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特集「ディーバ(大女優)」

2013年6月23日

特集「ディーバ(大女優)」 シガニー・ウィーバー 宇宙人ポール (2011年 SF映画)

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監督 グレッグ・モットーラ
出演 ニック・フロスト/サイモン・ペック/シガニー・ウィバー

オマージュに満ちたSF 

 前後のなんの脈絡もないが、見ていて「マダムと泥棒」がひょいと浮かんだ。筋書きがどうとか、場所や時代や人物がどうとかいっさい関係ない。ただ映画のあちこちにたちこめている毒のようなものがじつによく効いていて、その手際というか場面の運び方というか、ユーモアを装った〈ブラック〉の隠し味が絶妙です。宇宙人ポールの造形がそもそもいやらしい。頭が異常に大きく目が鋭く、すぼまったかと思うと張り裂けるほど見開き、体躯はがりがりでお腹がとびでている。背は低く子供なみだ。性別からすると男で、パンツをはいて男性自身を隠しているが、地球人とちがって大きいとか短小とかにはこだわりがないらしく、すぐに脱ぐ。地球人を能力の劣る野蛮な種だとみなし、自分がアリゾナの砂漠に墜落して、ゲストとして60年間地球にいるあいだに大いに地球文化は変化したはずだ、大衆文化とはおれがみな教えてやったのだと豪語する。ポールと名乗る宇宙人の話によれば「未知との遭遇」「スター・ウォーズ」「プレデター」などは彼のアイデアである。電話でスピルバーグ君となれなれしく呼び、返事する声は本人である▼バーに入って「ゲイか」とからまれるシーンは「イージー・ライダー」そういえば焚き火を囲んでマリファナを吸うシーンもあった。ポールは60年も地球にいる間に英語を流暢にしゃべるだけでなく、スラングは達者、タバコもマリファナも覚え、下品なジョークを連発する。同じ宇宙人でも童心そのままの「E.T.」とはえらいちがいのひねたオッサンなのだ。彼は自分が客としてもてなされていると思っていたが実は政府の秘密基地に幽閉されており。地球人は「おれから取るだけのものを取ったから、あと残っているのは特殊能力さ。それは脳幹にある。だから脳を取り出したいのだ。おれはつまり殺されるのだ。だから逃げ出してきたってわけよ」そこで砂漠の真ん中でSFオタクのイギリス青年クライブ(ニック・フロスト)とグレアム(サイモン・ペッグ)に出会った。二人はポールを迎えにくる宇宙船の着陸地(ここが「メン・イン・ブラック」そっくり)まで送っていくと約束する。ポールの特殊能力がほしい政府の追手が迫ってきた▼特殊能力とは一言でいうと生命再生能力で、ポールは死んだハトを手のひらにのせ「うーん」と念力を発すると、ハトの細胞はみるみる蘇生し羽ばたいた。愛の行為と思いきやポールはむしゃむしゃとハトを食ってしまう。理由? 「死んだハトは食えない」食えないのは脚本だろ。ラストにオレンジ色に発光する飛行物体が降りてくる。いよいよ着陸か。ポールもクライブもグレアムも途中いっしょになった原理主義者もその娘も見上げる。それは宇宙船でなくヘリコプターだった。「ビッグ・ガイだ」とポールが緊張する。人間のやることをてんからバカにしているポールだが、ビッグ・ガイなるものには警戒していた。降りてきたビッグ・ガイがシガニー・ウィーバーなのだ。これ「エイリアン」へのオマージュでしょうね、きっと。それにしてもこの人何でこう悪役が好きなのでしょう。夜会服みたいなドレスで登場して「ハーイ」。「ギャラクシー・クエスト」から12年。シガニーには悪役の系譜があると書きましたが「SF」の系譜もありますな(本作のあとの「キャビン」も怪奇SFものです)ポールの宇宙への帰還をあくまで邪魔する政府要人がシガニーの役です。ガンガン銃を撃ちまくるアクションも楽しませてくれますが、降りてきた本物の宇宙船の脚にガツン! 地面にめりこんで最期となります。こういう役をやりたがるって、ホンマ変わった女優です▼最近作では「レッド・ライト」はロバート・デ・ニーロと、「ボディ・アート」はなんとデヴィッド・クローネンバーグやイザベル・ユペールと組み、仲良しのジェームズ・キャメロンは「アバター2」の出演者に早々とシガニーを決めました。キャメロンよ、君は死んだグレイス博士を生き返らせてまでシガニーを起用したいのか。ほかに女優はおらんのか。シガニーは63歳。東のシガニーに西のドヌーブですね。怪奇だろうとSFだろうと、一流監督による旺盛な出演作のオファに、ディーバなるものを見ます。

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