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特集「銀幕のアーティスト」

2013年7月17日

特集「銀幕のアーティストたち」 ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 (2005年 伝記映画)

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監督 ジェームズ・マンゴールド
出演 ホアキン・フェニックス/リース・ウィザスプーン

40回目のプロポーズ 

 ホアキン・フェニックスは「マイ・プライベート・アイダホ」や「スタンド・バイ・ミー」のリバー・フェニックスの実弟ですね。ホアキンは「グラディエーター」でローマ皇帝コモドウスに扮し、ラッセル・クロウの将軍マキシマスをいびりたおす、屈折した青年皇帝を演じました。本作はカントリー歌手、ジョニー・キャッシュの伝記映画。彼の二人目の妻となった歌手ジューン(リース・ウィザスプーン)との愛情物語です。劇中のナンバーはすべてホアキンとウィザスプーンが自分で歌っています。たくさんの賞にノミネートされ、ウィザスプーンがアカデミー主演女優賞を射止めました。それまでの彼女はラブコメとかノリのいい役を軽妙にこなすという印象が強かったのだけど「悪女」あたりから陰影が濃くなり、オスカー受賞後はハリウッドでいちばんギャラの高い女優のひとりとなりました。飛び上がるような美人じゃないのだけど、表情がとても豊かなのと、感情のこもった声の色彩がいいですね。本作も彼女の代表作にはまちがいないだろうけど(オスカー受賞はたぶん彼女が劇中のナンバーを全部自分で歌ったことが大きな理由だろう)、もっといい映画をこれからいくらでも撮るだろう、という可能性を覚えます▼ギャラの話が出たところでついでに言うと、2011年の米フォーブス誌の調べだけど、女優のギャラ1位はアンジーとサラ・ジェシカ・パーカー。アンジーは「ソルト」のヒット、サラは「セックス・アンド・ザ・シティ」でともに収入は3000万ドル。3位がウィザスプーンとジャニファー・アニストンの2800万ドル、5位ジュリア・ロバーツ、クリスティン・スチュアートの2200万ドル、7位にキャサリン・ハイグルとキャメロン・ディアスの1900万ドル、9位がサンドラ・ブロックの1500万ドル、10位がメリル・ストリープの1000万ドルだ。これだけみれば単純に「すごいな」って話だけど、男優の場合はどうか。同年1位のレオナルド・ディカプリオは7700万ドル。女優のトップ陣と倍以上の開きがあり、ハリウッドの男女所得格差が歴然だ。女優が稼げない理由はいくつかあるが、女優に一枚看板で主演するシリーズものが少ないこと。たとえば「パイレーツ・オブ・カビリアン」とか「トランスフォーマー」とか。出演しても主人公の恋人くらいだ。特に海外で人気のとれるアクション大作では出番が少ない。アンジーにしても「子供が思春期になったから家にいたい」と休業宣言した(とってもいいご主人がいるのに、それとこれはまた別らしい)。なんだか1960年代の映画全盛の、一人でバンバン大ヒットをとばしてきた女優たち、たとえばオードリー・ヘップバーンとか、エリザベス・テイラーとか、マリリン・モンローとか、オードリーはともかく映画会社と喧嘩腰で我を張って仕事していた女優力っていうのが、最近弱いな。ウィザスプーンをはじめとする元気な30代に期待しよう▼さて粗筋だ。空軍を除隊したジョニー・キャッシュ(ホアキン・フェニックス)は初恋のヴィヴィアンと結婚しメンフィスでセールスの仕事に就いた。向かない仕事で成績のあがらないジョニーは街角のスタジオに飛び込んで強引にオーディションの約束をとりつける。空軍時代に書いた曲を歌ったかれは合格し、プロのミュージシャンとしてスタート。巡業中少年時代からのあこがれだった歌手ジューン・カーター(リース・ウィザスプーン)に出会う。恋心をうちあけるが離婚の傷が癒えないジューンは妻子のいるジョニーとの再出発に向かう気力はない。彼等は別れそれから6年後、ジョニーは再婚したジューンに再会する。ジョニーは妻との関係が悪化してドラッグに逃避、覚せい剤を密輸して逮捕される。関係者らに見放されドン底のジョニーを励ましたのはジューンだった。ジョニーはある日刑務所からのファンレターを受け取った。1968年ジョニーはロックンロール全盛時代に地味なカントリー・ポップスで刑務所でのコンサートを試みジューンの作詞した歌をうたう。ステージの上でジョニーはジューンに40回目のプロポーズをし、ついに受け入れられる。才能はあるが性格が弱くて世間の荒波に挫折しやすい、つまりまっすぐ歩けない(「ウォーク・ザ・ライン」はまっすぐ歩け)人っていますね。そんな人に限って感受性が強くナーバスで、気軽に人間関係が築けないことが多い。ジョニーもヘマばっかりしています。両親はデキのいい兄がお気に入りだった。兄が事故で死ぬと、お父さんときたら「なんでお前が生き残ったのだ」なんてひどいこというのよ。だからコンプレックスのかたまりでクヨクヨばっかりしているのね。そのくせジューンが結婚を断ってばかりいることを「君は自分を見失いおれの大きな影に隠れてしまうことを恐れている」のだなんて気取ったこというのよ。40回も断ったはずだわね。しかし結局彼の粘り勝ちとなりました。悲願10年。めでたし。なんか今回お金のことばっかり言うようですが、本作は制作費2800万ドルに興行収入1億8600万ドル。めでたし。

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