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シネマ365日

2013年8月14日

特集 コメディエンヌ マイ・ガール (1992年 家族映画)

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監督 ハワード・ジーフ
出演 ジェイミー・リー・カーティス/ダン・エイクロイド/マコーレー・カルキン/アンナ・クライムスキー

映画を引き締める 

 ここまでベタに徹した映画ってすごいですね。テンポがスローだしストーリーは先が読めるし。どこをとってもありきたり以外の何でもないのに泣かせるツボをにくらしいくらい抑えている。にくらしいといえば…この映画の主人公は大人組が男やもめの葬儀屋の親父ハリー(ダン・エイクロイド)と死化粧メイクに雇われた美容師シェリー(ジェイミー・リー・カーティス)、子供組がハリーの11歳の娘ベーダ(アンナ・クラムスキー)とボーイフレンドのトーマス(マコーレー・カルキン)。ベーダが父親とシェリーの仲に嫉妬してイジワルを画策するところは、観客は冗談でなくマジギレしそうになるにちがいない。彼女は「マイ・ガール2」にも出演し、32歳のいまも女優をやっている▼だがなんといっても涙を絞らせたのはトーマスのカルキンだろう。教師を好きになったベーダが、彼が講師をする詩の教室を受講するため、シェリーの貯金箱からお金をくすねる。トーマスはほのかにベーダが好きだ。教師をおっかけるベーダにトーマスは「ぼくも候補者だよ」と言う。どういう意味? と振り向くベーダに「先生にふられたときはぼくも候補者だよ」なんと天使のような男の子ではないか。ところが彼の運命は劇中暗転する。今から思うとカルキンの将来の先触れみたいになったシーンだ。彼は前年に「ホーム・アローン」で大ヒットをとばし「奇跡の子役」と言われていた。彼のギャラは一作6億6000万円にもなったが、父親の非常識な要求で出演が激減、両親の離婚に決着がつくまでカルキンは映画を休業した。当時までに彼が稼いだギャラは17億円。カルキンは自分の莫大な財産を知らず、弁護士に教えられ「つらいことばかりだったけど、報われた気がする」と言ったのが泣かせる。家族と家庭を求め17歳で結婚したが2年後に離婚、映画界に復帰したもののドラッグ所持で逮捕、170センチの身長に激ヤセ(46キロ)した写真ばかりか「余命半年」という噂が出回った(マネージャーは否定)。まだ32歳だ。その気になって再起できないはずはない▼さてジェイミー・リー・カーティスとダン・エイクロイドは「大逆転」に続くコンビである。正直いってエイクロイドの男やもめのどこがよくて恋に落ちるのだろうと思うだろう。ハリウッドのメーク・アーティストになろうという夢やぶれ、トレーラーを運転して田舎町に流れてきた「さすらいの美容師」シェリーは女トラさんふうである。意地悪するベーダをやさしくあしらい、貯金のちょろまかしも許し、冴えない葬儀屋の親父に「あなたはいい男だ」と自信をもたせる。ハリーの母親は認知症だ。おっつけこの世話もシェリーにまわってくるだろう。できの悪いモト不労亭主がシェリーの居場所をつきとめ「トレーラーを返せ」といいがかりをつける。それを追い返したのはハリーだ。シェリーは結婚に失敗し、ハリウッドの夢にも消え、美容師の資格を頼りに就活し、新聞の求人をみてやってきたところがここ葬儀屋だった。そこにはみてくれは冴えないが正直で仕事熱心な父親と、母親が自分を産むとき難産で命を落としたため(母親を殺した)と心の傷をもつ娘と、シェリーに唯一心を許す認知症の祖母がいる。自分も心に影のあるシェリーが「この家族の一員になってもいい」と安堵できる場所だった。シェリーはあんなサイテー男と「なぜ結婚したのだ」と聞くハリーに「愛していたから結婚したのよ」といいわけもなにもしない、現状肯定と自己評価の高い女だ。こんな女を演じるカーティスの持ち味が、ベタベタの家族映画をひきしめている。

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