女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「どんでん返し」

2013年5月9日

特集「どんでん返し」 コンフィデンス (2003年 サスペンス映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ジェームズ・フォーリー
出演 エドワード・バーンズ/レイチェル・ワイズ/アンディ・ガルシア/ダスティン・ホフマン

 「帰るぞ、おい」

 ジェームズ・フォーリー監督のどんでん返しといえばこれがありますね。幼馴染を殺され事件の謎を暴くため、広告業界の大物(ブルース・ウィリス)に接近する女性記者(ハル・ベリー)。アッといわせてくれた上出来のサスペンスでした。でもフォーリー監督の地力がもっともよく発揮されたのはなんといっても「摩天楼を夢みて」でしょう。アル・パチーノ、ジャック・レモン、エド・ハリス、ケヴィン・スペイシーという、煮ても焼いても食えない役者たちを揃え、売上ノルマでのたうつ不動産セールス業界を縦軸に、事務所で起こった犯罪の犯人さがしを横軸に、30歳の青年の監督作品だとは思えない、シリアスな社会派とエンタテイメントのドラマに仕上げました▼「コンフィデンス」も構成はよく似ています。そろった役者・緻密なプロットの積み重ね・種明かしのネタをあらかじめ観客にみせておきかつ騙す公平な(?)手口。「スティング」と比べて詐欺の見事さが落ちるといわれましたが、それは監督自身も承知していたことで、だから彼は本作の直後に「パーフェクト・ストレンジャー」をつくり、どちらかというと彼が詐欺よりも得意な心理戦で巻き返しを計ったのです。本作はやや小粒となりましたが、それでもフォーリー監督の包丁さばきはなかなかのものです。主人公は「語り」を受け持つジェイク(エドワード・バーンズ)です。「おれは死んだ」という死体ではじまる倒叙法でスタートです。レイチェル・ワイズも「ハムナプトラ」や「ナイロビの蜂」など芸域を広げ、本作では二転三転する裏切りの女を演じます。ダスティン・ホフマンはなんで出演したのかよくわかりませんが、くちゃくちゃとガムを噛む「噛み顔」さえ決めています。セリフを発音するのに邪魔にならないガムの量、歯の間からみえるガムの色、頬の寄るシワの数さえ知っているのではないかと、いやになるほど計算し尽くしています。しかしなんといってもキーパーソンは彼アンディ・ガルシアでしょう。みるからにいかがわしい連邦捜査官で現れ、執拗にジェイクをつけまわす。もちろん復讐のためですがここが問題だ。観客はのどに小石がひっかかったまま先に進むことになります。このへんの作劇がフォーリー監督らしいのか、らしくないのか、評価の別れるところだと思います▼粗筋は詐欺師グループのリーダー、ジェイクは仲間のゴドー、マイルズ、アルと詐欺で金をせしめる。ところがアルが殺された。彼らの誤算は盗んだ金が暗黒街の大物キング(ダスティン・ホフマン)の金だったことだ。ジェイクはキングをたずね、もっと大口の詐欺で金をつくって返すという。キングは同じ業界で目の上のコブ、銀行家のモーガン・プライスから500万ドルの大金を騙し取れと命じる。キングの残酷さはアルの殺しで証明済みだ。酒場で知り合った女スリ、リリー(レイチェル・ワイズ)が仲間に入り、綿密な500万ドル詐欺が練りあがった。過去にジェイクにいっぱいくわされた連邦捜査官ビュターンは、恨みを忘れないためそのとき締めていた同じネクタイをズーッと締め続け復讐をはたすべく逮捕のときをつけ狙っている。こんな簡単に色仕掛けにのるバンカーがいるかなと疑問だが、まあそこは目をつぶろう。ITバブルがはじけて事業の立ち上げがおじゃんになりそう、自分たちのコンピューター専門技術をもってすれば投資は回収どころか倍々ゲームなのにと、いっぽうでまくしたて、いっぽうで「いや。もうそんな幻想はやめよう」といさめる。詐欺にもボケと突っ込みがいるのですね。そんなこんなの螺旋階段を描きつつ銀行の融資副部長は抱き込まれてしまう▼死体となったジェイクにビュターンが「帰るぞ。おい」と声をかける。ライバルの遺骸に別れの声をかける? そんな殊勝なタマかよ。ビュターンの役割は連邦捜査官ですが「なんの?」と一言クエスチョンのはさまるシーンがあります。この一秒か二秒がミソです。「コンフィデンス」とは「自信」。仕事(この場合詐欺)は自信だという主人公のセリフからきています。

Pocket
LINEで送る