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シネマ365日

2013年5月24日

カウボーイ&エイリアン (2011年 SF映画)

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監督 ジョン・ファブロー
出演 ダニエル・クレイグ/ハリソン・フォード

 想像力をかきたてないというよりまるで拒否しているようなノッペラボーなタイトル「カウボーイ&エイリアン」をみたときから、なんとなく不吉な予感がした。それに、ダニエル・クレイグって頭頂がとんがったキューピー頭でしょ。これじゃカウボーイハットは似合わんのとちがうか。そう思っていたらやっぱり、ひどいものだった。コミックだろうと小説だろうと映画化するのはけっこうだけど盛り付けはテンコ盛り、中身カラッポの映画はほどほどにしてほしい。出演者は豪勢ですよ。なにしろ007と若き日はインディー・ジョーンズだった人ですからね。お話も荒唐無稽が悪いというつもりはないです。リアリズムやシュールやロマンティシズムだけが映画だなんてだれも思っていない。それくらい映画の世界は豊かだ。でもなー。同じ荒唐無稽でも心底アホらしい荒唐無稽と心底楽しい荒唐無稽は、やっぱり区別するのが荒唐無稽に対する公平な扱いってものじゃないの▼で、なんでこうこの映画は騒々しいだけでつまらないのだろう。役者もけっこういいのが出ているのにね。つまらない理由っていうの、タイトルに如実なように、二項分類による極端な単純化ではないの。だれか「カウボーイ&エイリアン」といわれてその背景になにか見えてきます? せいぜい「それなに?」じゃない。これだけ連日のワイドショーやブログやサイトの書き込みによって国民総批評家になっているのに、ちょっとたくらみが足りんな。邦題が悪いと思ったら原題もズバリその通りでした。脚本家三人もいて何を考えていたのだろう。こういう映画となると、どうしても元祖「エイリアン」と比べてしまうのだけど、この比較はかんべんしてほしい。なにしろあれは名作にしていまや古典です。日本でいえば「源氏物語」にケチをつけるようなものだ。で本作が元祖に比べケタ違いにつまらない理由を考えていくと、主人公エイリアンの造型に行き着く。H・R・ギーガーが表現した元祖エイリアンの「優美な悪」にもたとえるべきスタイリッシュな表象が完全に欠落。ただただ異様で不恰好で醜いエイリアンが力に任せて跋扈跳梁するだけだ。お化け・怪談映画のほうがまだ愛嬌がある▼それにこのエイリアン、金(キン)が大好きなのです。なんだこれ。欲深なところはいやに人間っぽいではないの。それにダニエル・クレイグの正体は盗賊の首領だしね。要はゴロツキじゃないの。ハリソン・フォードは地元の権力者で息子に甘い権威主義者。ああ、自分でもブツブツ、ブツブツこんなことばっかり書いて、さっきから重箱の隅をつついてばかりにいるのに自己嫌悪を感じるのだけど、どこをさがしても魅力的なキャラクターじゃないです。シリアスな社会派映画ならそれでもいいけど「カウボーイ&エイリアン」というタイトルにシリアスを想像しろっていうのかよ。ただひとつハリウッドで一世風靡したハリソン君、いや今は尊敬をこめてハリソン翁といおう、彼が69歳にもかかわらず砂漠を走り急坂をよじ登り、元気なガン捌きとアクションで頑張っていることに敬意を表します▼そこでやっぱり粗筋を紹介しよう。時代は1873年。アリゾナ。記憶を喪失した一人のカウボーイ、ジェイク(ダニエル・クレイグ)が砂漠の真ん中で気がついた。左の腕に奇妙な腕輪。腹部には刺し傷。覚えのないきれいな若い女性を写した写真が落ちていた。いきなり三人の無頼漢が現れジェイクを取り囲み身ぐるみはごうとするが、ジェイク(このときはまだ名前がわからない)はあっというまにたたきのめし、彼らの衣服と銃を奪いふらりと砂漠に消える。登場人物は多彩ですがそれぞれに全然奥がない(原作がコミックのせいではなく脚本の責任だと思うけど)。地元の名士ダラーハイド大佐(ハリソン・フォード)の息子はアホで住民の顰蹙を買っている。酒場の店主はならず者にタダのみばかりされ、妻になぐさめられる。そこへ閃光とともに宇宙船が低空飛行、糸の先についた釣り針でかたっぱし住民をつりあげ宇宙船に吸い込んでいくのだ。なにがなにやら観客にもさっぱりわからないうち、謎の美人が現れ、彼女の説明によると今回の攻撃は地球侵略のためのサンプル探しみたいなもので、捕虜を分析し充分な情報を収集したら本格的に攻撃してくる。これはほんの手始めだ。彼女宇宙人だったのです。そうとわかれば態勢を整えねばならぬ。息子を取られた大佐も妻を奪われた酒屋の店主も神父も子供も白人もインディアンも、一致団結してエイリアンの迎撃に打ってでる。このへんからやっと本作のアクセルは踏み込まれますからお楽しみに。やれやれと思わないで、いいじゃない、きつねうどんだって薄揚げは楽しみに残しておいて最後に食べるのだから。

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