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2013年6月25日

祝・世界文化遺産登録 富士山

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奈良大学 地理学科
土平博・准教授(歴史地理学)に聞く

世界中にある「郷土富士」を歴史地理学の見地から探る

 カンボジアの首都プノンペンで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)第37回世界遺産委員会で、世界文化遺産に登録された富士山。日本だけでなく世界中には、本山にちなんだ「富士」と名のつく山があります。「郷土富士」と呼ばれるこうした山について、奈良大学地理学科の土平博・准教授(歴史地理学)にお話をうかがいました。
 郷土富士は、静岡県富士市のホームページによると全国に321、民間研究家の調査によれば海外には20以上の国と地域に50以上もあるそうです。

 郷土富士の定義については、公的機関による明確な基準が定められておらず、国土地理院発行の地図に正式名称と併記されているケースもあります。土平・准教授は国内の郷土富士について「円すい状の山のかたちが似ていることから、富士山を見られる地域で呼ばれるようになったのが始まり」として、「特に江戸時代以降、交通網の整備と情報の伝達によって各地に富士山の姿が広まり、その後、観光の振興と併せて定着したのでは」と話します。
 世界中に富士の名を冠した山があることについては、明治以後、国威発揚や民族主義が台頭するなかで、富士山が桜や日の丸などと並び「日本の象徴」として国民の意識に擦り込まれたことが大きいと指摘します。過去、多くの日本人が移住したブラジル・サンパウロ州の「リベイラ富士」(ボツポツ山)、アメリカ・ワシントン州の「タコマ富士」(レーニア山)はその代表で、「タコマ富士」は2003年に富士山と姉妹山になっています。

 また、フィリピン・ルソン島の「ルソン富士」(マヨン山)やパプアニューギニアの「ラバウル富士」(タブルブル山)など、第二次世界大戦中に戦場になった地域にも日本兵によって名付けられた山があり、土平・准教授は「日本の象徴であると同時に、移民や日本兵にとって富士山に似た山は、異国で郷愁を誘う存在だったのだろう」と推察します。
 さらに郷土富士とは別に、関東から長野県にかけて富士山信仰と関わりの深い富士塚が数多く現存しており、土平・准教授は「実際に望見できる地域にとって、富士山はやはり特別な山。郷土富士の呼称・愛着についても、地域によって数や温度差があり、地理学的にも興味深い」と話しています。

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