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シネマ365日

2013年6月28日

それでも恋するバルセロナ (2008年 コメディ映画)

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監督 ウッディ・アレン
出演 レベッカ・ホール/スカーレット・ヨハンソン/ペネロペ・クルス/バビエル・バルデム

ウッディ・アレンの微笑 

 一夏の体験とくに性衝動におけるそれを正直に追っていくとこういう映画になるのでしょうか。ウッディ・アレンお得意の恋愛コメディ。本作では監督と脚本で、さすがに70歳すぎて映画にでるにはちょっと気後れするのかなと思っていたら2012年は「ローマでアモーレ」で出演。衰えを知らないアレンです。バルセロナの観光名所をめぐる本作はオープニングから手際よく人物と粗筋を紹介していく。アメリカ人のヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)は親友同士。ヴィッキーはカタルーニャの論文を書くため、クリスティーナは短編映画を監督主演して撮り終え、自分探しにバルセロナに。ヴィッキーの親戚の家に滞在しある画廊で開かれたパーティーでふたりはファン・アントニオ(バビエル・バルデム)という画家に会う。きけば元妻にピストルで撃たれたという危険で評判の悪い男。そのアントニオがさっそく近づいてきて「オビエドに行って三人でセックスしよう」と言い出す。オビエドとはスペイン北西部アストリアス王国の遺跡のある観光地。ヴィッキーは怒りクリスティーナは興味を示し、でも結局ふたりともアントニオが操縦する自家用機でオビエドに行く。積極的だったクリスティーナが急性胃潰瘍で安静、反発していたヴィッキーが歯の浮くようなアントニオの口説きに、婚約者がいるにもかかわらず一夜をともにする▼アントニオをめぐる二人の女に元妻マリア(ペネロペ・クルス)が加わる。直情径行のスペイン女をペネロペが好演。自分探しだとか健全な家庭派のアメリカ人二人をぶっとばす。ラテン系スペイン男のアントニオはもっともな理屈をいうが一対一で激突するとマリアに勝てない。アントニオの父は、しっかり者のマリアがお気に入りで甲斐性なしの息子の嫁になってくれたのは「神様のたまもの」と感謝していたのに、マリアに出て行かれがっかり。マリアは気立てがやさしく「たいした才能もない」と自己評価するクリスティーナに「写真の才能がある」と教える。なんでそんなことがいえるのか。いぶかるクリスティーナに「元夫を寝とった女がどんな女かをチェックするのにあなたの荷物を全部調べた。写真があったがなかなかいい」型破りな挨拶だ。写真のプロであるマリアのサディッションでクリスティーナはめきめき腕をあげ、いつしかマリアと寝る仲になる▼アントニオにすっかり参ったヴィッキーはバルセロナにやってきた婚約者の相手をろくにせず、なんだ・カンダと理由をつけてはアントニオに会うが「このままでは君を幸せにできないよ」またまた絵に描いたようなセリフでアントニオは別れを言いヴィッキーを説得するから不思議だ。明るく陽気で楽しい映画なのだが、どこからか「人生こんなものでしょうか」というウッディ・アレンのため息というかウィンクというか、真剣になりすぎるのは罪悪だ、近づきすぎたら見たくないものまで見える、むきにならなくてもどうにかなっていくものだという距離の取り方がいつも通りだ。劇中なんどか繰り返される「成就しない愛だけがロマンティック」というドニ・ド・ルージュモンの一句が本作のメーン・テーマだ。ヴィッキーは結局婚約者との安定を望み、クリスティーナはまたちがう何かを求めてアメリカに帰り、マリアはアントニオに愛想をつかして再び別れ、アントニオは愛の(というより愛人の)模索と探求を続ける。世はすべてこともなし、というアレンの温かいのか冷たいのかわからない微笑がスクリーンからかいま見えます。

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