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特集「ディーバ(大女優)」

2013年6月19日

特集「ディーバ(大女優)」 シガニー・ウィーバー マップ・オブ・ザ・ワールド (1999年 家族映画)

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監督 スコット・エリオット
出演 シガニー・ウィーバー/ジュリアン・ムーア/クロエ・セヴィニー

人生再出発

 アメリカ中西部の農場を営む一家の主婦が、ふとした事故から非難と中傷を浴びながらも困難から立ち直っていく物語。主婦アリスにシガニー・ウィーバー。彼女の親友テレサにジュリアン・ムーア、アリスを目の敵にしてついに刑務所に送り込む母親キャロルにクロエ・セヴィニー。アリスの性格が単純なようにみえて複雑なので、筋書きは簡単なのに書くことはたくさんある。そう思ってしまうのは、平凡な主婦であるアリスの背景が屈折しているからだ。アリスは孤立している。牧場で牛を飼う彼等夫婦は牧歌的ではあるが生活はそう豊かではないふうだ。アリスは牧場と主婦業と、小学校の保険医として働いている。娘が二人。上の子は反抗的でいうことをきかない。夫のハワードは真面目な働き者だがもうひとつ気がきかない。台所でフライパンの目玉焼きが煙をあげていても知らん顔だ。お母さんのいうことをきけと娘を叱るわけでもない。ひとことでいうと頼りないのである。環境は典型的なサバービア(郊外型コミュニティ)で、近隣住民は数年前に引っ越してきたアリス一家を牧場経営するヒッピーだとみなしている。学校にいけば問題行動の息子を保健室におしつけてくる母親キャロル。キャロルはそもそもよそ者のアリスを白い目でみている。自然に恵まれた一見美しいサバービアであるものの、アリス一家は地域から浮き上がっているのだ。ただひとつ救いはテレサがやさしく、お互いの子供を預け合って食事に呼んだりよばれたり、家族ぐるみの交流があることだ。いうなれば思い通りにいかないことばかりのなかで、最悪の事態に陥ってしまった主婦がアリスである▼テレサの娘二人が遊びにきていたとき、アリスが水着に着替えているうちに下の子がいなくなった。彼女は池に落ちて溺死した。失意のテレサはしばらくひとりになりたいと旅に出る。良心の呵責に悩むアリスはキャロルら学校の母親から児童虐待で訴えられ逮捕されてしまう。刑務所に入ったアリスの保釈金をつくろうと農場を売ったハワードは、慣れない娘たちの世話をするが、世間の白眼視に疲れきる。そこへ旅行から帰ったテレサは一部始終を聞き、なにがあろうとアリスを信じているといい、子どもたちの世話を引き受けてくれる▼刑務所では女囚たちが「子殺し」だといいたてるがアリスは自若としている。弁護士が「君はなぜ平常心を失わないのか」ときくと「一種の解放感よ」と答える。アリスは子供が死んだのは事故ではあったが責任をぬぐいきれるものではない、刑務所はその自己罰をとして受け止めたのだろう。裁判では原告側の母親の乱れた男関係を目撃していた息子が話を捏造していたこと、証人として出廷したテレサが「これからもアリスに子供を預けることができる」と証言したことから無罪となる。アリスとテレサは再び友情を取り戻し、テレサはつぎの子を妊娠した。農場を売った一家は都会生活にもどり、ハワードは唯一動物と土の匂いのする動物園の飼育係の職に就いた。いろいろあったがともあれ落ち着いてよかった。アリスは一家揃った夕食の席で家族の絆と平安をかみしめる▼ちょっとアクの強いアリスに比べ、テレサのやさしい人柄がきわだっていますね。ハワードがふらふらとテレサを抱こうとするのですが「いけないわ」なんて押しとどめる。オッサンの調子のいいこと。物静かで芯の強いテレサが印象的です。刑務所で女囚たちのいじめに屈服しないアリスにだんだん尊敬が集まり、とうとうイジメのボスが「子供は何人?」ときく。「名前は? わたしにも娘が二人いるの」アリスという女性は強いやつには強いがやさしく出られると弱いのです。それまで突っ張っていた心棒が外れたように号泣する。出所した母親に「刑務所ってどんなところ」と上の娘がたずねる。アリスはギクッとするが「ごみだらけのハムスターのおりにいるみたいよ」と答える「じゃ車輪も回すの」ときく娘に「まさか」といって晴れ晴れと笑う。こんな細部がきちっと組み上がっていて、映画全体が堅牢な建物のようにしっかりしていました。

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