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シネマ365日

2013年8月12日

特集 コメディエンヌ 危険な動物たち (1997年 コメディ映画)

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監督 フレッド・スケピシ

不気味なドタバタ 

 「ワンダとダイヤと優しい奴ら」の主演級4人がそのまま出演。続編っぽいが内容はまったく別物だ。前作よりドタバタが効いてギャグを連発するが、殺人・死体・犯罪というパイソン(イギリスのコメディアングループ)独特のブラックな笑いはしっかり山盛り。子供と動物には勝てぬという業界のジンクス通り、動物園が舞台とあってオファを断る出演者もいたらしいが、カーティス姐さんとパイソンの前に敵はない。日常生活では気難し屋のジョン・クリーズがカーティスと息のあったボケと突っ込みをみせ、彼の得意とする自虐マゾ系キャラ満開。つぎつぎ底意地の悪いことを考える「危険な動物」(人間)たちを笑いのめします▼アメリカの大企業オクトパス社の冷酷な社長ロッドによって買収されたイギリスのマーウッド動物園。社長は、毎朝二秒か三秒でグループ傘下会社の売り買いを決済し、社長の気分ひとつで何千人の路頭に迷う社員が続出する日もあれば、みたこともない自社商品を扱うことになる社長も続出。いきなり新園長に就任したロロ(ジョン・クリース)は社長から義務付けられた売上120%増収を果たすため、動物園の運営方針を一新、草食動物を排除し、危険な肉食動物だけで入園者たちを刺激し人気を煽ろうという、本人すら成功の根拠がわかっていない方針を打ち出した▼じゃ草食動物をどうするのか。貰い手を探せ、みつからない場合は射殺だと、新園長は本社の傀儡。金のためには可愛い動物たちを殺してもいいのか。いいのだって。園長の執務室に飼育員らは自分の担当するアナグマ、ウサギ、レッサーパンダを抱いて訴えにいく。こんな可愛い動物たちを殺せない、殺したければあんたが自分でやれといってさっさと部屋を出て行った。フンあんな意気地なしに天使のような動物が殺せるものかとうなずきあっていたらズドン、ズドンの銃声にみな真っ青。園長はさっさと射殺した動物たちの墓を自分で掘って埋葬しているではないか。この動物園に着任したのがやり手のキャリアウーマン、ウィラ(ジェイミー・リー・カーティス)と社長のドラ息子ヴィンス。ヴィンスは二言目に親父が死んだらぼくが社長だと社内外の関係者にいいふらすおバカで、だれ一人自分を相手にしていないことに気が付かない。脚本の徹底した突き放しぶりは残酷なほどで、馬鹿息子とはいえ可哀想にうつるくらいだ。パイソングループのシュールさが底光りしている▼飼育員たちが、草食動物は殺すが肉食の猛獣は活かすという方針をきき、あっという間に看板の説明書きをかきかえるところがおもしろい。ロロ「キミ、これはアナグマだろ。アナグマが〈噛み付く危険があります。エリアに入らないで〉とはなんだ。いつもお客さんとじゃれているじゃないか」と思えば「ミーアキャット。砂漠のピラニア。3分間で人間を白骨にします…」まだある「アルゼンチンの草原を絶滅させたウサギ。村は跡形も残らず」ロロはじつをいうと飼育員たちのこんな愛情に胸をうたれていた。でも本社社長の命令にそむけばクビだ。そこでなにをしたかというと、執務室にクマもウサギもとじこめ、放し飼いにして生かしていたのだ!▼ウィラとヴィンスはロロの様子がおかしいと気づく。すぐ執務室にとじこもるしドアの中から「くすぐったい、よせ、こんなときに」とか「離れろ、へんなところをモミモミするな」とか「あっちへいけ、いうことをきかないと可愛がってやらんぞ」とかが漏れ聞こえる。会話のつながりを連想するに少なくとも相手は3人、いや4人。昼間からオフィスに女を連れ込みなんということを。そこへうだうだ言を左右して結果を報告しない園長に業を煮やした社長が動物園を閉鎖しテーマパークに変えると発言。動物たちの里親プランというでたらめの企画で応募者を募り、着手金を横領していたヴィンスはあわてる。飛行機で飛んできた社長は情け容赦なく動物たちを「即刻処分しろ」▼動物園でチンパンジーと目があったとたん心が通い合ってヒロインと恋人同士になったという「マックス・モン・アムール」という無類の傑作がありましたが、ここでもまたというか、ふたたびというか、ゴリラと見つめ合って天啓を得たウィラは動物保護にロロとともにたちあがります。あとは一瀉千里のたたみかけ。あっちこっち「?」というシーンはあるのですが、テンポのよさと堂々たるドタバタにいいくるめられてしまう。なにしろ殺し、死体隠蔽・遺棄、詐欺、逃亡、という一連の犯罪が、あれよ、あれよのうちに「メデタシ。メデタシ」のエンドに落とし込まれる。結局これがいちばん不気味だよね。

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