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特集「どんでん返し」

2013年5月10日

特集「どんでん返し」 ヴィレッジ (2004年 サスペンス映画)

監督 M・ナイト・シャマラン

ユートピアの秘密

 「どんでん返し」特集には登場してもらわないとおさまりがつかないのがシャマラン監督。制作費7168万ドル、興行収入1億1419万ドルのヒットになりました。キャスティングも豪華です。撮影にはいる前に全員体験キャンプまでしました。畑仕事やら鍛冶屋見習い、水汲みに編み物など「ヴィレッジ」生活に必要な技術を身につけた面々。世間から自らを隔離した素朴な村人の雰囲気をよく出しています▼1897年ペンシルバニア州。人口60人足らずの村で自給自足する人々が暮らしていた。彼らの不文律は「森に入らない」「赤い色を封印する」「警告の鐘に注意する」の三つだ。静寂な村で子供の葬儀が行われている。ルシアス(ホアキン・フェニックス)は弟の死を防ぐためには新しい医薬品が必要だったといい、町へいかせてくれと長老たちに頼む。年長者会議みたいな集会があり、そこの話し合いで村は統治される。年長者とはこの村を設立した人々である。なんのために村はできたのか。お伽話のようなヴィレッジに秘密が隠されている。ルシアスの母アリス(シガニー・ウィーバー)も年長者のひとりだ。お父さんはどうして亡くなったのかというルシアスの質問に、ある朝9時45分に家をでて川に落ちた死体で発見されたとだけ教える。ルシアスの幼馴染に知的障害のあるノア(エイドリアン・ブロディ)や目の不自由なアイヴィー(ブライス・ダラス・ハワード)がいる。アイヴィーとルシアスは相愛の仲だ▼家畜が皮をはがれた死体があいついで発見された。不穏な空気がいっきょに村を包む。そんなとき嫉妬にかられたノアがルシアスを刺し重傷を負わせた。アイヴィーはルシアスを救うため森を通って町に薬をとりにいかせてくれと父エドワードに頼む。父はそれを許す。理由はアイヴィーの目がみえないからだ。森にいるものを見ないですむからか、あるいは町に出てから町の光景をみないですむからか。言語に絶する旅に違いないという前提のわりに父親の説明は簡単だ「小川の音が聞こえるようになったら、それに沿って行くと秘密の道にでる」▼穴にはまったり雨にずぶ濡れになったりしながら娘は進む。秘密の道にでたアイヴィーはやがてツタのからまった崖に突き当たる。彼女は「エイヤッ」とよじ登る。登攀する気なのだとだれでも思うだろう。場面転換。パトロールの車からおりた警官が「若い娘を発見しました」と無線で報告している。そこには高い塀から落ちたアイヴィーがいる。パトカーは「野生動物保護区」と脇腹に書いた車。そうなのだ。アイヴィーが脱出してきた森とは広大な保護区でありその上空は飛行禁止区であり、村はそういう保護条件のもとに設立者たちがこしらえたユートピアだった▼エドワードの打ち明け話「我々のだれもがかつて大切な人を失い、悲しみに耐えかね、生きることの価値にさえ疑問をだいた。あのような心の闇をお前に(娘に)経験させたくなかった。愚かなうそを許しておくれ。悪意はなかった。無垢な世界を築きたかったのだ。レイプされ殺された姉、麻薬患者を助けようとして左目を撃たれた兄、朝でかけたきり服もお金も奪われイーストリバーで発見された夫、私の父は仕事のパートナーに撃ち殺された。そのような辛い経験をした人々がある日集まった。そこでこのヴィレッジの構想を提案したのだ」彼は「ヴィレッジ」の理想が「終わるときは終わるだろう」という冷静さもある。しかし今はどうだ「いっしょにやっていくか」という動議に年長者たちは賛成する。かくして「ヴィレッジ」は存続する。おかしなところもあるかもしれないがそうなる▼ルシアスは助かり、ノアはアイヴィーを襲って穴に落ちて死ぬ。ノアの役者が「戦場のピアニスト」でアカデミー主演男優賞のエイドリアン・ブロディです。長い顔のピアニスト以外印象が薄かったのですがこういうところに出ていたのですね。19世紀の衣装で刺繍をするシガニー・ウィーバーはマザー・グースの挿絵みたいでした。ウィリアム・ハートは今さらですが代表作だけでも「蜘蛛女のキス」(アカデミー主演男優賞)「白いドレスの女」「偶然の旅行者」「スモーク」「バンテージ・ポイント」など、60年以上に及ぶ多彩な芸歴の持ち主です。