女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

シネマ365日

2013年6月3日

ダメージ シーズン3 (2010年 サスペンス映画 全13話)

Pocket
LINEで送る

監督 グレン・ケスラー他
出演 グレン・クロース/ローズ・バーン/テイト・ドノバン

パティ化 

 大好きなトムが死んじゃった。古狸のパティに女狐のエレン、マムシにサソリにコブラにハイエナ、煮ても焼いても食えない登場人物のなかでただ一人、白いハトみたいなトムが死んじゃったのだ。悲しい。本作でパティがめずらしく柔和な顔で「トム。うちにきて何年になる?」ときく。「11年かな」「…そう。看板にあなたの名前をだしましょう」「ほんとですか。うれしいです」トムの輝くような無邪気な笑顔。トムはパティ・ヒューズ法律事務所の共同経営者ではあるが、看板はあくまで「ヒューズ法律事務所」つまりパティの一枚看板だったのだ。本作までにトムは事務所を「辞職」「解雇」形はいろいろだが、パティのもとを去ったとみせて影で調査を進め、決定的な証拠をつかむ縁の下の力持ちだった。パティはおかげで法廷に出たら勝つとわかっている事件を和解にもちこみ、巨額の示談金をふんだくって「ヒューズ法律事務所」は大きくなってきたのだ。パティのやりかたのすべてを飲み込んでいたのがトムである。ラストでパティが桟橋の先端にたって海を見つめ「トムにあいたい」とつぶやく。このシーンは「ダメージ」全シーズンを通じてパティ・ヒューズのもらす決め台詞のひとつとなろう▼いっきょにラストに飛んでしまったが、今回はウォール街最大のネズミ講詐欺事件がテーマである。金をまきあげられた被害者の管財人がパティ(グレン・クロース)。事件の首謀者ルイスはどこかに必ず金を隠していると睨んだパティは執拗な聞きこみ、データの調査、相手側弁護士あるいは検察との駆け引きを重ねるが事態は容易に進展せず、何度も管財人解雇のピンチに陥る。しかも被害者の中にはトム(テイト・ドノバン)もいたのだ。投資にミスって破産したトムは、パティに事実を隠して調査に当たる。いっぽうヒューズ法律事務所を去ったエレン(ローズ・バーン)は検事局で麻薬密売事件の捜査にあたっていた。ルイスは逃げ切れないと覚悟をきめ自殺する。息子のジョーは頼りない男で父親の覇気もなければビジネス感覚もない。ただ詐欺事件がばれ自分の一生はこれで終わりだと悲観しているわりに欲だけは深い。母親のマリリンは肝っ玉母さんだが、息子の脆弱さにお手上げである。ジョーの妹キャロルは母親にいわせると「娘の男の趣味は最悪」。父の愛人や隠し娘が現れ第二、第三の殺人が行われる。ルイス家の顧問弁護士レナードは30年にわたって一家の相談にのっている。はたして隠し金はあるのか。パティはそれをつきとめることができるのか。網の目のような相互関連をかいくぐって、エレンの婚約者を殺した犯人の究明、エレンの姉の麻薬売買による逮捕と家族の影、娘の死産にまつわるパティの過去。検察と弁護側に別れたエレンとパティの接近、エレンの停職、複雑な回想と現在がからみあうときにパティの一人息子・17歳で無職のマイケルが、やってくれるのですよね。女を妊娠させ同棲し場違いのように幸せの絶頂にいるのだ。パティが見すごしておくはずがない▼パティは息子の女ジルを呼び出し「いくらなの?」と単刀直入にきく。「あなたが姿を消す代償よ。10万ドル? 20万ドル? 小切手を受け取って息子の前から消えてちょうだい」「仲直りしにきたのに」「ご冗談を。アメを拒否したらムチが待っているわ」ジルはしたたかだ。50万ドルと要求しパティは小切手をきり「このまま消えて」どっこいジルは消えなかった。どころかマイケルに新車を買い与え豪華なアパートに引越し、大きなお腹をかかえてマイケルを従え闊歩している。街でジルをみかけたパティが「まだいたの」「わたしを甘くみないで。どこかに行くと思った? いかないわよ。マイケルといっしょに暮らすの。50万ドルはありがたくいただくわ」あざ笑いながら去るジルをパティは黙って見送るが…パティの完膚なきまでの復讐でジルは逮捕される。ムチが待っていたのだ。収監されたジルは面会にきたパティに涙ながらに「許して。車もアパートも返すわ」「どっちも差し押さえたわ。あなたは刑務所で子供を産むのよ。親権はマイケルに。あの子がなにもできなくてもわたしがいるわ」(どう考えても相手が悪かったな~)▼不思議であるがパティとはかくもえげつない女なのに、なんで彼女のそばを離れず、陰日向なく尽くす男がいるのだろう。前シーズンで自殺したピートを「あの人がなにかするとしたらそれはすべてパティのためよ」と妻は言った。彼はパティに不利な証言をしないために死んだのだ。トムは「パティは本能的に人の心が読めるのだ。お世辞をいわれると口が軽くなる人間が嫌いだ」そしてエレンに言わせると「トムはパティを守りぬいたの」そのエレンはパティに殺されかけた。そもそもこの物語の発端はそこにある。エレンは「パティと毎日顔をあわせていると気がヘンになる。パティにはうんざりするわ。冷酷なエゴイストよ。でも彼女には友だちも家族も恋人も与えることのできない何かがあるの」これが怪人パティの危険な魅力なのでしょうか▼本作は「シーズン3」で終了だったらしい。最初は内容が暗く構成がややこしいということで評判にならなかった。エミー賞の連続受賞やグレン・クロースらレギュラー陣の気合の入った演技が徐々に評判を呼び「シーズン4」「ファイナル5」まで決まった。トムを失った喪失感で自分の死を思うパティと、検事局をやめたエレンが海をみているシーンで「3」は終わる。「白いハト」が飛び去ったあとは、どうなるのだろう。エレンの思考回路や言動はだんだん「パティ化」してきているしね。してみると今後の展開は、そばにいたら気がヘンになる女のそばにいてやっぱりおかしくなり「毒食らわば皿まで」とうとう危なさが突き抜けてしまった女たちの物語になるのだろうか。こわそう~だけどみとどけなくちゃ。

Pocket
LINEで送る