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特集「ディーバ(大女優)」

2013年6月10日

特集「ディーバ(大女優)」 シガニー・ウィーバー エイリアン4 (1997年 SFアクション映画)

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監督 ジャン=ピエール・ジュネ
出演 シガニー・ウィバー/ウィノナ・ライダー

リプリーのエロチシズム 

 クローンをつくる段階でエイリアンの遺伝子がまじったリプリーは、もとのリプリーと別人のワイルドな女となって登場する。前作の惑星フューリーの宇宙刑務所で、エイリアンのクイーンを宿したままリプリーは溶鉱炉に身を投げた。リプリーの冷凍血液がフューリーの実験室に残っていて、エイリアンを生物兵器にしたい科学者らは、血液からクローンのリプリーをつくることに成功し、彼女の体内で育っていたエイリアン・クイーンを摘出した。そのクローン研究所・宇宙船オリガ号に別の宇宙船ベティが到着した。ベティの乗組員らの仕事は、エイリアン培養に必要な冷凍人体を搬入することだ。同じ船内にはクイーンを取り出したあとは用済みとなったリプリーが、科学者たちの興味深い実験材料として監禁されていた▼クローンのリプリーは科学者らのレクチュアを受け、実験室に12匹ものエイリアンがいることを知り「人間はみな殺されるわ」と平気でいう。リプリーの身体能力は異常に高度で(後ろ向きでバスケットボールをロングシュートさせるシーンは特撮でもCGでもなく、シガニーは何度も練習してリハーサルなしワン・テイクで決めた。スタッフは拍手喝采した)と思えば鉄棒で顔をブン殴られて滲んだ鼻血をヒュッと指でとばし、床におちた血は強度な酸性を示して鉄を溶かす。以前はチョー優等生だったリプリーがふてぶてしく変身した。食事のテーブルで教官が「手掴みでなく、これを使うのだ、フォークだよ」と教えると「ファック?」と聞き返す。ベティの乗組員がリプリーに言い寄ると「生き残るためにだれとやればいいの」と捨て鉢な台詞。自分たちに鼻もひっかけない傲慢女に男たちはアタマにくるが、コブシも届かない。半殺しにあう。もはや彼女は人間ではないのだ▼エイリアンと人間のハイブリッドになったリプリーはそれでも過去の記憶装置が働いて、本能的にエイリアンを敵と認識する。船内では科学者も乗組員たちも一人消えては血祭りにあい、二人三人と惨殺死体が続く。ベティの乗組員たちもオリガ号の船内にいる敵が、自分たち全員を殺すまで殺戮をやめない怪物であると、やっとリプリーのいうことを信じる▼いよいよここから一致団結、エイリアン撃退サバイバルチームが発足する。浸水した宇宙船の船底を原始の深海魚のように泳ぐエイリアン。実験室の一室を開けたリプリーは、完成するまで様々な奇形となったクローンの失敗作を数体みつける。容貌はリプリーだったが腹部がねじれ、下半身にはエイリアンの脚が生えた形状で苦しみながら「殺して」とリプリーに訴えるクローンもいた。残虐な実験の結果にリプリーは火炎放射器ですべてのクローンを焼却する。攻撃するエイリアンを一匹ずつ撃退しながらリプリーの高度に発達したセンサーは船内の変異を感知する。「女王」が苦しんでいた。リプリーとのハイブリッドでエイリアンは子宮を得たのだった。もはや宿主を必要とせず「女王」は子供を産み落とせる。女王エイリアンの巨大な腹部と渦巻きのような脚の間に落ちたリプリーは、産みの苦しみにのたうちまわるマザーの波動に揺られながら(見まちがいではないと思うのだが)なんとなく恍惚としているのである。まあ半分エイリアンだから痛みをわかちあえるのだといえば言えるのだろうけど、それより「エイリアンシリーズ」で勇敢ではあっても色気にはほど遠かったリプリーが、初めてみせたエロチシズムではないの? そこでいよいよニューエイリアン誕生である▼「4」はよくできていたと思うのよね。アクションにしろ、リプリーの半エイリアンの変身とキャラにしろ、ウィノナ・ライダーが正義と理念に燃えた若き日のリプリーのごとく、地球を救うために送り込まれていたロボットだとか、荒くれ男たちはリプリーにコテンパにやられながらそれでもチームワークと男気を発揮してアナログのよさをちゃんと見せるし、ただひとつこのニューボーンがなあ。エイリアンには悪の完成体としての洗練があるのだけど、頭が異様に大きくて眼の奥がキラキラし(おまけに信号のように色が変わる)リプリーに抱っこしてくれとばかりにじり寄るのだ。オオよしよし。でもこの子は半分人間の血を引いてはいるとはいえ、こんな造型で地球に連れ帰っても見世物にされたらどうしよう。リプリーが泣く泣く我が子を宇宙空間に放逐するのは、ひょっとしてそんなことを考えたのではないだろうか、と推測してしまうほど不細工なのだ。かわいそうに。もうちょっとなんとかしてやればよかっただろ。というのもリプリーは本来母性の豊かな女性なのよね。「エイリアン2」では12歳の女の子を救出するためエイリアンの巣窟に単身引き返すのよ。「3」だってエイリアンを殺すのは我が身もろとも、というところに、宿した子供だけを死なせない母性の変奏を感じる。溶鉱炉に落ちていくとき大きく両手を広げるのは宗教画の趣だった▼とにもかくにも「エイリアン」シリーズは本作「4」をもって完結しました(2013年今のところ)。「3」で決別したつもりだったシガニーは「4」の脚本が気にいってオファを受けたそうです。「5」? シガニーはエイリアンの祖母か。完成度の高いままやめておいたほうがいいと思うね。

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