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シネマ365日

2013年5月13日

ブレイクアウト (2011年 サスペンス映画)

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監督 ジョエル・シュマッカー
出演 ニコール・キッドマン/ニコラス・ケイジ

絶叫キッドマン 

 映画のできがどうのこうのという前に、笑ってしまったのです。いじわるでもなんでもなく、ホントにおかしかったのよ。だってね、強盗に入った四人組が金庫をあけろと脅すのよね、うち一人が統計上安全に逃げ切れる確率は行動開始から20分以内に逃走する場合で、それを超えると危険が増す、なんていうものだからリーダー格の男は早くもカイル(ニコラス・ケイジ)をぶん殴り金庫を開けさせようとしている、でもそばで妻サラ(ニコール・キッドマン)が恐怖のあまりやたら大声をだすのよね。娘は外出中だ、そのうち帰ってくるから早くずらかろう、なんて強盗のわりにあっさりしたことを話し合っている連中なの。そこへ娘が帰宅する、つかまえて縛りあげろ、となる。サラは狂乱のあまり「やめて、キャーっ」「黙っていろ、騒ぐと痛い目にあうぞ」「娘に手をださないで、キャーっ」「大声をだすな」「お願い、あなた早く金庫をあけて、キャーっ」「うるさい(ポカリ)」「わたしはどうなってもいいわ、娘を助けて、キャーッ」「おいっ」(ト強盗は亭主に向き直り)「女房を黙らせろ。わめきちらすから仕事に没頭できねえ」▼ニコラス・ケイジは殴られて蹴られて早くもボコボコになった顔で、得意のパターン「図らずも厄介に巻き込まれた男」を演ずる。中学生の娘は男に抑えこまれ、普通なら暴行か、というシーンだけど、これまたバタバタする娘のそばでニコール・キッドマンが声を枯らして叫んでいる。ケイジもキッドマンも娘も、殴られて床に転がされるだけの、単調きわまるアクションなのだけど、それを補ってあまりあるのが絶叫マシーン・キッドマンの大迫力なのだ。もうそれだけよ、この映画▼順をおっていくと、やり手のダイヤモンド・ディーラー、カイルは片時もケータイが離せない仕事人間。サラは、今夜は家族揃っての久しぶりの夕食だからと腕をふるって台所に立った。帰ってきたカイルはケータイでしゃべり詰めにしゃべり「ごめんよ、このごろ話しもできなくて」形だけはとりつくろってそそくさとでかけようとする。娘はサラがつきあうなという友達のところでパーティーだという。行ってはいけないとサラに止められ、膨れて部屋に閉じこもり隙をみて窓から脱出した。豪邸に住む恵まれた家族なのはうわべだけ。それぞれの心はばらばらになっていることを冒頭10分くらいで監督は観客に耳打ちする。そこへ保安官を装った強盗四人組である。ちょっと素人くさい彼らの行動にサラはうち一人が最近この家にきた配管工だとわかる。彼はちょっと異常だった。奥さん、奥さんとサラを慕うようで、でも「ちょっと何をしているの!」サラが飛び上がったのは厚かましくプールで泳いでいたからだ。じゃぶじゃぶと水から上がってきた彼は、恋人同士のようにサラをだきしめキスする。な、なにやっとンじゃ~という場面だが、サラは声もたてず男を見る。やっぱり夫とうまくいっていないからだよ▼大声を禁止されたサラは、配管工を篭絡して危機を脱しようと接近を図る。でもね、キッドマンって少なくともこの映画ではあんまり色っぽくないのよね。わたしを助けてともちかけるシーンなんか少年少女の内緒話みたいで、だいたいリーダー格の男がさっさと覆面をとって顔をさらし、続いて男も女もどっかり居座って時間ばかり経ち作業が進まない。なぜか。カイルが気絶しそうなほど痛い目にあいながら執拗にねばるのだ、金庫を開けないのだ。それどころか「娘の命はないぞ」と銃をつきつけられても「断る」ときっぱり。冗談じゃないわ、あなた、早く金庫をあけてと妻のほうが催促する始末。カイルを殺したのではダイヤは盗めない、強盗たちは焦りだす。お父さんは銃で足を撃たれるわ、投げ飛ばされるわ…しまいにキッドマンまで足蹴にされ娘は突き飛ばされ、あげくは絶叫マシーンで考えもまとまらず、気弱になった強盗らは身の上話を始め、仲間割れをおこす▼2時間近くそんなことばかりで、しまいにこの映画どうなるのだろうと心配になってくる。キッドマンもニコラス・ケイジもオスカー俳優だとはいえ、絶叫と殴られ役だけでみせるには限界があります。やっとたどりついたクライマックスとしては、サクセスしたダイヤモンド・ディーラーとはみせかけで資金繰りは火の車、豪邸も抵当にはいり破産宣告は目前、ついに開いた金庫のなかはからっぽ。ダイヤのかけらも現金ビタ一文もこの家にはないといいながら、キッドマンを納屋に追いかけた配管工が暴れながら壊した壁から札束がバッサ、バッサ。火が燃え移ってなにもかも炎上する。よろよろ入ってきたニコラス・ケイジが「貯めておいたのだ、銀行に持っていかれない金を、家族のために、でもすまない」「いいのよ」と抱き合う。強盗たちはみな相打ちになりパトカーがかけつける。ああやれやれ、やっと終わった、と安堵したのはわたしだけでしょうか。

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