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シネマ365日

2013年6月7日

ミレニアム2 火と戯れる女  (2009年 サスペンス映画)

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監督 ダニエル・アルフレッドソン
出演 ノオミ・ラパス/ミカエル・ニクヴィスト

28歳・150センチ・40キロのヒロイン 

 前作から1年後、国外にいるリスベット(ノオミ・パラス)は後見人ビュルマンのパソコンをチェックして、報告書がきちんと提出されていないことを知りスウェーデンに帰国。ストックホルムの彼の自宅に行きビュルマンの銃を奪って脅す。銃はそのまま置いて去るのだが、このときに残した指紋がビュルマン殺害の容疑者として手配される原因になる。そう、ビュルマンは殺されるのだ。リスベットは自分が犯人にされていることを知って驚くがビュルマンの殺された理由がわからない。映画はここからリスベットの過去にさかのぼっていきます。「ミレニアム1」ではところどころ挿入されるだけだった彼女の父と母とそれにまつわる生い立ち。人を信じず人間関係を持とうとせず、依頼された調査をハッカーによって調べあげ資料を作成し収入を得る。無機質な生活ですが前作のラストでリスベットは事業汚職のデータに侵入し銀行から莫大な現金をひきだしました。本作の冒頭にある優雅なホテルはなんとカリブ海。彼女はそこでバカンスしていたのだ。うーむ。俗界と隔絶孤高なリスベットがだんだん俗化していかなければいいけど。帰国したリスベットはビアンな関係の女友だちに部屋を提供し(家賃は一年分前払いしてある)自由に使ってくれたらいい、ただ自分あての郵便がくるから教えてくれと気前のいい条件。自身は別の住居に移ります、映画の後半その住まいの値段がわかります。邦貨にして3億の超豪華マンションを購入していたのだ。そこには男もおらず女もおらず、パソコンだけに向き合う天才的28歳・150センチ・40キロ、背中一面ドラゴンを彫った女。リスベットの現実拒否のみごとな逸脱ぶりは、これじゃまず「俗化にまみれる心配はないなあ」と妙に観客を安心(?)させてくれるものです。リスベットが預金残高を勘定したり今月の支払いを心配する女だと、この映画は滑り落ちてしまいます▼母親を虐待した父親をリスベットが追いかけ、牛乳パックにいれた灯油を運転席の父親にぶっかけ焼き殺そうとする、そんな回想シーンが「1」で何度か出て来ましたね。リスベットは成長した今もそのトラウマから逃れられない。父親は焼死を免れたが女性虐待を裁判で罰せられることもなく、リスベットは精神病院に入れられる。リスベットは女を虐待する男に異常な憎しみを感じずにはおれない。もちろん自分への暴力も強姦も許さない。筋肉では負けるが身の軽さと敏捷な攻撃力を武器に必ず復讐してのけるのは「1」でみてきたとおりだ▼事件の謎をたぐっていくうちにリスベットは父親と再会する。そこで彼女をつけ狙っていた金髪の巨人男が異母兄であることもわかる。父親はお前の母親は淫売だったとリスベットに意地悪く告げる。母親はすでに亡くなっていたが「そうじゃない、母さんはスーパーで働いてわたしを育ててくれた」と言ったときのリスベットからはニヒルさが消え、急に小さな「女の子」になっていていじらしい。大の男二人しかも父親と兄という関係にもかかわらず、双方は憎しみのかたまりとなり、殺すか殺されるかのアクションに終盤なだれこみます。事件の発端はロシアの少女人身売買と買春組織でした。そこにからんだ二重スパイがリスベットの父親であり、彼が自分の娘を殺そうとする理由はリスベットの精神病院時代にさかのぼります。まだまだ真相は闇の中。しかし今回とりあえずは狂った父親と兄に射撃され、地中に埋められてしまったリスベットを救出しなければならない▼そこでミカエルが頑張るのですよ。前作ではリスベットに助けられているばかりでしたが、今回は違う。ニュース報道で事件を知った最初からリスベットは無実だと信じ真犯人を追及する。ミカエルと不倫の関係にある女性編集長は、ことリスベットとなるとミカエルは手が付けられなくなるほど夢中になるが、それが色恋かというとちょっとちがうことがわかっている。それよりもっと強い心の絆みたいなものが二人にはあるらしいのだ。自分のパソコンにリスベットから「友だちでいてくれてありがとう」とメールが入ったときは、なにもいわないでもわかりあえる、まるで肉親のような微笑みをミカエルはうかべます。ミカエルは自分のコネを動員してリスベットが落ちた罠に迫る。メタボでドンくさかった彼がなんとっ、金髪巨人に見事なケリを入れ退けるのです、この熱き友情を見よ。物語の流れでいうなら本作は、最終章「3」に至る中間部ということで「1」にあった衝撃度は薄まったかもしれない。リスベットにしてもミカエルにしても、観客がキャラに馴染んだぶん物足りないと感じるところはあるかもしれない。でもリスベットというヒロインはサイバーパンクの系譜から生まれるべくして生まれた、新しいカルチャーのヒロインとみなすことに躊躇はないと思えます。

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