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特集「どんでん返し」

2013年5月8日

特集「どんでん返し」 愛という名の疑惑 (1992年 サスペンス映画)

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監督 フィル・ジョアノ
出演 リチャード・ギア/キム・ベイシンガー/ユマ・サーマン

 2,3年前になるがテレビのアンケートでハリウッドの男優ベスト25のトップがジョニデ、2位がリチャード・ギアだった。こういう人気投票は国によってちがうが、彼はことのほか日本人に人気があるし、彼の日本好きも相当だ。いやみのない良識派の面立ちや気質が日本人の中庸にあうのだろう。スクリーンの上でも詐欺師は「ジャック・サマースビー」で演じたが、ホラーとギャングものには出演していない。したかもしれないが見ていない。本作も精神科医という役柄だ。ちょっと「真実の行方」の弁護士役とダブルところがあるのは、どっちも〈やられ役〉だからだろう。どんでん返しでいっぱい食わされるにもかかわらず、アホにみえないトクな人なのだ▼キム・ベイシンガーは39歳だった。彼女は地味だがいい女優だ。代表作は「L.A.コンフィデンシャル」をあげるのが妥当だし、それがもちろんだと思うけれど「プレタ・ポルテ」の、なんのためにベイシンガーがでなければならないのか、首をひねるような役でも軽妙にこなし、逆に「あの日、欲望の大地で」やっぱりベイシンガーと思わせるのは、主役の邪魔をせず、かえってベイシンガーが出演したために映画の価値があがるという、難しいスキルを身につけているからだ。世間には逆ベイシンガーがいくらでもいる。たいして取り柄もないのに躍起になって自分を目立たせようとするウザッタイやつが▼しかし本作のベイシンガーは地味どころではない。「挑発する女」である。サンフランシスコで開業する精神分析医アイザック(リチャード・ギア)は若い女性患者ダイアナ(ユマ・サーマン)に興味を持つ。彼女は毎夜のようにユリとカーネーションとバラの花びらが散る夢をみる。自分の子供のときのことは姉がよくしっているからと姉のヘザー(キム・ベイシンガー)を紹介する。ヘザーは結婚3年の人妻。夫はマフィアでD∨に悩む。少しのアルコールで正気を失う病的酩酊という病歴がある。アイザックとヘザーは深い関係になりヘザーは夫と別れることを考える。ある夜セックスを強要する夫をダンベルで殴り死なせる。その日アルコールこそ飲んでいなかったが、服用した咳止めの薬にはアルコールが含まれていた、従って殺人は病的酩酊のなかで行われ本人に自覚はないとして、ヘザーの弁護士は無罪をかちとる▼問題はこの先。病的酩酊の治療のため暫時入院ということになったヘザー。アイザックが調べると、暴力亭主にかけられていた保険は亭主の兄が受取人だがじつにタイミングよく発作で死んでしまい、ヘザーが400万ドルという大金の受取人になっていた。できすぎの筋書きにアイザックは「?」ヘザーは最初から邪魔な夫を殺して400万ドルごっそりいただく、そのため妹をアイザックのもとに送り込み、事件を起こし無罪をかちとり一事不再理にもちこむのが目的だった▼アイザックは女の正体がわかって「えらいやつにひっかかった」凶器のダンベルには自分の指紋がついている。取り返さねばと手を尽くす。真相を知ったアイザックを消すためにヘザーが悪知恵の限りを尽くして病院を脱走し追跡します。このあたりにくると映画が前半にもっていた巧さがメタメタと失速する。考えてみてほしい。業界でも羨望される精神科医の彼は自信満々、美人の姉に出会いその日のうちにアプローチ、たとえヘザーに下心があったにせよだれのせいでもない、アイザックの〈身から出たサビ〉である。そんなやつが女にはめられた、とオタオタして人を雇ってまでヘザーのバッグ(ダンベルが入っている)をかっぱらいさせるのだ。女は自分が自由の身になるために邪魔なアイザックを殺そうと着々追い詰めていく。普通に考えたら灯台から海へ墜落というドジをふむのは、殺し屋の仮面をはいで正体を現した冷徹なヘザーより、ふるえあがったアイザックがしそうなことだろう。そんな男だから当て馬に選ばれたのとちがった? 一件落着かと思うといきなりダイアナがラストシーンに現れ、男に「わたしヘザーなの。一人娘よ」と自己紹介している。なにコレ。まだ隠されたどんでん返しがあるってこと。あろうがなかろうが映画としてはもう完全に付け足しよ。余計なことやらされてユマ・サーマンは失笑ものだったわ。気の毒。

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