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特集「過剰な女たち」

2013年8月4日

特集「過剰な女たち」 プライベート・ベンジャミン (1980年コメディ映画)

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監督 ハワード・ジーフ
出演 ゴールディ・ホーン/アイリーン・ブレナン

出てこいよ ゴールディ

 ハワード・ジーフ監督の名作に少年少女と彼等をとりまく大人たちの愛情物語「マイ・ガール」があります。しっとりと笑わせる上質のコメディです。その彼がゴールディ・ホーンと組んだ。しかも脚本が「恋愛適齢期」「ホリデイ」のナンシー・マイヤーズ。期待通りでしたよ。快調にとばしていき「さすが」「さすが」で息をつめて吸い込まれていく前半。ところが後半失速してつまらない恋愛映画になってしまった。ゴールディ・ホーンは製作総指揮から編集にまで携わる力のいれようだったのに。ナンシーやジーフ監督の仕事とは思えないおかしなラストでした。思うにこれ、ゴールディ・ホーンは「ベンジャミン2」をつくるつもりだったのではないか。チョウチョのように白いドレスを着たヒロインがひらひら舞いながら田舎の一本道を、視界から消えるまで映しているあのしつこさは「おつぎをお楽しみにね」としか考えられない。ゴールディ・ホーンは現在67歳だ。劇中結婚を三度失敗した「ベンジャミンその後」にちょうどいい年齢だわ。聞くところによれば「セックス・アンド・シティ3」の主役で「バンガー・シスターズ」以来の出演が噂されていたけど降板した。まあね、娘も女優として活躍しているし、よきパートナーは得たし、後顧の憂いもないのでしょうけど、コメディエンヌの女王として復活してほしいです。本作の敵役アイリーン・ブレナンも健在なのだろうし。なんせ「エクスペンタブルズ」や「レッド」が続編を作り、元気な高齢社会における笑いとアクションの需要を証明している。ならばベンジャミン、あなたが登場していけないわけがないのだよ▼富豪の両親に甘やかされて育ってジュディ・ベンジャミン(ゴールディ・ホーン)は二度目の結婚初夜に花婿が腹上死。傷心のあまり新兵募集官の「休暇はヨットでクルージング、宿舎はマンションの個室、休暇には海外旅行」という甘い口車に乗せられアメリカ陸軍に入隊。古参のルイス大尉(アイリーン・ブレナン)の地獄の訓練に音をあげ脱走。ベンジャミンの属する小隊全員が雨のなかフル装備で一晩行軍演習させられる。「ここで戦死したいわ」ぼやくベンジャミンに仲間は「お黙り、ベンジャミン。こんなメソメソした女に会ったことないわ」と一喝をくれる。娘の居場所をつきとめた両親が身柄引取りにきた。わけをきいたルイス大尉は「お嬢さんに軍隊は不向きなようです。ベンジャミン、ここにサインしたら帰れるわ」父親は「なにが不満だ。ほしいものはなんでも買ってやった。誕生日には車を、大学にも入れ最初の離婚も手伝った。お前のアタマは弱い。隠しても無駄だ」ケチョンケチョンに娘をけなす。父親からひとつも理解されていないことを悟ったベンジャミンは逆キレ。キッパリ「大尉。わたしは残ります」ビシッと見事な敬礼で意思を表明する▼生まれ変わったベンジャミンが気持ちいい。しかし訓練総仕上げの演習で、ルイス大尉が嫉妬のあまり性悪女になって左遷になったあたりから筋運びがコマ切れのツギハギになり、空挺部隊の機内で上官に襲われるなど、パイロットが操縦している後ろで、マンガでもこんな筋書きはない。パリに異動になったベンジャミンは恋人と再会、軍隊をやめて結婚することに。しかしだんだん恋人は女にだらしない男で金に汚く不実なやつだとわかり、結婚式当日「わたしを舐めないで」とストレートをかまし、ひとり颯爽と去る。ここがラストシーンなのですけどね、劇中ベンジャミンがいう「私はいつも男に尽くしてきたわ。初恋は保育所。彼は3歳、わたしは2歳。それから男にふりまわされ結婚2回。最初は20歳(3回めも失敗し)結婚しないでどうやって暮らそうかしら。なにも悪いことしていないのに」という自己嗟嘆に対する答えはベンジャミン自身まだ出していないのである。このままヒラヒラ式場を出ていって、もう一度軍に戻るのか、親の実家で居候か、さしあたり取るべき道はそれくらいだろう。もういちど自作を見直してみな、ゴールディ。これをものたりないと思わないならさっさと引退宣言したほうがいい。おっとアイリーン・ブレナンに一言。「スティング」でポール・ニューマンの情婦になり、詐欺の片棒をかつぐスリの名人が彼女です。思い出しましたか。

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