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シネマ365日

2013年7月30日

マザーズ・ボーイ 危険な再会 (1994年 サスペンス映画)

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監督 イヴ・シモノー
出演 ジェイミー・リー・カーティス/ピーター・ギャラガー/ジョアンヌ・ウォーリー

悪女の微笑 

 ジェイミー・リー・カーティスが悪女をやった記憶があった。筋書きは忘れたが「ふうん、案外こんな役もできるのだね」と思ったことだけ覚えていた。それが本作。カーティス36歳のときで、「ワンダとダイヤと優しい奴ら」のあとで「トゥルー・ライズ」撮影の直前に入った映画だ。コミカルな詐欺師と主婦の役に挟まれた極悪非道でインモラルな女という、かなり分裂的な役柄もなんのその、仕事は選ばないというのか、こだわりがないというのか…カーティス独特の〈軽み〉が、自分の息子を誘惑して殺人に走らせるという、とんでもない母親を、なんだか上機嫌の母親みたいに演じていた。そのノリがかえってこわかったな▼とにかくえげつない女なのである。ジュディス(ジェイミー・リー・カーティス)は3年前に家出したロバート(ピーター・ギャラガー)の妻。それも結婚して間なしに一度家出し、そのときは謝って夫のもとに帰り、三人の息子に恵まれたのち再び出奔。ロバートはやっと元妻の古傷を忘れ、キャリー(ジョアンヌ・ウォーリー)という小学校の教頭をしている女性と結婚しようとしている。息子たちもキャリーになついたが、長男のケスだけが鬱屈している。ケスはまだ母親が忘れられないのだ。学校でも奇行が多く、その日も教頭室で注意を受けた。キャリーが下校するケスを窓から見送っていると、校庭にサングラスをかけた女がいた。カーティス登場である。目立つのだな、180センチ近い長身は▼ジュディスが姿を現した理由はいっさい説明されない。そこに「なにをするかわからない女にいわく因縁なんか必要ないし、通用しない」とでもいいたい監督の意図がはっきり見える。ロバートはあきれ「いったい何をしにきた」(当然よね)。ジュディスはでもロバートとキャリーが恋仲であることが我慢ならない。冷静を装いふてぶてしく唇を曲げてニヤリとするが、腹の中は嫉妬で炎上、真っ黒い煙がぶすぶすと胸を焦がす。ジュディスは家庭を取り戻したい(らしい)。だから邪魔なキャリーを消したい。キャリーはたまったものではないが、ジュディスはぬけぬけと教頭室にキャリーをたずね、自分で額をきずつけ教頭から暴行を受けたと校長に泣きすがる。この前段があり、学校を訪ねたジュディスはまず校長にみごとなボインをみせ、くらくら垂涎させているのだ▼思春期にさしかかったケスの心情は複雑だ。新しい母を受け入れたいがなじめない。執拗に復縁を迫るジュディスに、思い余ってロバートは裁判に訴えるが、判事は実の母親だから子供にあう権利があるとあっさり認め、母親との面会日が取り決められた。いよいよジュディスは大手をふって子どもたちに会いに来る。弟二人は簡単に籠絡したが、自分を棄てて出て行ったことをケスは許していないとみてとったジュディスは、母猫が子猫を舐め上げるごとくケスを愛撫する。べつに近親相姦でもなんでもないのだけど、いかにもワケありの一歩手前くらいまで映画は想像させるのよ。純情なうえに母親思いのケスは、ジュディスの真意がキャリー抹殺にあることなんかわかるはずがない。ロバートまでたぶらかされそうになり「まったく男ってしょうがないな」と思うが、ただひとりジュディスの母親(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)だけは娘の本性を知っている。母親が語るにはジュディスは父親を神のごとく尊敬し、その父親が事業の行き詰まりで飛び降り自殺したのは、母親のせいだと思っている、だからジュディスはもともと母親とソリが合わない上に、自分よりキャリーに味方しそうだとみて母親も殺そうとする。邪魔者は消せ。自分の息子だろうと夫だろうと、地獄の底に突き落としてでも望む状態を手に入れようとするジュディスが、彼等に愛情のあるフリをするのが面倒くさくなって、ニヤッと笑うところ決まっていました。

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