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特集「ディーバ(大女優)」

2013年6月14日

特集「ディーバ(大女優)」 シガニー・ウィーバーワー 
キング・ガール(1988年 コメディ映画)

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監督 マイク・ニコルズ
出演 メラニー・グリフィス/シガニー・ウィーバー/ハリソン・フォード

シガニーの悪役好き

冒頭「自由の女神」の巨大な後頭部からカメラが回り込み、高層ビルの密集するウォール街に入っていく。時刻は朝だ。摩天楼の下を男女ビジネスマンが勤務先に急ぐ。テスもその一人。スニーカーをはいて大股に歩き、ドアに吸い込まれていくたくさんのOLのだれかれと明るい挨拶をかわす。席につけばスニーカーをヒールに履き替える。通勤にはメ一杯おしゃれをして出かけ、職場につくとスリッパかサンダルに履き替えることの多い日本のOLとは逆かもしれない。ニューヨークの彼女らのスーツとピンヒールは職場の戦闘服だ。テスは上昇志向の強いビジネスウーマン。30歳である。アタマが切れて仕事熱心なテスが夜学出身のため昇進を阻まれ、証券マン養成コースから外されてばかり。君はハーバードじゃないからねと男性上司はあからさまに学歴差別をする。差別といえばケヴィン・スペイシー扮するテスの上司がワン・シーンだが出演する。タクシーのなかでテスをくどきいうことをきけばうまくはからってやるというセクハラもいいところ。額が後退しテカテカ光るおデコ、ぬらぬらと濡れた唇で言い寄り、太ももや胸に手をのばす。変態上司に一撃を食らわしたテスはもちろん配置転換。人事の研修担当者は「テス、あなたの配置転換は三度目よ。これが最後よ。ボストンから女性重役が着任するわ」と引導を渡す▼女性重役キャサリンがシガニー・ウィーバーだ。グリフィスもシガニーも堂々たる長身で二人並ぶと威容である。シガニーはいかにも鋭角で、グリフィスはしゃべりかたがゆったりして鷹揚で、かさばった服をきると「クマが出た!」という感じだ。肩で風を切ってシガニーがオフィスに入ってくる。秘書であるグリフィスが緊張して待機する。シガニーがいいつけた用件に「わかりました、キャサリン」と答えると、シガニーの目が一瞬キラっと光るがすぐ消し去り、いかにもさりげなく「いいわ。許すわ」秘書風情にファーストネームで呼んでいいとだれが許可した、と言いたいところなのだ。お前はいったい何さまだ。そんなタカビーのかたまりをシガニーが嬉々として演じている。本作といい、このシリーズでも掲載することになる「スノー・ホワイト」といい、シガニー・ウィーバーは愛と平和に満ちたヒロインもさることながら、エキセントリックな女となるとどうしようもなく気合が入るらしいのだ。テスはたちまちキャサリンに圧倒され、なんでも打ち明けられる信頼できる上司としてラジオ局買収のアイデアをだす。乗り気でなさそうなキャサリンだったが、部下のせっかくの提案をむげに却下しない理解ある上司としてチャンスをみて上申すると答える。ハナもひっかけてくれなかった男性上司をなんたる相違。感激したテスはボーイフレンドに「わたし頑張るわ」さらなる熱血宣言。だがデートの時間もつくれないテスに彼氏は脇見していく▼シガニーがスキーで足の骨を折り入院中テスが代行する。シガニーの自宅も出入り自由。そこでテスはシガニーが自分のアイデアを「テスを通さず」進めるよう指示しているのを知る。くそっ。あのオバハンは人間の皮をかぶった女狐だった。テスはたちまち逆襲に出る。ただならぬ変身である。シガニーの入院をさいわい重役になりすまし買収をとりもつジャック(ハリソン・フォード)なる人物が主催するパーティーに(シガニーのドレスを着て)出席。自分が買収合併に関して一切をしきっている責任者だという▼いっしょに仕事を進めるうちジャックはテスが気に入り、恋人がいるが君と結婚する、ということになった。その恋人がシガニーで彼女は自分の撒いたタネとはいえふんだり蹴ったり。松葉杖をついてものすごい形相で重役会に乗り込み「その女はわたしの立場をかたるにせもの、ただの秘書よ」とテスの正体をばらす。テスはすごすごと退場する。しかしシガニーがアイデアを盗んだのは事実だ。正義の鉄槌はいかにくだされるのか。まあね、ウォール街の男たちがこの映画のように甘いとは考えられないし、アイデアの盗用なんかザラだし「盗られたお前がドジなのよ」で別のストーリーもできるだろうが、マイク・ニコルズはそうはしなかった。「卒業」でもそうだったでしょ。ハリソン君はどこから見ても「いい人」すぎるけど、女ふたりのバトル、とくに悪役好きなシガニーに免じて「許すわ」

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