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特集「ディーバ(大女優)」

2013年6月18日

特集「ディーバ(大女優)」 シガニー・ウィーバー 愛は霧のかなたに (1988年 事実に基づく映画)

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監督 マイケル・アプテッド
出演 シガニー・ウィーバー/ジョン・オミラ・ミルウィー

二つの墓ひとつの魂 

 30代でいい仕事の多かったシガニー・ウィーバーの、特に思い入れの強い代表作のひとつ。アプテッド監督は非常に守備範囲の広い人で、ドキュメンタリー「UPシリーズ」や「アガサ/愛の失踪事件」や「007ワールド・イズ・ノット・イナフ」などを撮っているけど「ナルニア国物語/第3章アスラン王と魔法の島」も忘れたくない監督です。ダイアン・フォッシー(シガニー・ウィーバー)が18年間の研究生活を過ごしたカリソケ研究所は「神にいちばん近い場所」と彼女がなづけたところ。撮影は当時マウンテンゴリラ260頭が生息する、マウンテンゴリラ最後の聖域といわれたヴォルカン国立公園で行われた。ヘリコプター上空禁止区域なので重い機材やカメラはすべて人力で運んだ。現場は標高4000メートルの山奥である。ふだんはもの静かなゴリラだが驚くと怪力をふるうので、彼等を刺激しないよう、普通100人かかる撮影をわずか数人のクルーでやった。体力勝負だった。ダイアンは野生ゴリラの群れに身を置くという、それまでだれもしたことのなかった斬新な方法でゴリラの生態を観察し研究発表した。撮影隊の重要課題のひとつはシガニーの安全を守ることだった。彼女は実際に野生ゴリラのそばに横たわり、手を握り、背中や頭をなで子供のゴリラを抱き、ダイアンの案内を務めたガイドから教えてもらったゴリラ語だという「ウフウフ」という鼻の鳴らし方や「ぐふぐふ」というのど声で劇中なにやらしゃべっている▼ダイアンに親しみを寄せる群れの雄大なボス、デジット(ダイアンがつけた名前)が、子供のゴリラを守って密猟者に立ち向かい殺される。異変を知って現場に走ったダイアンがみたものは首と手首をきりとられたデジットのかわりはてた姿だった。手首は白人が灰皿にするのだ。ダイアンは人間の残酷な仕打ちに沸騰する。密猟者を手引きした現地人をとらえ、彼等を吊るし(命は助けるが)名誉を奪い、わらの家に火を放つ。ダイアンの影に形の沿うごとく行動をともにしてきた従者でありガイドであるセンバガーレ(ジョン・オミラ・ミルウィー)は「いままでもこれからもわたしはあなたの味方です。でもきょうはそれが恥ずかしくなりました」と告白するほど暴走する。ダイアンはゴリラの生態撮影に派遣された写真家ボブという恋人ができた。ボブはダイアンと結婚するため離婚話を妻とすすめるが、結婚していざどこに住むか、の話し合いなるとダイアンは「ここを離れないわ」というのだ。彼等(ゴリラ)の姿を見て匂いがして、いっしょにいることのできる「神にいちばん近い場所」を去る気はなく二人は破局である▼ダイアンを最初警戒していたデジットは、ダイアンが自分の手振り、身振りの真似をするのに関心を示し、近づいて「ぐふぐふ」匂いをかぎ、ダイアンが無防備に横たわると、そばにしゃがみ、興味深そうに地面にのばしていたダイアンの指にさわる。ダイアンはデジットが太い指で自分の指をにぎったことにどうしようもなく感動して、デジットが立ち去ったあとも、その指をなでさする。ダイアンは受け入れられたのだ。ゴリラの群れのなかにいっしょにすわり、せっせとノートにメモするダイアンをセンバガーレはやさしく見ていた。デジットが殺されてから人が変わったダイアンは、助手として研究所に派遣された大学生たちが充分な仕事をしないと露骨な嫌悪を示しクビにする。ダイアンにはもうゴリラ以外心を許す存在はいなくなったのだ。しかし密猟者たちにとって彼女は邪魔だった。1985年12月のある夜だった。気のせいかと耳をすましたダイアンは、たぶん風の音と思ったのだろう。そのまま眠りについた。翌日斧で惨殺された彼女の死体が発見された。53歳だった。死の真相はいまも謎だ。ダイアンの命を捧げた仕事によって密猟は激減し、絶滅寸前まで行ったマウンテンゴリラは生存の望みを得た。彼女の信念と熱意はいまも生き続け、ゴリラの数は増えてきている。シガニー・ウィーバーはこの映画に出演することでダイアンの仕事を手伝い、彼女の死が無駄でなかったことを示した▼センバガーレはダイアンがつくったデジットの墓のとなりにダイアンを眠らせた。センバガーレは墓を囲む石と石を並べ替え、ふたつの墓が同じ囲いのなかにあるようにした。土地の言い伝えによれば、そうするとふたつの魂はいっしょになり、いつまでもともにいることができるのだそうだ。

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