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シネマ365日

2013年8月22日

特集 コメディエンヌ ホリデイ (2006年 コメディ映画)

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監督 ナンシー・メイヤーズ
出演 キャメロン・ディアス/ケイト・ウィンスレット/ジュード・ロウ

ハッピーエンドまっしぐら 

 女性監督の底辺がだんだん分厚く頼もしくなってきた。うれしいのはアメリカだけでなく、スリランカやフィリピン、ドイツも韓国もスペインも、もちろん日本もスペインもポーランドも、女性監督の映画が上映されるチャンスがふえてきたことだ。それぞれに得意なジャンルがあるだろうし、掘り下げたい課題もあるにちがいない。この道の開拓者でありスゴ腕監督であり、大御所ともいえるベテランにまじって、20代、30代の若手監督が大女優たちの支持をえている。偉大な監督と躊躇なく呼べる数人の女性のうちに、何が何でもこの人を数えたい、とすればあなたはだれをあげるか。百花繚乱。ここにあげたのはナンシー・メイヤーズの「ホリデイ」だ。青春もよし、ロマコメもよし。しかしだ、小娘のそれではなく人生の機微と陰影を知った大人の女の恋愛にかけては、やっぱりナンシーといいたいファンが圧倒的だろう▼せっせと持ち上げておいてつぎにこう書くのは気がひけるが、この映画には前作「恋愛適齢期」でみせた効き目のいい毒がないのだ。確かにヒロインたちの失恋もどきはある、勘違いやスレ違いもある、酸いも甘いも噛み分けた人生のメンター(相談相手)がヒロインを励ましてもくれる、王子様は(プロセスはどうあれ)最終的に白馬にまたがってやってくる。8500万ドルの制作費は決して安くないが(ほとんどギャラだろう)それでも2億500万ドルを稼ぎだしたことは本作の勝利を物語っている。でもこれは前作の半分にも届かぬ売上なのだ。ナンシー・メイヤーズらしくないとしかいいようがなかった。キャメロン・ディアスやケイト・ブランシェットにいたっては学園劇の女王のノリである。いちばんそれがよくわかっていたのはほかならぬ監督だろう。彼女は次作「恋するベーカリー」で、もうこれ以上コテンコテンに盛りつけようのない脂ぎった恋愛劇をつくってみせる。主演はそう、メリル・ストリープをひっこぬいて。悲劇やシリアスな映画で「泣けなくてバカをみた」と思う観客はいないが、アホらしいコメディをみると必ず観客は損したような気になる。そこがコメディの怖さだろう。本作は可愛くて健気なヒロインだから満足しろといわんばかりの、毒にもクスリにもならぬ、およそ刺激も感激もないコメディにしあがった。劇中脚本家を演じたイーライ・ウォラックにハリウッド100年の映画史を語らせ「堂々としているわね」とヒロインにいわせるシーンは、アメリカ映画の生き字引となったウォラックに対するナンシーの敬意だろう▼でも多少ボヤいたからといって、この映画が水準以上を満たしていることには変わりない。ナンシーにしてはという但し書きをつけただけです。ロンドンの新聞社に勤めるコラムニスト、アイリス(ケイト・ウィンスレット)は恋人に振られ、ロスに住むハリウッド映画予告編制作会社の社長アマンダ(キャメロン・ディアス)は恋人の浮気を知り別れる決心をした。一人になった女たちはネットの「ホーム・エクスチェンジ」サイトで知り合い意気投合、お互いの家を交換することに。アイリスはロンドンからロスに、アマンダはロスからロンドン郊外の「メルヘンふうコテッジ」にたどりついた。アマンダがめぐりあったのはアイリスの兄で雑誌編集者のグレアム(ジュード・ロウ)、アイリスが知り合ったのは映画音楽の作曲家マイルズ(ジャック・ブラック)や近所に住む引退した脚本家アーサー(イーライ・ウォラック)だ。彼らがスクリーンに現れてきてから映画はやっと調子が出てくる。あとはハリウッドの伝統に則ったハッピーエンドにまっしぐら。劇中主人公らによって名作の台詞が語られ、ダスティン・ホフマンやリンジー・ローハン、ジェームズ・フランコがカメオ出演しています。わかりましたか。

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