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シネマ365日

2013年6月25日

ベッドルームの女「窓」 (1987年 サスペンス映画)

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監督 カーティス・ハンソン
出演 スティーブ・グッテンバーグ/エリザベス・マクガヴァン/イザベル・ユペール

欲望が生煮え 縦横無尽のユペール 

 ハンソン監督が42歳のときの映画。監督第一作だったと思う。ハンソン監督は本作から2013年までの監督作品は9作。26年間の間にだから寡作だ。その中には「ゆりかごを揺らす手」「激流」「L.A.コンフィデンシャル」や「8Mile」「イン・ハー・シューズ」などの佳作・名作があった。ヒッチコックのような歌舞伎のように魅せるドラマティックなサスペンスではないが、足元からじわじわ水が浸潤してくるような、いつ落ちるかしれない吊り天井みたいな、あるいはややこしい筋書きではないのに、ダシの取り方が丁寧なために重層した味わいを感じさせるとか、ハリウッド映画のなかで彼が示す洗練は、ハリソン独特の映画作法なのだ▼とまあ、ベタホメしたあとでちょっといいにくいが、本作はうーむ、どうだろ。スティーブ・グッテンバーグはどうしても「ポリス・アカデミー」を連想してしまうし、エリザベス・マクガヴァンの丸々した童顔はサスペンス向きじゃないと思うのだけど。ラストが近づくにつれ映画はだんだんスリル度を増し怖くなっていくけど、ハンソン監督のスキルからすればマアそんなものでしょうが、エリザベス・マクガヴァンは堂々たる女丈夫ですよ。冒頭の暴行シーンでもマクガヴァンのほうが男より体格がよくて、どっちが暴行しているのだか、彼女が本気で向かっていったら犯人をやっつけそうだったのよ。話を整理しながら進めるとこういうこと。建築家のテリー(スティーブ・グッテンバーグ)は大手企業の社長夫人シルビア(イザベル・ユペール)と不倫中。パーティーの帰りテリーの部屋で密会したシルビアは窓の下で女性が襲われるのを目撃する。シルビアは窓を開けようとしたが開かない。テリーを呼ぶうち男は女性を茂みにひきずりこもうとする。ガンガン窓を叩くシルビアに男は気づく。シルビアと犯人はまともに顔をあわせる。やがてばらばらと住民が出てきて犯人は逃走。名乗ると不倫がばれるシルビアに代わりテリーが警察に通報した。被害者のデニス(エリザベス・マクガヴァン)やテリーの証言をもとに捜査は進められ、容疑者ヘンダースンが線上に浮かぶ。しかしテリーが本当の目撃者でないことが裁判でばれ容疑者は釈放。逆にヘンダーソンとデニスは法廷でのシルビアの振る舞いから、実際に目撃したのはテリーではなくシルビアであることを感づく▼テリーはヘンダーソンがシルビアを狙っていることを知り知らせようとするが間に合わず、音楽堂でシルビアはヘンダーソンに刺殺されてしまう。彼は性的魅力をふりまく女に異常な憎しみを感じる変質者だったのだ。シルビア刺殺の現場にいたテリーは犯人の容疑をかけられ逃走する。デニスはそんなテリーの疑いを晴らそうと、自分が囮になってヘンダーソンをおびきよせ真犯人をつかまえようと提案するが…もちろん最後の捕物がヤマですが、イザベル・ユペールが殺されてスクリーンから退場すると途端につまらなくなるのだな、これが。彼女は自分の立場がこじれてくると夫にあっさり不倫を白状して元の鞘におさまり、テリーを冷たく突き放す。ユペールは34歳。翌年クロード・シャブロル監督と組み「主婦マリーがしたこと」から「ボヴァリー夫人」「沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇」「甘い罠」ミヒャエル・ハネケ監督の「ピアニスト」「タイム・オブ・ウルフ」「愛 アムール」と映画賞を総ナメにする快進撃が続く。本作ではどうしようもない自分勝手でご都合主義で、親切は世間向けのみせかけ、それも面倒になるとてのひらを返し、男はそんな女だとわかっているが、かえって女の気まま・わがままが魅力的にみえひきずられる、という役作りを愉しく演じている。こういう縦横無尽な女優にかかると、映画とはどんな理屈をいってもしょせん土俵にあがる役者次第じゃないかと思ってしまう。

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