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シネマ365日

2013年8月19日

特集 コメディエンヌ ファースト・ワイフ・クラブ (1997年 コメディ映画)

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監督 ヒュー・ウィルソン
出演 ダイアン・キートン/ゴールディ・ホーン/ベット・ミドラー/マギー・スミス/マーシャ・ゲイ・ハーデン

コメディに潜んだ女の攻撃性 

 よくこれだけ芸達者を集めたものだ。いちいち作品名はあげないがアカデミー主演・助演女優賞、グラミー賞受賞者がずらり、「セックス・アンド・ザ・シティ」でブレイクする前のサラ・ジェシカ・パーカーや「ショーガール」のエリザベス・バークレーが脇にまわる贅沢さだ。配役をみただけでプ~ンと芳醇な酒の香が鼻先にただよってくるような映画だ。三人の主演女優がこのときそろって51歳だった。小娘には真似のできないオトナの生き方と、それに忘れていけないのは彼女らの可愛らしさだろう。夫の裏切りを責め復讐に結束する彼女らのどこにも「男に棄てられた人生の最終章」の暗さはない。失敗はみな男のせいにして開き直る。制作費3000万ドルにして収益1億8000万ドルという空前の大ヒットは、映画のよしあしを云々した批評によるものではなく「アハハ」彼女らといっしょに快哉を叫んだ女たちの笑いとカタルシスなのだ▼ときは1960年代。アニー(ダイアン・キートン)、ブレンダ(ベット・ミドラー)、エリース(ゴールディ・ホーン)とシンシアの仲良し四人組は大学の卒業式。一生親友でいようと誓い合った。それから20年。離婚した夫が若い娘と再婚したことを知ったシンシアは自殺してしまった。アニーら三人はシンシアの告別式で久しぶりに再会。近況を語り合った。アニーは夫と別居、精神科医のセラピーを受けている。女優となりゴールデングローブ賞やオスカーなど輝かしい成功もあったがエリースはいまや過去の人となり、夫は若い女に夢中で現在離婚調停中。電器店を経営するブレンダの夫は自分の店で働くシェリー(サラ・ジェシカ・パーカー)とよろしい仲である。三人は夫を支えてきた糟糠の妻だ。いや亡き友もそうだったではないか「シンシアのコネで財産を築いたのに若い美女と結婚したのよ」「私達は夫に青春を捧げ尽くしたわ」「女の世話になるのが当然だと思っているのね」「だれがプロデューサーにまで育て上げてやったと思っているの」「資金援助したのはわたしの実家のバックアップよ。アゲマンの女房を棄てた夫をぎゃふんといわせてやる」うっぷんを打ち明けながら三人は「愚かで恩知らずな男たちに正義の鉄槌」をくだして転落させる「ファースト・ワイフ・クラブ」(最初の妻たち)の立ち上げを決めた▼まず戦略を練らねば。三人は社交界の女王ガニラ(マギー・スミス)にわけを話す。籠絡する手始めにエリーヌは夫の恋人であり新人女優であるフィービー(エリザベス・バークレー)をガニラのランチの席に送り込む。女王からのお招きとあって飛んできたフィービーは調子にのってI・Qを露出、赤子の手をねじるごとき。ガニラの手引きで、エリースの夫はオークションで大金をまきあげられ三人は軍資金の調達に成功する。しかしだ。こんな曲者女優たちが「清く正しい愛と平和のハト」の役ばかりでおさまるはずがない。エリースのふとした一言でブレンダはムカつく。「ええ、わたしはどうせただの主婦よ。なによ、酒浸りのくせに」「言ってくれるわね。昔からわたしに嫉妬していたわね。金髪の美人はもてるから」「男子学生の半分に手をだしていたわね、ここを乱交クラブにでもしたらどう」「ケンカはやめて、ふたりとも病気よ。正気なのはわたしだけだわ」「なによ、友だちの選択もできないダメ女」「おだまり色情女」ここは文字を読むよりぜひ彼女らのセリフ力を味わってほしい▼男たちから取り返したというか、奪い取ったというか、とにかく充分な資金で三人は亡きシンシアの名前を冠した女性支援センターを設立する。お互いに欠点をさらしながら、欠点を閉じ込めもしなければただそうともせず、どんな状況にあっても突き進む蛮勇が女にそなわっていても当然だ、そう彼女たちは体現する。男にそれがあれば勇敢だとされ、女がそれをやれば傲慢でクレージーなのか。しかし1990年代とはプリティ・ウーマンやダーク・エンジェルが、ミザリーやニキータが登場し本作の前年には「ファニーゲーム」が「ブエノススアイレス」が「チェイジング・エイミー」が公開され「ファースト・ワイフ・クラブ」がひそかにはらむ(逸脱)への追い風となっていた。コメディという体裁をとってはいるが、実質女の攻撃性に火をつけた映画が本作だ。

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