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シネマ365日

2013年6月27日

ハモンハモン (1992年 恋愛映画)

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監督 ビガス・ルナ
出演 ペネロペ・クルス/アンナ・ガリエナ/ステファニ・サンドレッリ/ハビエル・バルデム

ハモンな人々

 この映画に登場するスペイン人って特別なのでしょうか。それともおおむねああいう人たちばかりなわけ? あるいはルナ監督のいう「ハモン」(魅惑的)とは本作の主要人物を意味するのでしょうか。いずれにしても日本人とはえらいちがい。ペネロペ・クルスのデビュー作ですが彼女このとき18歳ですよ。白いスリップみたいな服は雨にびしょ濡れになって肌に密着、乳房もパンティもまるみえ、とぼとぼと歩いてたどりついた酒場でひと目もはばからず男と抱き合いますが、全編こういう濃厚なシーンがてんこ盛りで、それがまたみごとにあっけらかんとしています。よそう、考える人生はって感じです▼ヒロインはシルビア(ペネロペ・クルス)。母親のカルメン(アンナ・ガリエナ)は売春宿を営む。生活は貧しく幼い娘が三人。でも子豚を飼って仲良く暮らしている。娘たちは女手ひとつで育ててくれた母親の苦労を知っていてみな母親思いだ。シルビアは町いちばんの大企業下着メーカーの御曹司ホセと恋仲になり妊娠した。カルメンは娘に打ち明けられ「ばかね、わたしみたいなことをして」ときつくいいながら、やさしく、ちょっと物憂げに娘の髪をかきあげてやる。アンナ・ガリエナが「髪結いの亭主」でみせた、胸がかきむしられるようなセックスシーンをご記憶の方は多いだろう。とにかくこの映画はどこを輪切りにしても濃い情念が満杯の湯船のようにたゆたっている。ハモンハモンではなく「タプンタプン」ではないかと思うくらいだ▼ホセは結婚しようというが母親コンチータ(ステファニ・サンドレッリ)は猛反対「淫売宿の娘とうちの後継者を結婚なんかさせない」といきまく。二人の仲を引き裂こうとハム工場の配達員ラウル(ハビエル・バルデム)に、シルビアにいいよってものにするよう言い含める。ラウルは牡牛のような精力家だ。彼の上半身・下半身とも隆々とした肉体にコンチータは恍惚となる。魅入られたコンチータは男のねだるヤマハのオートバイは買って与えるわ、ベンツも買ってやるというわ…ところがラウルはシルビアにぞっこん参ってしまうのだ。シルビアも煮え切らないホセより野生的でニンニクの匂いをプンプンさせ「ハムを食うと精力がつく」と広言するラウルこそ「ハモン」に思う。シルビアの母カルメンとホセの父マヌエルは恋仲だった。マザコンのホセはカルメンにすがって欲求を満たすことがある。ラウルはシルビアに惚れたものの、なんでも買ってあげるというコンチータの一言をきいたとたん「あなた以外に恋人はいない」と、まー、アッパレなほどいい加減。傷心のシルビアはなんでか知らん、ホセ邸宅で父親のマヌエルに抱きしめられ「どうして?」とききマヌエルは「わからん」そうこたえてふたりで抱きあう。本人にわからんものが観客にわかるはずがない。かくのごとき六人六様の愛恋関係が繰り広げられたのです▼ホセは心変わりしたシルビアをつけねらい、ラウルが寝起きしているハム工場の物置みたいなところにおいつめる。ラウルとホセの対決ですが、どうみても体つきからしてラウルのほうが優勢だ(彼は毎日ニンニクとハムを食べているし)ラウルは棍棒のようなハムのかたまりでホセをぶん殴りホセは死んでしまう。このあたりになると観客は一種現実遊離感覚に陥る。ラストシーンは戯画的だ。マヌエルに抱きかかえられるシルビア。死んだホセのそばにすわりこむコンチータとラウル、ホセの遺体をかきいだくカルメン。つまり彼らの今後の関係はこのシーンが暗示しているのですかね。食べ物がよくでてきます。トウモロコシをすりつぶした薄焼きパンのトルティーヤ。肉食系のラウルがむしゃむしゃと手で引き裂きながら平らげる壮大なハム。媚薬のようなニンニク。情熱の赤いワイン。うーん、これだけで気分はすっかり「ハモンハモン」。

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