先立つ4本でさんざんこけたにもかかわらず、肉体的にも無理があるアクションを撮らざるをえなかった、それが「ルーキー」の直前、つまり1980年代の後半だった。同時期のアクションや刑事ものには「ビバリーヒルズ・コップ」(エディ・マーフィー)「ダイ・ハード」(ブルース・ウイリス)「レッド・ブル」(アーノルド・シュワルツネガー)「ブラック・レイン」(マイケル・ダグラス)など若い生きのいい映画が続々出ていた。そこへ「ルーキー」だ。これらの映画の勢いのよさ、彫り込んだストーリー、キャスティングの面白さに比べたらどうみても「ルーキー」は影がうすい。威勢のいいアクションもなく、配役といえば…チャーリー・シーンとは「プラトーン」で注目されたが、なんぞといえば警察沙汰になっていた。麻薬や発砲事件、アルコール依存症、ドメスティック・バイオレンスによる暴行逮捕。それらは必ずしも「ルーキー」と時期を同じくしているわけではないが、こういう話題性に派手な俳優はクリントの映画では非常に珍しい現象でした。シーンはその後映画よりテレビで活躍し、2011年のフォーブスの「テレビ界でもっとも稼いでいる俳優」年収4000万ドル(約30億4000万円)で1位に選ばれた。それはともかく「ルーキー」は可もなく不可もなく、クリントやれやれと撮り終えた映画だ。問題はこのつぎの映画に「許されざる者」がひかえていたことで、クリントは腹の中でとっくに自分のアクション時代に見切りをつけていた、その締めくくりが「ルーキー」だったってことよ▼粗筋はとりたてて書くほどもない。クリントの部下が殉職し新しい配下としてチャーリー・シーンが配属された。過去に弟を事故死させたトラウマがついてまわり、それゆえ父親が大富豪の実業家なのに跡をつごうとせず警官となったものの、いつもジクジクと悩んでいる。クリントはドーナツなんか食う若い手下が腹ただしくて仕方ない。「ガキが食うようなもの、食うな」と怒鳴る。クリントが追っているのは相棒を殺した車の窃盗密売グループだ。ボスがなんとラウル・ジュニアである。イカレタ映画の不滅の名作「アダムス・ファミリー」で妻と家族を熱愛する主人公ゴメス・アダムスを演じたあのラウルである。なんだか「ハンド」がそのへん走り回りそうな気がしたわよ▼クリントがガンガンとりしまるものだからラウルは売る車がなくなって資金繰りが逼迫、カジノに強盗に入る。情報を入手していたクリントはこれで一網打尽、のつもりだったのに、優柔不断のチャーリーがドジを踏んで強盗団を取り逃がしたばかりか自分が人質になってしまう。「もうお前の顔なんかみたくない」署内で総スカンを食ったチャーリーは仕方ない、あれほど嫌っていた父親に頼んで、クリントの身代金の手配をする。ラウルは200万ドルもふっかけたものだから「そんな金どこにある」署長は一蹴「仕方ない、やつには死んでもらおう」なんて、つめた~▼カーアクションや爆破シーンなど、見応えのある場面はあります。あるのだけどもうひとつ、いい映画に絶対にある、たとえばセリフのないシーンの緊張感や風景だけにある詩情や、人物が顔と表情だけで伝えるなにかとか、監督のメッセージとなる「気配」のようなものがないのだ。クリントが手慣れた仕事を過不足なくこなしたということはわかるけど。

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