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特集「過剰な女たち」

2013年8月7日

特集「過剰な女たち」 白い家の少女 (1976年 サスペンス映画)

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監督 ニコラス・ジュネール
出演 ジョディ・フォスター/マーティン・シーン/スコット・ジャビー

女優フォスターの源 

 主人公は13歳の連続殺人犯です。少女リンを演じたのがジョディ・フォスターです。フォスターは当時日本でいえば中学2年生くらいでしょ。子役なんてレベルじゃなくて、この女優はいやになるくらいガキのころからえげつないやつだったのだなと、ジョディ・フォスターの源をみる思いがするのです。フォスターってちょっと変わった女性にちがいない、という気がしていましたけど、どこがというとそれがこの「白い家の少女」をみてはっきり思い当たったのです。人のいうことをきかない。アドバイスを求めない。人の言葉に左右されず自分だけを信じ一度きめたら意に沿わないものはすべて排撃する。頭がよくて簡単に人を軽蔑する。他人をよせつけない。ふだんは冷静だが癇癪が強く、爆発するとモンスターになる。リンの輪郭を書いているだけで大人になったフォスターが演じたヒロインがつぎつぎ浮かんできます▼さて問題の「白い家の少女」です。コロコロして子供以外のなにものでもないフォスターが、前歯の欠けたところをみせて、笑うとじつにあどけない。ここはニューイングランドのウエルズ・ハーバー。小さな村の海を見下ろす丘に白い家がある。冬の空は鉛色。さらさらしたブロンドの髪の美少女がリン。リンは一人で13本のローソクをたてたケーキをテーブルに置く。今夜はハロウィーンで、仮面をかぶった青年フランク(マーティン・シーン)がリンの家を訪れた。リンが一人だとみるとあれやこれやとさぐりたがったがリンはていよく追い返す。ただの女の子の手際ではない。大家のハレット夫人が訪問し「お父さんに会いたい」というが「父は仕事中です」顔色も変えずリンは断る。家の中をうろうろし家具の位置を変える大家に「ここはわたしの家よ。あなたはこのまえは庭のブドウを、きょうはスモモをだまってとっているわ」と攻撃。夫人はタジタジと退却するが(このくそガキ)憎しみに燃える▼父親の存在が謎だ。リンはガンとして父にあわせない。大家は相手が子供だとみて、ある日強引に地下室に入る床の扉を開け、中をみてショックで倒れ、そのはずみに頭を打って死ぬ。黙々と死体を埋めようとしているリンに通りかかった村の少年マリオ(スコット・ジャビー)が手伝う。リンは素朴なマリオと気があった。二人は仲良くなりリンは自分と父の秘密をうちあける▼父親をみたことのある人間が狭い村にひとりもいないのだ。不審を強めた保安官は「なにかわけがあって父親を隠しているのだ」と問い詰める。リンはニッコリ、では父に会ってくださいと二階の書斎に声をかける。階段の上に姿を現したおちついた中年の男性。風邪をひいて話しにくい様子だが、保安官はすっかり安心して帰る。書斎にもどった父親はさっさとかつらと付けひげをはずした。マリオの変装だったのだ。リンのヌードが背中から映るが、これは実姉。風邪をこじらせ肺炎を起こし入院したマリオの病床で、リンははじめて寂しさを訴える▼子供のころから母親の虐待を受け、その母から娘を引き離すために父親はこの村に引っ越したがすでに不治の病だった。父は今後リンが守るべき注意を残して自殺。ある日母親が訪ねてきた。リンは母親がきたときにはこれを、と父が教えた薬を紅茶にいれて薬殺する。地下室にあったのは防腐剤処理した母親の死体だったのだ。父親は「子供のお前はどう努力しても大人にだめにされてしまう、だれにもあわず、だれともいっしょにくらさず大人になるまでこの家にひとりいるのだ」と13歳の子がきいたらおかしくなりそうな遺言をする。それをリンは淡々と守りぬくのだ。雑念のない子供の純粋さが、おそろしいものであることをフォスターが体現する。リンはフランクも殺す。こうなるともう殺人鬼だ。エンドクレジットでアップになったフォスターの表情はあまりに虚無的で痛々しい。映画の雰囲気に景色が大事な役割を果たす。人気のない厚い雲のたれこめた海辺。フードをかぶって暗い空の下を歩くリン。安ダイナーでひとり食べる夕食。がら空きのバスにのって帰る夜の帰途。天にも地にも寄る辺ない幼い殺人者の心象。それに14歳のフォスターが完全に感情移入しているところに寒気がする。

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