女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

シネマ365日

2013年8月10日

特集 コメディエンヌ トゥルー・ライズ (1994年 アクション映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ジェームズ・キャメロン
出演 アーノルド・シュワルツネッガー/ジェイミー・リー・カーティス

エンタメ最高の三人

 コメディはソンをしている。少なくともハリウッドでオスカーといえばシリアスな映画ばかりでコメディというジャンルは冷や飯を食っている。まだ男優はいい。偉大なコメディアンとして監督として、チャップリンやビリー・ワイルダー、ウディ・アレン、ジャック・レモン、ロビン・ウィリアムズ、ジェリー・ルイス、何人かの名前はすぐあげられるだろう。彼等はコメディのステイタスとなった。でもコメディエンヌとなるとどうだろう。マリリン・モンローは数少ないこのジャンルの逸材だった。コメディエンヌとは演技がどうこう言わせないもの、練習や訓練だけでは物足りない、体つきや手や足や皮膚が備えているユーモアとか知性とか、教養が必要だ。彼女らはスクリーンに姿をみせるだけで観客に含み笑いさせることができる。彼女らはコメディが好きだ。らくらくと演じ、ほころびはおろか縫い目すらみせない。大女優はコメディに強い。イングリッド・バーグマンもキャサリン・ヘプバーンも、あの強面のベティ・デイビスもソフィア・ローレンも、美神とまでいわれるカトリーヌ・ドヌーブさえ、隠れコメディエンヌである。コメディがやれるというのは一流の証だ。メリル・ストリープとニコール・キッドマンは、シリアスな役だけで現在の実績をあげたのではない。しょっちゅう眉間にシワをよせているジョディ・フォスターの新境地はコメディにこそある。ケイト・ウィンスレットもキャメロン・ディアスも抜群の素質がある。アン・ハサウェイは「レ・ミゼラブル」でアカデミー助演女優賞をとったばかりに「プラダを着た悪魔」で垣間見せたおもしろさを枯らさなければいいけど。ティム・バートンと組んだヘレナ・ボナム=カーター、ウディ・アレンと組んだスカーレット・ヨハンソンらの伸長は、今さら繰り返すまでもない▼今回の特集で最初に登場するのがジェイミー・リー・カーティスだ。蛇足をいえばジャネット・リー(「サイコ」「黒い罠」)とトニー・カーティス(「お熱いのがお好き」「手錠のままの脱獄」)の次女。3歳のとき両親が離婚し親との縁は薄かったと自分で言っていた。彼女の佳品は何本もあるがもっともパワフルといえば本作だろう。当代きってのシュワルツネッガーを相手にひけをとらない。大型俳優同士スクリーンが狭くなるようなタンゴの名場面を残している。夫がテロを追跡する国際スパイのシュワちゃんで、その妻がカーティス、仕事一途の夫を理解しているよき妻だが心はさびしい。なにか自分にできることをしたいと妻は熱望し、国際スパイを騙るチンピラ詐欺にだまされそうになる。カーティスは法律事務所に勤める秘書だ。カチッとしたスーツに実用的なビジネスバッグ。メガネをかけ長身でさっさと歩くがみてくれがいかにもやぼったい。助けてくれとさかんに頼む偽スパイを「力になってあげよう」と思う無類の人の好さだ。シュワちゃんはこの妻を熱愛している。彼女が浮気しているかもしれないと思っただけで仕事は手につかなくなる。ありとあらゆる手段で妻の潔白を確かめたシュワちゃんは、放りっぱなしにしていたおわびとして妻の願望「人のためになにかしたい」を、よせばいいのにかなえてあげようとする。非常勤スパイ職(というのがあるのかどうかしらないが本来この映画はマンガである)に任命し、ある国のテロリストが投宿するホテルのスイートに盗聴器をとりつける仕事を命じる。コールガールに扮せよという指示を受けたカーティスが変身する。見事なボインに長い脚。ひきしまった下腹を指でなぞって大胆に開脚▼ジェームズ・キャメロンはやせた長身の女性がタイプである(歴代パートナーをみよ)。無名時代からの親友シュワちゃんと気に入ったカーティスと、大好きなアクション大活劇をテーマにキャメロンはノリにのっている。1億2000万ドルの制作費も巨大だったが、世界で3億7800万ドルを叩きだしたのだから文句はない。ジェイミー・リー・カーティスは色気ムンムンの女優とちがう。気性がさっぱりし、将来娘の耳に入ったらかわいそうだからと酒もドラッグもやめた、絵本をもっと書きたいから女優業を控えるという。欲のなさや人柄のよさが女優としてプラスなのかマイナスなのかわからない。わかっているのは彼女のコメディの質がとびきりだということだ。「フォーチュン・クッキー」でたったワンシーンにみせたパンクなロッカーなんか壮絶絶倒ものだった。

Pocket
LINEで送る